『米国一極支配の終焉と日本の選択』(孫崎享著)
漂流する日本の羅針盤を求めて

岐路に立つ日本の政治情勢
現在、日本の政治は歴史的な転換点に立たされている。戦後一貫して維持されてきた「平和国家」としての歩みが、根本から変わる可能性を孕んでいる。先の衆院選では、与党である自民党・維新の会が350議席を超える圧倒的多数を確保し、第二次高市内閣が発足した。
中国の台頭を背景とした「フルスペックの集団的自衛権」の容認、憲法第9条2項の削除といった改憲案の推進は、現政権が対外強硬路線を鮮明にしている証左である。さらには、対GDP比2%という防衛費増額計画の前倒しや、官民合わせて総額80兆円規模にも上る巨額の対米投資の推進は、日米の主従関係をいっそう強化させている。
こうした状況下で、対米追従の単なる軍事力強化が唯一の選択肢なのか。日本は中堅国家としていかなる役割を果たすべきか。本書は、これらの問いに対する日本の外交政策の展望を提示する。 続きを読む





現代日本の高等教育が非常勤講師という名の非正規雇用者によって支えられていることに多くの人は気が付いていないでしよう。非常勤講師の実態については、文部科学省の「学校基本調査」や総務省の「労働力調査」にも詳しく取り上げられることがなく、ほとんど知られていません。
私の古い友人である嘉田由紀子さん(前滋賀県知事)が滋賀県政の政策形成過程を振り返って、現在の問題意識をつづった本を最近出版した。非常に興味深い内容なので、ぜひご一読を願って紹介したい。
少子高齢化の進展にもかかわらず財政難の中で社会保障は行き詰まり、中間層の地盤沈下によって、「低所得層への救済」どころではないという空気も強まっている。そうした中で、「大きな政府」による国民の安心を目指してきたリベラルは、どうすればいいのか。本書は、その対策として、広く薄く負担する消費増税を通じ、中間層も含めた幅広い層に基礎的な公共サービスを手厚く保障する政策を提案する。合言葉は、「みんながみんなのために」。ただ、そこで湧いてくる疑問は、「みんな」とはだれのことか、ということだ。