国内情勢・政治一覧

安保3文書閣議決定の撤回を求める 伊藤 周平(上)

防衛費増・軍事大国化と社会保障(上)

鹿児島大学教授 伊藤 周平

 

 

 

 

1 問題の所在―コロナ死者数急増と防衛費増

 2022年2月に勃発したロシア・ウクライナ戦争を契機に、対中国包囲網戦略を進め同盟国に軍拡を求めるアメリカからの圧力もあり、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国に求められている軍事費の国内総生産(GDP)比2%程度までの日本の防衛費の増額を求める声が自民党内から上がった。同年7月の参議院選挙では、自民党は、防衛費を5年以内にGDP比2倍以上(現在の約5・4兆円→11兆円以上)に引き上げることを公約に掲げ勝利した。

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安保3文書閣議決定の撤回を求める 柳澤 協二

「安保3文書」の危うい論理

国際地政学研究所理事長(元内閣官房副長官補) 柳澤 協二

 

 

 「戦後安保戦略の大転換」の要である「反撃能力」に関する論理の危うさを、すでに何度も指摘してきた。昨年末に「国家安全保障戦略」など3つの文書(以下、「3文書」という)が閣議決定された。私の年齢になると、読んで賢くなる期待を持てない文書を読むのは時間の無駄だという思いはあるが、なぜこんな発想が出てくるのか、その背景を知りたくて、3文書を読んでみた。以下は、その粗々の感想である。

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沖縄から 屋良 朝博

それでも戦争できますか?

新外交イニシアチブ評議員、前衆議院議員 屋良 朝博

 

 

 

十字砲火

 沖縄の米空軍に大きな変化が起きている。同時に嘉手納飛行場の爆音が激化している。
 嘉手納に常駐配備だった主力戦闘機F15C/Dが退役、撤退する。モデルの新旧入れ替えであり、既定のこととはいえ、注目はその穴埋めとして最新鋭のステルス戦闘機F22を「ローテーション」で暫定配備する措置である。
 米空軍が抱く危機感が「ローテーション配備」を導入する理由だとする米報道もある。常駐とローテーション配備の大きな違いは家族が一緒に沖縄に住むかどうかだ。常駐は家族帯同であり、ローテーションなら兵士のみの沖縄赴任になる。有事を想定すると家族は足手まといになりかねない。

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統一地方選を前に 地方自治体の現場から

国の防衛政策に、住民や自治体は関われないのか

西之表市議会議員 長野 広美

 

 

 

 昨年秋の臨時国会は10月3日に始まり、12月10日に終えた。岸田政権は何はさておき、戦争をする国をつくろうと邁進している。にもかかわらず、国民の代表である国会の場での議論が全く聞かれないことに強い危機感を抱く。
 この国の憲法は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意」と前文に明記しているにもかかわらずである。

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統一地方選 暮らしを大切に地方から声を上げる

平和をめざし、日中友好を進めていきましょう

和歌山県議会議員 藤本 眞利子

 

 

 

 

 今日の新聞にも「防衛費2%首相指示」との見出しが一面に大きく掲載されています。新聞には27年度をめどにトマホーク500発購入へという文字が躍っていました。
 日教組出身の私としては、「教え子を再び戦場に送る日」も近いのではと暗澹たる気持ちになってきます。
 国民の中には、ロシアのウクライナ侵攻を目の当たりにし、いつ何時日本が攻められるかもしれないといった漠然とした不安があって、国の動きを容認してしまう空気感につながっているように思います。

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「専守防衛」と「全方位・アジア重視外交」の原則を変えてはいけない

中国敵視の「安保戦略」閣議決定を撤回せよ

 

『日本の進路』編集部

 

 岸田政権は12月16日、外交・防衛政策の基本方針という「国家安全保障戦略」など安保関連3文書を閣議決定した。「敵」基地攻撃など、わが国政府の外交・防衛政策の歴史的大転換である。明らかに憲法違反で、しかも先制攻撃で国際法違反になりかねない。こうした重大な決定が国会を完全に無視して強行された。

 敵基地攻撃の「抑止力」強化で、平和を確保することはできない。アメリカの対中国包囲網、戦争政策の最前線に立たされ、不測の軍事衝突がいつでも起こり得る。際限なき軍拡競争となり、アメリカから大量の武器を購入し、国民は軍事費負担に耐えられない。新たな「戦前」を引き寄せてはならない。

 中国敵視の安保関連3文書閣議決定の撤回を強く求める。

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国民の命の危機と戦争の危機と

軍事費倍増ではなく、国民生活こそ防衛せよ

『日本の進路』編集部

中村進一 ( 三重県議会議員)

 10月から食料品価格が軒並み上がり、電気料金も前年同月比26%(東京電力)のアップだ。長く続くコロナ感染症もあって、仕事を失ったり、収入が大幅に減ったりの多くの国民にとって極めて深刻な事態だ。
 ところが、「防衛力の強化が最優先課題」とする岸田政権は、軍事(防衛)費を2023年度からの5年間で総額45兆円程度とする。倍増の大軍拡だ。武器を売り込む米国は大喜びだろう。だが、財政赤字を理由に毎年社会保障費は削減され年金も削られ、この10月からは後期高齢者医療費窓口負担が2割となった。国民の生命を削っての大軍拡を許してはならない。
 中国を「敵」にして軍拡を正当化する「国家安全保障戦略」改定と軍拡予算に反対し、「国民生活こそ防衛せよ」の声を上げよう!

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北東アジアを非核兵器地帯に

人類は崖っぷちに立っている

長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)准教授 中村 桂子

 

 

なかむら・けいこ 専門は国際関係論(核軍縮)。モントレー国際大学大学院国際政策研究修士課程修了。2001年~12年、NPO法人ピースデポの研究員として、核軍縮に関する国際会議の取材活動などに携わる。12年4月、核兵器廃絶研究センター発足に伴い現職に着任。

長崎大学核兵器廃絶研究センターは、「核なき世界の実現」を大学にとって枢要な課題とする長崎大学の共同教育研究施設であり、核兵器廃絶に向けた情報や提言、大学教育への貢献などの目的をもつ活動拠点として、長崎市や長崎県などとも連携を図りながら運営されている。

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台湾有事を避ける道

日本に足りないものは「反撃力」ではなく、
戦争回避の戦略

国際地政学研究所理事長(元内閣官房副長官補) 柳澤 協二

 

 

 

「敵基地攻撃で抑止」という不可解

 ロシアのウクライナ侵攻を受けて、日本では、反撃力(敵基地攻撃能力)をはじめとする防衛力の抜本的強化と、日米同盟強化の議論が盛んである。これらはいずれも、抑止力・対処力の強化として語られている。それだけの力を持てば戦争を抑止すると同時に、戦争になっても負けない、という論理である。

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「軍拡」が最重要課題の第2次岸田改造内閣発足

アジアの平和と国民の命・暮らしを守る国民運動を

『日本の進路』編集部

 第2次岸田改造内閣が8月10日、発足した。首相は記者会見で、「防衛力の抜本的強化が最重要課題」と述べた。
 感染症の爆発的蔓延、急激な物価高、低迷する経済。命と暮らし、経済を守ることが最重要課題だ。防衛力強化では平和は守れない。近隣国を「敵」にしない外交も喫緊の課題。
 新内閣も、「旧統一教会」との関係が次々露呈。ましてや、「安倍路線の継承」はあってはならない。
 「アジアの平和と国民の命を守る」国民的闘いが急がれる。

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進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」

台湾有事 軍事強化と戦う住民

 

 

 

 

「沖縄の基地が使用不能になった場合に備える」とは?

沖縄だけでなく、九州各県をはじめ全国の自衛隊で、米軍で、対中国の戦争準備態勢強化が急である。
鹿児島県から関東まで、各地からレポートしてもらった。築城基地強化では、防衛省は「武力攻撃を受け、沖縄の基地が使用不能になった場合」と言う。その時、沖縄はどうなっているのか? ゾッとする動きである。(編集部)

 

◇ 進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」(各地レポート)

1 進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」  

 

鹿児島

鹿児島での軍事基地化の動き
強引に進む馬毛島基地計画
鹿児島県議会議員 上山 貞茂

2 進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」  

 

宮崎県

自衛隊新田原基地(宮崎県)
F35Bを20機配備、米軍用弾薬庫も
宮崎市議会議員 中川 義行

3 進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」  

 

佐世保市

自衛隊水陸機動団強化(佐世保市)
訓練に反対し漁民や住民が声を上げる
広範な国民連合・長崎 代表世話人 中村 住代

4 進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」  

 

福岡県

自衛隊築城基地(福岡県)
「沖縄の基地が武力攻撃で使用不能になった場合」にと急ピッチで進む米軍基地化
平和といのちをみつめる会代表 渡辺 ひろ子

5 進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」  

 

山口県

極東最大の岩国基地(山口県)
連日の訓練、機能強化が進む
岩国市議会議員 姫野 敦子

6 進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」  

 

京丹後市

米軍Xバンドレーダー基地(京丹後市)
目的は「米国本土防衛」、犠牲は日本に
京丹後市議会議員・米軍基地建設を憂う宇川有志の会 永井 友昭

7 進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」  

 

横須賀・厚木

横須賀と厚木――大きく変わる基地の使い方
木元 茂夫(神奈川県を中心に反戦・反基地運動に参加)

8 進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」  

 

米軍横田基地

米軍横田基地
進む実戦訓練基地化
横田・基地被害をなくす会 代表 大澤 豊

ウクライナ戦争の教訓に学ぶ

日本は、「緩衝国家」として「人権大国」になれ

アフガン戦争などで『紛争処理』に関わった 伊勢崎 賢治 教授に聞く

 

 

 

一刻も早く「停戦」を

 「戦争反対」や「反戦」というスローガンは非常にミスリードされやすいものになっている。「ロシアによる侵略に反対」に僕も異論はないが、それはウクライナに大量の武器供与をしている米国・NATOの陣営と、「ウクライナのようにならないために抑止力が必要」と日本の軍備を倍増し日米同盟を強化したい陣営に、巧妙に取り込まれる。

 日本の護憲派も「反戦」を叫ぶが、それはウクライナに「もっと戦え」と言っているのと同じだと気がつかない。そして、「プーチンは独裁者」には僕も異論はないが、紛争当事者の片一方だけを「悪魔化」し、第一次、第二次世界大戦のように、相手が滅ぶまで完全勝利を目指す戦争に参戦していることに気がつかない。

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進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」 横田基地

米軍横田基地
進む実戦訓練基地化

横田・基地被害をなくす会 代表 大澤 豊

 横田基地では最近、次々と新たな課題が増えている。5月に「Beverly Morning22-01」という名前の訓練が行われ、米軍三沢基地の戦闘機F16が12機飛来。迅速機敏戦闘展開(ACE)と重大事故即応演習(MARE)が行われた。早朝から夜間という時間帯に複数機で同時に離発着し、基地周辺だけではなく遠隔地にまでも轟音が鳴り響き、基地から離れて生活している私自身も驚いた。訓練のために三沢基地所属のパイロットや整備士など150人が参加し、期間中は横田基地に滞在した。また訓練名に22-01という番号が振り付けられていて、次の22-02もあるかもしれないと思わされた。

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進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」 横須賀と厚木

横須賀と厚木――大きく変わる基地の使い方

木元 茂夫(神奈川県を中心に反戦・反基地運動に参加)

 米の原子力空母リンカーン(全長333m、満載排水量10万3637トン)の入港について、外務省北米局日米地位協定室長が横須賀市に説明に来たのは5月18日。しかし、その内容たるや「具体的な入港日時、滞在期間については、米軍の運用に関わるため現時点では承知していない。原子力艦船が我が国に寄港する際、寄港の24時間前に米側から通報を受けることになっている。今回の寄港も同様である」という極めて不親切な、最小限の情報提供であった。

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