ショック・ドクトリンは許されない
東京大学 鈴木 宣弘
新型肺炎の世界的蔓延への対処策で、物流の寸断や人の移動の停止が行われ、それが食料生産・供給を減少させ、買い急ぎや輸出規制につながり、それらによる一層の価格高騰が起きて食料危機になることが懸念されている。このような中で、その解決策は一層の貿易自由化であるかのような議論が国際機関から出てきていることは看過できない。まさに、災害資本主義、「火事場泥棒」的発想である。 続きを読む
東京大学 鈴木 宣弘
新型肺炎の世界的蔓延への対処策で、物流の寸断や人の移動の停止が行われ、それが食料生産・供給を減少させ、買い急ぎや輸出規制につながり、それらによる一層の価格高騰が起きて食料危機になることが懸念されている。このような中で、その解決策は一層の貿易自由化であるかのような議論が国際機関から出てきていることは看過できない。まさに、災害資本主義、「火事場泥棒」的発想である。 続きを読む
衆議院議員 屋良 朝博
全世界が新型コロナ感染症と闘う中、日本の検査数の少なさに諸外国から疑問を持たれています。その適否の論議は別に譲るとしても、布マスク全戸配布を含めどうも打つ手が国際標準から外れているようにみえます。独自性は大事ですが、独りよがりでは視野狭窄に陥ります。日本人は〝戦前〟の思考から決別できたのかという疑問が頭をよぎります。 続きを読む
社会学者 大澤真幸さんに聞く
「苦境の今こそ、21世紀最大の課題である『国家を超えた連帯』を実現させるチャンスだ」と喝破される大澤真幸さんに伺った。見出しを含めて文責編集部
——大澤真幸さんは、感染症のパンデミック、コロナ・ショックと言われるような状況を、「『グローバル資本主義』という社会システムの負の側面が顕在化した」と捉えておられます。ここが現状認識として最も重要なところだと思います。
「資本主義は、貨幣(マネー)と商品と人間をグローバル化し、それらを、国境を越えて運動させます。これら三つの中で、最も速いのが貨幣で、最も遅いのが人間です。人間は、貨幣や商品に引っ張られるようにして、国境を越えていきます。ということは何を意味するかというと、資本主義の下では、人間は、他者に対する自然な関心やコミュニケーションへの欲求によって移動した場合よりもずっと速く、広く拡散していく、ということです。もっとわかりやすく言えば、資本の利益に駆り立てられているとき、人間は、異常に速く、世界の隅々にまで移動していくのです。このことが、新型コロナウイルスの拡散がたいへん速かった原因になっています。14世紀のペストがユーラシア大陸の全体に広がったように、資本主義など未発達でも感染症は流行するのですが、今回のウイルスが瞬く間に世界中に行き渡ったのは、明らかに、私たちがグローバル資本主義の時代を生きているからです。もっと具体的に言えば、中国共産党の『一帯一路』の構想で、中国とヨーロッパのつながりが強くなっていたことが、アダになったと推測されます」 続きを読む
駒澤大学 小栗 崇資
おぐり・たかし 1950生まれ。駒澤大学教授(経営学・会計学)。著書に『内部留保の研究』(共著、2015)、『多国籍企業・グローバル企業と日本経済』(共著、19年)など多数。
新型コロナウイルスがもたらすかつてない危機に日本は直面している。非常事態宣言が出され外出自粛が要請されているが、それに対応した生活保障(雇用保障や休業補償など)については十分な対策がなされていない。感染爆発を防ぎ社会の崩壊を防ぐには、自粛要請と生活保障が一体となって行われねばならない。直接の現金給付等による国民の生活支援が緊急に求められるが、国民生活の危機を打開する抜本的な対策を行うためには多大な財源が必要となる。当面は、今年度予算を緊急対策に集中して組み替えをし、国債を発行するなどして資金を捻出したうえで、それを最終的に負担するための新たな財源を構想することが必要となっている。そうした財源の一つとして考えるべきは内部留保の活用である。日本企業(全法人280万社)の内部留保は463兆円(2018年度)に達しており、その活用について提案したい。 続きを読む
専修大学ジャーナリズム学科教授(言論法)山田 健太
やまだ・けんた 1959年生まれ。日本ペンクラブ専務理事。専門は言論法。青山学院大卒、2012年4月から現職。著書に 『沖縄報道』『法とジャーナリズム』『見張塔からずっと』『言論の自由』など多数。
潮目が変わった、と言うべきだろう。2週間前までは自粛しなくても大丈夫と外出していた人も、つい数日前までは布マスクに文句を言っていた人たちまでもが、一気に、世の中は「一刻も早い緊急事態宣言発令を」、そして「この国難の時に政府批判して何になる」という状況に変わったからだ。 続きを読む
(一社)全国労働安全衛生研究会代表・ 甲府市議会議員 山田 厚
新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、「医療崩壊」が始まっている。新型コロナウイルスはきっかけにすぎない。この間の、自民党政権の医療行政の結果引き起こされている。
まず、感染症の実態はどうなっているのか?
1999年に感染症予防法もできた。さまざまな医薬品も開発され、感染症の話題もないから、感染症は抑制されていると思うのが普通だ。しかし実態は違う。感染症はむしろ増えているのだ。 続きを読む
『日本の進路』編集部
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患者が世界中で261万人、死者も18万人を超え(4月23日午前現在)、しかも増加テンポは速まっている。少なくとも第2次世界大戦後最大の大惨事である。世界経済も、金融危機以来立ち直れず危機を深めてきていたが、コロナ・ショックで局面は変わった。IMF(国際通貨基金)は第2次大戦につながった1929年以来の大恐慌突入を警告する。各国で貧困層を中心に生活苦から暴動が頻発し始めるなど国内対立も、米中対立など国際関係も激化している。世界は激変している。 続きを読む
県外からの観光客が1000万人を超え、観光産業は沖縄経済の中心を担ってきたが今回のコロナショックで大打撃となっている。
連合沖縄(日本労働組合総連合会 沖縄県連合会)の東盛政行会長は3月19日、県庁に富川盛武副知事を訪ね、新型コロナウイルス感染症対策に関し、休業補償の拡充や無利子の融資などあらゆる支援策の実施や手続きを簡素化することなどを求める要請書を手渡し、県の緊急かつ強力な対策を申し入れた。 続きを読む
北海道議会議員 北口 雄幸
北海道内で最初の感染者が確認されたのは2月14日。次の確認は2月18日であり、この時鈴木直道北海道知事は道内出張中であり、先に発表したのは札幌市であった。そして北海道の発表の仕方が、その感染者の居住地や感染経路などを一切発表しなかったことから、道民の不安はさらに増幅されたのである。 続きを読む
安河内 賢弘・JAM会長 に聞く
昨年4月、加盟組合に行った景況調査で、景況感が大幅に悪化していました。続く9月の調査ではさらに景況感は悪化しました。
これには10月の消費増税の影響が入っていません。米中の貿易摩擦の影響で、中国経済が減速した点が大きいと思います。そして、それに消費増税が追い討ちをかけました。さらにそれが今回の感染症の世界的拡大でさらに落ち込むのではないかと見ています。 続きを読む
『日本の進路』編集部
新型コロナウイルスはパンデミック(世界的な大流行)に。公衆安全上の危機にとどまらず、100年に一度といわれた2008年の金融危機を上回る世界危機が避けられないと見られる。国民の生命と安全、健康を守り、急ブレーキがかかった経済混乱、間近となったバブル崩壊と引き起こされる恐慌から国民生活を守るために全力を挙げなくてはならない。
しかし、こうした危機の時ほど、貧困層を中心に国民に犠牲がしわ寄せされ、大企業や大銀行が肥え太る。「危機対策」で覆い隠されるが、危機の時ほど利害対立は最も熾烈となる。 続きを読む
広範な国民連合代表世話人 西澤 清
新型コロナ感染症の流行は、現在はヨーロッパを中心に猛威を振るっている。広範な国民連合は20年2月8日の全国世話人会で、「世界・日本中に起こりつつある『民族差別』を警戒し、差別を排除する運動に取り組む」と確認した。案の定、欧米からは、アジア人に対する差別が多くなり暴力行為も起こっており、アメリカでは銃砲店に身の危険を感じた購入者が殺到していると報じられた。 続きを読む
2020年3月29日 羽場久美子
コロナウイルスが世界に急速に拡大している。アメリカが中国、イタリアを追い抜きそうになっても全くメディア報道がない中、おかしいと思っているうち、アメリカはここ1日2日で感染者が2万人ずつ幾何級数的に増えて、中国、イタリアをあっという間に追い抜き、感染者12.4万人を超え、世界第1位の最前線を走っている。もうすぐ中国の2倍に膨れ上がりそうな勢いだ。
日本も数少ないながら、この2、3日、昨日の倍々で増え始めたので、2000、3000を超すのも時間の問題かもしれない。 続きを読む
広範な国民連合代表世話人 角田 義一(元参議院副議長、弁護士)
私は、つねづね「安倍晋三総理は亡国の宰相」であると言って、その退陣を強く訴えてきました。
今回、コロナウイルスを巡る事態で総理が小中高の一斉休校を要請した事態に鑑みるに、われわれは「暗愚の宰相」を頂いていると暗澹たる気持ちを抱くに至りました。常識ある政治家ならば、これだけの事態を決定するにあたり、少なくとも財務、文科、経済各閣僚と合議の上決断するでしょう。彼は何の科学的根拠もなく「政治決断」と称して断行したのです。その結果、学校現場はもとより、関係する産業をはじめ社会的・経済的混乱を挙げれば枚挙にいとまはありません。その後の総理の対応を見れば、責任を痛感している様子は全く見えません。 続きを読む