日本の進路を考える一覧

歴史的転換期の進路を考える

日本はどう生きるか

衆議院議員 古川 禎久

拠って立つところ

 世界を見わたすと、超大国アメリカが内向きになりプレゼンスを縮小させる一方で、覇権主義の中国がめざましい勢いで台頭している。国力を失いつつある日本にとって、見通しのきかない実にやっかいな時代となった。
 日本はどう生きるべきか。その答えを出すには、まず、日本がどんな国なのかを見つめ直すことが大事だ。 続きを読む


米中激突の国際情勢とわが国の進路

以下は、広範な国民連合「第3回全国世話人会議への報告と提案」の中の、「激動の国際情勢見通し、展望」の部分に議論を踏まえて若干加筆したものである。今日の情勢をより深く歴史的に評価するうえで重要と考え編集部の責任で紹介する。

衰退したアメリカは、新興する中国を軍事力を使ってでも抑え込みドルと覇権を維持しようと画策し、世界を破局の瀬戸際に追い込みかねない。世界の国々は小国も大国も「アメリカ第一主義」の世界支配に反発を強め、アメリカの戦後世界支配に代わる新しい時代が近づいている。 続きを読む


世界の変化見据えて日本の「基軸」打ち立てよ

舟山康江・参議院議員に聞く

「自国中心主義」の背景に国民の声

 今、世界の情勢が大きく変わりつつあると感じています。その一つはアメリカでのトランプ政権の登場です。イギリスのEU(欧州連合)離脱や、欧州各国での極右政党の台頭など、これらの状況に対し、日本政府はもっと真剣に、現状や背景にある世界の流れなどを正確に分析し、対応すべきだと思います。
 安倍政権は「保護主義はダメだ。自由貿易をもっと進めるべき」と言っています。総論はそうかもしれません。ただ、この間の国際状況の変化について、これらを単に「内向き、保護主義」と見るべきではありません。
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永続敗戦レジームと改憲問題

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白井 聡(京都精華大学人文学部)

 広範な国民連合・大阪が、5月25日、白井聡さんの「永続敗戦レジームと改憲問題」と題する講演会を開催した。本稿は編集部が、その講演から憲法問題の部分だけを取り出したものである。安倍政権は、秋の臨時国会にも「改憲案」を上程すると、異常なまでの前のめりである。9条改憲を阻止しなくてはならない。白井さんは講演の中で、改憲に反対する運動を発展させる重要な問題提起をしている。改憲を阻止する壮大な戦線を形成するうえで重要な意義をもつであろう。(見出しも含めて文責編集部)

 改憲問題が本格化しているが、これは安倍さんが執念を燃やしてきた課題です。ともかく、安倍さんに改憲などさせては絶対にならないと強く思っています。皆さんも同じだと思います。
 他方で、いまの憲法と現実に矛盾はやはりある。憲法を素直に読めば、一切の軍事力を持てないはずなのに、自衛隊はすごい武器を持っていますから、事実上の軍事力です。ですから「なぜ自衛隊を持てるのか」についての政府の公式見解はやはりまどろっこしいものになる。自衛隊の法的ステータスが脆弱と言わざるを得ない。しかも自衛隊の活動範囲はどんどん広がってきてしまった。南スーダンはようやく撤収ですが。法と現実との乖離が大きくなっているわけです。これを何とかしなくてはならないことは間違いない。 続きを読む


世界的な大動乱 自立した外交・安保政策を打ち立てよ

2016-shinroRogo

『トランプ登場で激変する世界』著者

英 正道 氏・元イタリア大使 に聞く

 まずは、広範な国民連合の機関誌が私の本に関心を持って下さったことに感謝します。

 私はこの本で、トランプ大統領が登場したことで、アメリカという国がこれまでとは非常に大きく変わっていくと考え、その結果、世界は大きな転換点を迎えることになると強調しました。イギリスの欧州連合(EU)離脱も欧州に大変革を迫っています。つまり、世界は米国という求心力を失い、大国各国がそれぞれ、自国本位の主張をする乱れた状況になっていくということです。そうした世界で「日米同盟の日本」で今後もやっていけるのか、自立が問われているのではないか。いろんなレベルでこうしたことについて議論してもらいたいと思っています。そんな意味での「たたき台」のつもりでこの本を書いたのです。 続きを読む


北朝鮮の脅威と日本の不可解な対応

2016-shinroRogo

<シリーズ・日本の進路を考える>
世界の政治も経済も危機は深まり、わが国を亡国に導く対米従属の安倍政権による軍事大国化の道に代わる、危機打開の進路が切実に求められている。
本誌では、各方面の識者の方々に「日本の進路」について語ってもらい、随時掲載する。(編集部)

丹羽宇一郎

 北朝鮮の脅威が再び高まっています。相次ぐ示威的な行動に対し、米国など国際社会も強硬姿勢を示しています。なんともきな臭い空気が漂う中で、どうしても首をかしげたくなる動きがあります。日本政府の一連の対応です。 続きを読む


対米追従の限界~背筋凍るTPPの真実

2016-shinroRogo

<シリーズ・日本の進路を考える>
世界の政治も経済も危機は深まり、わが国を亡国に導く対米従属の安倍政権による軍事大国化の道に代わる、危機打開の進路が切実に求められている。
本誌では、各方面の識者の方々に「日本の進路」について語ってもらい、随時掲載する。(編集部)

食料安全保障政策の確立を

東京大学大学院教授 鈴木 宣弘suzuki-tpp

 「東京オリンピックまで首相を続けたい」という発言に象徴されるように、米国に追従して自らの地位を守り、国民の命と生活を犠牲にする政治は限界に来ている。米国でも批准が困難になっているTPP(環太平洋経済連携協定)を決めようと、日本政府は水面下で国益を差し出し、ひとり批准を急ぐ。
 危険水域に入った暴走政治の現状と背筋凍るTPPの真実を見る。 続きを読む


これからの世界でどう生きていくか・丹羽宇一郎さん語る

2016-shinroRogo

<シリーズ・日本の進路を考える>
世界の政治も経済も危機は深まり、わが国を亡国に導く対米従属の安倍政権による軍事大国化の道に代わる、危機打開の進路が切実に求められている。
本誌では、各方面の識者の方々に「日本の進路」について語ってもらい、随時掲載する。(編集部)

いまこそ、独自の新しい日本の国家像を

財界人・元中国大使 丹羽 宇一郎さん

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いま求められる「真実を語る」勇気

 これからの世界情勢の中で、どう生きていくかは、いま、日本のいちばん大きなテーマです。そのためには、「真実を語る勇気」が求められていると思います。
 世界のあちこちで、問題が起きています。

 私に言わせれば、こうしたことについて、政府はもちろん、それに反対している人びとも、学者、文化人と言われる人びとも真実を語る努力をしていない。取り繕ったり、自分の都合のいい立場の議論をしている。 続きを読む


日本の「原子力平和利用」の内実と現状

2016-shinroRogo

<シリーズ・日本の進路を考える>
世界の政治も経済も危機は深まり、わが国を亡国に導く対米従属の安倍政権による軍事大国化の道に代わる、危機打開の進路が切実に求められている。
本誌では、各方面の識者の方々に「日本の進路」について語ってもらい、随時掲載する。(編集部)

小出裕章(元京都大学原子炉実験所)

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騙され続けた国民

 日本で「原子力」といえば、多くの人は「原子力発電」を頭に描く。原子力発電は「平和利用」と言われ、人類の未来のエネルギー源を担うと言われた。それが実現できれば、電気の値段がつけられなくなるほど安く発電できるとも言われたし、厳重に安全審査をするので、大きな事故など決して起こらないと言われた。

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安倍政権いう「戦後レジーム」は「永続敗戦レジーム」に他ならず

2016-shinroRogo

<シリーズ・日本の進路を考える>
世界の政治も経済も危機は深まり、わが国を亡国に導く対米従属の安倍政権による軍事大国化の道に代わる、危機打開の進路が切実に求められている。
本誌では、各方面の識者の方々に「日本の進路」について語ってもらい、随時掲載する。(編集部)

面白い時代状況、覚悟をもって臨もう

白井 聡(京都精華大学教員)

 本論は、8月18日の第13回全国地方議員交流会全体会合での白井聡さんの問題提起での発言を加筆修正したものです。(編集部)

■諸問題を結ぶ共通点は何か

 私はいまのさまざまな政治的課題を貫く、「共通の構造」というものがあると思っています。
 例えば、沖縄を取り巻く諸問題についてです。ときの政権は、長年、沖縄を構造的差別ともいうべき状況に置き続けてきました。そして、それに対する不満がまさに爆発しつつあります。にもかからず、沖縄県民の声に耳を貸さずに、辺野古への新基地や、高江のヘリパッド建設などを強行しようというのが、安倍政権がやっていることです。 続きを読む


「憲法9条とわれらが日本」―未来世代に手渡したい

2016-shinroRogo

<シリーズ・日本の進路を考える>
世界の政治も経済も危機は深まり、わが国を亡国に導く対米従属の安倍政権による軍事大国化の道に代わる、危機打開の進路が切実に求められている。
本誌では、各方面の識者の方々に「日本の進路」について語ってもらい、随時掲載する。(編集部)

大澤 真幸(社会学博士)

日米安保条約によって9条の精神は骨抜きにされている

Oosawa 皆さんは、参院選ではたくさんの政党があって、その中で自公が勝ったと思っているかもしれないが、そうではない。これから話すことは、一瞬「えっ!」と思われるかもしれないが、よく考えればすぐに分かっていただける。表向きは自公の勝利で野党の敗北という図式に見えるかもしれませんが、そう言ってしまうと、事柄の本質は見えなくなる。 続きを読む


巨大企業が税金を払わない税制をつくっている政治

<シリーズ・日本の進路を考える>
世界の政治も経済も危機は深まり、わが国を亡国に導く対米従属の安倍政権による軍事大国化の道に代わる、危機打開の進路が切実に求められている。
本誌では、各方面の識者の方々に「日本の進路」について語ってもらい、随時掲載する。(編集部)

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企業課税の公正化で年間9兆4065億円の財源

中央大学名誉教授・商学博士 富岡 幸雄

世界の首脳らの税逃れが暴露 —– リークされた「パナマ文書」の激震

富岡顔写真大

 中米のパナマのある法律事務所の何十年間にも及ぶデータが、なぜか表に出ました。ロシアのプーチン大統領、イギリスのキャメロン首相、中国の習近平主席とかの偉い人たちの名前が出ました。親族とか身内の子分の名前で膨大な資産を租税回避地(タックス・ヘイブン)に蓄積しているわけです。世界の政治指導者が私利私欲をはかっているのです。毎日の生活追われる国民から見ると何のことか、どこの国、どこの世界のことかと、みな狐につままれています。 続きを読む


「アメリカと一体化すれば日本は平和になる」のか?

<シリーズ・日本の進路を考える>
世界の政治も経済も危機は深まり、わが国を亡国に導く対米従属の安倍政権による軍事大国化の道に代わる、危機打開の進路が切実に求められている。
本誌では、各方面の識者の方々に「日本の進路」について語ってもらい、随時掲載する。(編集部)

2016-shinroRogo

世界が直面する戦争の実像

内閣官房副長官補・元防衛省 柳澤 協二

yanagisawa顔 世界は、そして日本は、三つの戦争に直面している。
 一つは、領土をめぐる古典的戦争、二つ目は、20世紀後半にはじまる大国間の勢力争いを背景とする覇権と支配の戦争、そして三番目に、イスラム原理主義に基づく暴力とこれを根絶するための暴力の対立に起因する戦争である。 続きを読む


大転換の時代―せめぎあう新・旧の「世界秩序」―

<シリーズ・日本の進路を考える>
世界の政治も経済も危機は深まり、わが国を亡国に導く対米従属の安倍政権による軍事大国化の道に代わる、危機打開の進路が切実に求められている。
本誌では、各方面の識者の方々に「日本の進路」について語ってもらい、随時掲載する。(編集部)

2016-shinroRogo

アジアサイエンスパーク協会名誉会長。元神奈川県副知事
久保 孝雄

世界史的大転換の時代始まる18-kubo顔

 いま世界は歴史的大転換の時代に際会している。2014年に中国のGDP(17兆6120億ドル、PPPベース、以下同じ)がアメリカ(17兆4180億ドル)を抜き、新興国G7のGDP(38兆1410億ドル)が先進国G7(34兆7400億ドル)を大きく上回ったこと、さらに、アジアのGDP(23兆ドル)が、EU(18兆ドル)やアメリカ(17兆ドル)をはるかに凌駕したことなどが世界史的大転換への重要なメルクマールの一つになった(IMF:Economic Outlook Databook 2015。PPP=購買力平価)。 続きを読む