稲嶺 進・名護市長に聞く

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これからも翁長知事と力を合わせて、辺野古新基地建設を断固阻止します

 一昨年末の沖縄県名護市沖でのオスプレイ墜落事件からの1年間、昨年末の普天間基地周辺の保育園、小学校で相次いだ米軍ヘリ関連事件まで、県民の怒りは限界を超えつつある。占領軍のように振る舞う米軍への怒りはもちろんのこと、米軍の横暴な振る舞いを止めようとしない、止められない対米従属の日本政府への不満と怒りが高まっている。今年、翁長雄志知事を先頭に県民の闘いは、辺野古のキャンプ・シュワブゲート前での違法工事を阻止しようとする座り込みをはじめさらに発展する。
 全国での、連帯し支持する、また、自らの課題として米軍基地とオスプレイ配備などに反対する、不平等条約の日米地位協定に反対する闘い、安倍政権打倒の闘いの発展が問われる。
 今年、沖縄では重要な政治戦として一連の地方自治体選挙が、1月21日投開票の南城市長選から11月県知事選挙、那覇市長選挙まで争われる。当面、まずは2月4日投開票の名護市長選挙が最大の闘いとなる。稲嶺進市長の3選を闘い取らなくてはならない。市長に、稲嶺市政8年間と今後の政策展望を、山内末子さん(前沖縄県議、広範な国民連合全国世話人)に聞いてもらった。全国からの応援が求められる。(山本正治全国事務局長、本誌編集長。文責編集部)

山本正治 沖縄では2月4日に名護市長選挙で、稲嶺ススム市長の3選をかけた闘いとなります。市長選ですから、これからの名護市政の4年間のかじ取りを決める上で重要ですけれども、沖縄県民の全体にとっても、名護市民の皆さんも当然ですが、辺野古新基地建設問題は県民全体にとっても非常に重要な課題で、県政にとって当面する最大の課題です。11月には翁長知事再選がかかった県知事選挙があります。そうした行く末を決める意味でもこの市長選は非常に重要だと思います。
 沖縄の米軍基地問題は、言うまでもなく「沖縄問題」ではなくて、日本の生き方に関わる問題です。今、安倍政権は必死になって、翁長知事、稲嶺市長を先頭とする沖縄県民の闘いを押しつぶして日米同盟強化と軍事大国化でアジアの情勢に軍事力で対処するという方向です。何としても沖縄県民の闘いを押しつぶして対米従属路線の自民党政権を長生きさせようとしています。
 そんな意味で今度の市長選は、名護の市民の皆さんにとっても県民の皆さんにとっても大変重要ですけれども、日本国民全体にとっても非常に重要な市長選だと思います。稲嶺市長には、ぜひとも頑張っていただきたい。
 市長を先頭とする闘いをぜひとも全国に伝えたい。というのも全国エリアのマスコミはほとんど報道しない。全国の読者の皆さんに伝えて、全国からできる支援を呼びかけるために、このインタビューを山内末子さんを通じてお願いした次第です。よろしくお願いします。

山内末子 早速ですが、もう2期8年間になるわけですが、稲嶺ススム市長は、「海にも山にも新しい基地は絶対に造らせない」という思いで、市民の付託を受けて頑張ってこられた。その姿は沖縄県民だけでなく全国の皆さんからも評価は大変高いと思っております。
 そこで、3期目に向けて市長が思っていることをお伺いするわけですが、まずこれまでの2期8年間の感想を少しお聞かせください。
稲嶺ススム まず、1期目の選挙戦では、辺野古新基地建設問題と、それに伴う米軍基地再編交付金の問題が大きくクローズアップされて争点になった。
 私は、再編交付金がなくても市の財政はきちんと運営できるし、また、安定すると主張してきました。実際に、市財政は減るのではなくて、逆に2期8年間に総額で500億円あまりも歳入が増えています。そういう、自主的財源といいますか、再編交付金がなくても、まちづくりはできる、市の財政もしっかりと運営できることを数字でもって示せた。
 当時は、再編交付金がなければ市内企業は倒産するとか財政が破綻するとか、さかんに言われましたけれども、それを覆すことができました。なくても名護市は発展できるという証明をこの8年間でやれたと思っています。
 そのなかで私は、すべては子どもたちの未来のためにということで、子育て支援や教育環境の整備などに、人も予算も含めてかなり注入をしてきました。それは逆に言えば、子育て支援のような再編交付金では対象にならない事業であってもしっかりとやってきたということで、市民の皆さんもそのことが8年間で分かってきたのではないかと思います。再編交付金がなくても、市政運営をうまくできるというのであれば、あんな危険なものを置かなくてもまちづくりはできるんだという、そのことを示すことができた8年だったのではないかと思っています。
山内 8年前に稲嶺市長が誕生してから、市内で辺野古新基地建設について皆さんが勇気をもってノーと言える土壌がつくられてきたと思います。市長が誕生していなければ、もしかすると地元は賛成だからということで、翁長知事も誕生していなかったのではないかと思っています。
 この流れが翁長知事を誕生させ、辺野古については県民の7割、8割の皆さんが反対という意志を示す大きなきっかけになったと私たちは思っています。それが全国にも大きな勇気を与えていると思っています。
 それでも安倍政権は基地を押しつけてくる。これももう地方自治の崩壊、地方自治がないがしろにされているということです。その意味でも、この選挙の意義というのはとても大きなものがあると思っています。地方自治をやはり大事にしていくためにも、全国に向けてもやはりこの選挙を勝ち抜いていかなくてはならない。そのへんについて、政府対地方ということ、地方自治とか民主主義とかそういう角度から少しお考えを聞かせてください。

辺野古は日本の民主主義と地方自治を問う現場

稲嶺 おっしゃられるように、今、名護市の辺野古の問題は日本の民主主義と地方自治を問う現場であると思います。そういう意味でわれわれの闘いは、日本のあるべき民主主義、あるいは憲法でうたわれた地方自治をしっかりと主張する闘いです。地方の自決権がきちっと守られるための闘いが今ここで行われていると思います。
 今、辺野古の現場では本当に何でもありの状況となっています。菅官房長官などは、法治国家と言うけれども、自ら手続きは無視する、法律は全く都合のいいように解釈して強行していく、そういう状況があるわけです。ですから、名護の問題あるいは沖縄の問題でなくて地方自治とか民主主義、人権の問題ですよ。そういう意味で辺野古の問題は全国の問題と言えると思います。
 われわれはそれを今、住民運動として権力に抗う、非暴力でずっと闘っていく。私はまた行政の長としても、政治家という立場もありますけれども、行政の長として言いますと、地方自治法上でも、名護市長に与えられているいろいろな権限があるわけですから、それらを市民益とか県民益という立場でしっかり行使をしていく。住民運動と政治、それから行政という、三位一体となった運動が安倍政権の暴走を止める大きな力になるだろうと確信します。
 名護市民のみならず、県民から、さらに全国から、皆さんの強い支えと言いましょうか、バックアップがあるから私も踏ん張っていける。皆さんと一緒にこれからも強く進んでいきたいという思いです。
山内 ありがとうございます。ゲート前に掲げてあります「民主主義は私たちだ」。まさにそれだと思います。
 ただ、日本全国から見るとまだまだ沖縄は基地で食べているんだと、やはり基地がなければ成り立たない、予算が成り立たないじゃないかという、まだそう見ている方が、国会議員の皆さん方でもそういうふうに思っている人が多いわけです。それに対して、市長が8年間、再編交付金を受け取らずにしっかりと予算をつくってきた実績を示しながら、全国に向けても見本になるようなことだと思いますので、少し、再編交付金を受け取らずに予算をつくってきたという実績の方をもう少し具体的に聞かせてもらっていいですか。
稲嶺 わが国には、国交省であったり、文科省であったり、省庁ごとに全国一律の補助金制度、メニューがあるわけですよね。ですから、ただ、その省庁が持っているメニューの補助率と比べ、再編交付金であったり、防衛関連のものであったり、防衛関連のものは補助率が高いわけですね。高いから確かに有利なものと言えます。今、沖縄は全国に比べて、学校であったり道路であったりの補助率は高めに設定されています。道路を造ったり、学校を造ったりするのは80くらいの補助率だとすると、いわゆる防衛関連のものは90くらい。その10パーくらいを、自前でやらないといけませんから、どう造るかなんですよ。
 その10パーをもらうために、われわれはこれから後100年以上も米軍基地を受け入れるのか。70年間も不条理な差別を受けながらやってきたのに、後100年もまた同じことをやるのか。100年後のことを考えるのと10パーセントを取るのと、どっちの方が将来の子どもたち、孫たちにとっていいのかというと、それははっきりしているわけですよ。
 その10パーの負担と言ってもできないわけではないわけですから、予算も伸びると同時に財政調整基金であったり、それから公共施設基金であったり、これまで増やして積み上げてきましたから、これが自己負担分のバックになるわけですね。そういうこともできるように、余分なものは削っていく。この財政改革というのでしょうか、そういう中で非常に工夫をしながら積み立てをしていく。職員が非常に努力をして頑張ってきたということも、今日の大きな実績をつくる力になったと思います。
山内 すごい実績だと思います。前市長の時の予算規模287億円から382億へと100億もアップですし、それから、財政調整基金積立額も約倍ですよね、38億から72億に。建設事業費も64億円から125億円と倍にしている。建設事業費は那覇市に次いで多い。那覇市はもちろん財政的に大きいですから、それに次いで2位ということは相当な予算規模です。
 選挙になると、自民党側がよく攻撃するのに、革新系の市長、首長になると国とのパイプがなくなって予算が下りてこないから仕事がなくなる、あるいは建設が何もできなくなるなどと言う。私のうるま市長選の時もそういうことがありました。
 稲嶺市長が、安倍政権に対してノーという姿勢をとりながら、こうした実績があるということは、すごい大きな、他の全国に向けてもアピールできることだと思います。
稲嶺 わが市議会でも、「稲嶺不況」という話をやる人もいたりするんですよ。私は全然何も聞いたことはないけど。ならばこの数字を見せて説明してくださいと言っているんですけれどもね。やはり数字はウソをつかない、一目瞭然ですから。
山内 次の3期目に向けての抱負ですとか、あるいは基地の辺野古新基地建設と、そして住民の福祉・サービス、暮らしについてどのような方向をもって、この選挙に臨むのか、お願いいたします。

すべては子どもたちの未来のために

稲嶺 2期目もすでに申し上げましたように、すべては子どもたちの未来のためにという、そのことでやりました。これからも子どもたちのためにという柱は、しっかりと維持していこうと思います。親、大人がやるべきことは、次の子どもたちや孫たちの時代に安心して暮らせる、もちろん平和で、安心・安全で自分が生まれ育ったところできちっと生活ができる環境をつくっていくというのが、われわれ大人の責任だと思うんですね。ですから、ここには何も飾ることもないし、当たり前のことを今の大人が考え、決断していけばいいと思うんです。
 辺野古の問題でも同じことが言えると思います。仮に再編交付金をもらうにしても、再編交付金は期限が決められているので、それが終わったら後はゼロになるんです。残るのは基地とそこから発生する負担だけしか残らない。ですから本当に持続していく町をつくるのであれば自分の足で歩く。そして、自分で汗をかくということが一番大事。これが本当に自立して経済もつくれるし、それから社会もつくれると思います。そのためには私は「地域力」と言っています。
 これまで見てきましたけれども、地域力というのがものすごく大事なこと。今、核家族で隣近所、誰がいるか分からないとか、地域に対する意識もかなり薄くなってきたとか、よく言われます。ですから、この地域力こそが、安定した社会をつくる一番核になる部分だと思いますので、それをすることで安全・安心が生まれてくると思います。
 地域力を高めるためにはそこできっちりと、仕事がある場所をつくらないといけない。仕事のある場所、それを何でつくっていくか。今、沖縄は観光が右肩上がりで増えています。北部、ヤンバル(山原)がその受け皿になる、観光政策をきちんと出していくことが必要です。
 今は観光も見るだけじゃなくて体験交流型となってきています。農業や水産業など一次産業と観光とのコラボで新しい仕事が地域に生まれる、そういう連鎖で働く場所をつくる。その場合に観光も、以前のように開発型の施設じゃなくて、残されている自然をしっかりと生かして、それが一つの大きな資源となるような、そういうものができるのは名護、ヤンバルだと思います。そういう意味ではこの地域にはまだまだいっぱい可能性が残されていると思います。今回の選挙でそういう方向を打ち出していこうと思います。
 実は名護市は2020年には市制50周年の節目を迎えます。この市制50年を今回の中で位置づけたいと思っています。この50年を振り返って、そして、現実を見つめ直して、次の50年を見据える。次の50年のために、今生きている人たちができることは何かという話を市民とともに議論しておきたい。皆の知恵でつくり上げていきたいという思いです。
山内 話を聞くたびに夢があふれて、可能性が大きく広がって大変期待をするところです。
 けれども選挙ですので、自民党、政権与党が総力で本当にすごい圧力をかけてくる。私の選挙の時もそうでしたけれども、「そこまで政府が手をつけるのか」という思いでした。そうした懸念がありますので、そういう圧力に対して市長として、もちろん絶対に屈しないという思いでしょうが、その決意についてお聞かせください。
稲嶺 2期目の時も、選挙の3日前に石破茂さん(当時自民党幹事長)が来て、500億円の基金をつくるという話をしました。でも、あんなことを言われたらやはり、これをワジワジしない(腹が立たない)人はいないですよ。その時もそうですけれども、何でこんな小さな町に来るんだと。これだけ強い圧力、金も含めてやるのか、と。
  それに対してやはり、名護ンチューもそうですがウチナンチューは、自分たちの町のことは自分たちで決める、つくる、市長も自分たちで決めるという思い、気概というかは皆もっている。それが一つの権力に対する、抵抗と言いましょうか、意識がしっかりと芽生えている。ずっとそういうものが根っ子にある、アイデンティティと言ってもいいのだろうと思います。しっかりと今守ることが、次につながることになると、そういう思いで頑張ろうと思います。
山内 ありがとうございます。稲嶺市長の頑張りというものが全国にとても大きな勇気を与えている。モデルになっていると思います。今回、私たちも頑張ります。全国から応援していきますので、全国の皆さんに向けて、最後に一言、コメントをいただきたいと思います。
稲嶺 これまでもそうですけれども、全国から本当にすごい支援をいただきました。これは本当に心強いものとなって、われわれの運動を支えていると思います。
 この辺野古の問題は名護、沖縄だけの問題ではない。名護も沖縄も孤立していないという状況を、全国の皆さんにつくり上げていただければ、厳しい状況にも、われわれはしっかりと踏ん張って耐えて、そして必ず勝利をつかむことができると思います。全国の皆さんにもこれからもまた、ぜひ力強いご支援をお願いしたいと思います。
山内 ありがとうございました。本当に力強いコメントをいっぱいいただけて、私たちも頑張ります。全国の皆さん、共に闘いましょう。

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