「戦争をさせない」対米自主の政治をめざす
自主・平和・民主のための広範な国民連合は11月20日、第25回全国総会を川崎市で開催した。
総会は新型コロナ感染症第8波が拡大のさなかで、1日だけという制約された日程ではあったが、全国からの参加とオンライ参加も含めて開催され真剣な議論が繰り広げられた。この間の総括を踏まえた議論を行い、総会議案と役員提案を満場一致で採択した。特に方針では、東アジアで戦争を起こさせない、そのために「対米自主、アジアの平和・共生」を一致点に広範な各界各層の国民の連合を促し、対米従属政治を打破するため奮闘することを確認した。戦争の危険を含む重大な情勢で、全国的に戦線形成を呼びかける総会となった。
鳩山元総理、玉城デニー知事はじめ広範な各界内外からメッセージ
総会は迫田富雄・常任世話人の司会で始まり、議長団には佐野慶子さん(全国世話人・元静岡市議)と田中剛さん(青年学生訪中団実行委員会事務局担当)が選任された。
最初に、原田章弘・代表世話人が開会のあいさつを行い、来年で結成30周年を迎えるにあたって情勢の急展開と併せ、広範な国民連合の運動を呼びかけた故槇枝元文さんの「広範な国民各界各層の連合を地域から都道府県から実現し、政党も動かし、その力で対米自主の政権をめざす」を思い起こし、運動を前進させようと呼びかけ開会した。
続いて、鳩山友紀夫・元内閣総理大臣と玉城デニー・沖縄県知事から連帯あいさつがビデオで紹介された。また、北海道農民連盟、日本青年団協議会、部落解放同盟中央本部、新社会党の各団体、参議院議員の吉田忠智(立憲民主党)、舟山康江(国民民主党・新緑風会)、水岡俊一(立憲民主党)、高良鉄美(沖縄の風)、衆議院議員の吉田はるみ(立憲民主党)の各氏(以上、順不同)、それに中国国際交流協会と在日本朝鮮人総聯合会中央本部国際統一局からのメッセージが紹介された。
総会に、広範な国民連合訪中団が北京でお世話になった馬国良さんが今年、中国大使館に赴任されたのを機会に招待し、参加されていることが紹介された。
議案提案を山本正治・事務局長が行った。午前中の討議では、総括的な活動の報告や情勢と闘いについて問題提起の発言がなされた。福岡県の新たに共同代表となった樋口茂敏さんと熊本の渡邉浩さんは、鈴木宣弘先生と連携して農業・食料問題を農民や各団体などと協力して取り組んだ経験、長崎の中村住代さんと神奈川の角田昭夫さんからは、日中国交正常化50周年を記念した取り組みなどが生き生きと報告された。オンラインで山内末子・沖縄県議が沖縄現地からの報告を行った。埼玉の穂積ひとみさん、東京の谷口滋さん、大阪の長谷川由胡さんも、それぞれの経験と問題意識を発言した。
福岡の樋口さんの、「コロナ禍で活動条件が厳しい中だったが、県内各地域に地域懇談会などが組織されていて、これが力になった」、長崎の中村さんの、「『日本の進路』誌の読者会を開いて認識の共有を進めている」などの報告は全体を激励する経験だった。
「中国と戦争しない、沖縄を平和のハブとする」闘いの方向を鮮明に
午後からは、3つのセッションに分け集中した討議が行われた。
集中討議セッション1は、「戦争の危険高まる東アジア情勢、アメリカのたくらむ『台湾有事』策動を阻止するために、いかに闘うか?」がテーマ。最初に羽場久美子・青山学院大学名誉教授が問題提起した。羽場先生は、ウクライナ戦争が世界大戦へと拡大する危険性を指摘し、中国との戦争は絶対に避けなければならないこと、そのためには対中国の最前線とさせられ米軍基地が集中する沖縄こそ平和のハブとしなくてはならないこと、市民・自治体・政府間の東アジアのネットワークを構築し、安全保障と紛争解決の地域的組織を促す活動に全力を挙げるべきだなどと強く訴えた。
伊波洋一・参議院議員は、南西諸島に19の自衛隊基地が建設・強化されている実態を報告しながら「台湾有事」を想定した日本政府の危険な動きを打ち破る闘いを訴えた。川村範行・名古屋外国語大学名誉教授は、日中首脳会談を契機に日中関係の打開へ向けた努力の必要性を訴えた。
水岡俊一・参議院議員が、国会の状況も踏まえながら平和の課題に触れてあいさつを兼ねて発言。続けて、「台湾有事」の最前線石垣島から花谷史郎・石垣市議、東アジア共同体研究所琉球・沖縄センターの若者チームで奮闘する神谷美由希さん、さらに南西諸島軍事要塞化と闘う上山貞茂・鹿児島県議、オンラインで参加した馬毛島基地建設に反対する西之表市議の長野広美さん、平野直比古・千葉県退職教職員の会事務局長、渡辺精郎さん(元滝川市議)、山本喜俊さん(神奈川世話人)、菅谷琢磨さん(東京世話人)、上村和男さん(福岡事務局長)から、各県・地域の実情や活動を踏まえての発言が相次いだ。
食料危機打開へ、食料安全保障確立の超党派の運動を確認
セッション2では、「食料危機打開へ共同の闘いを呼びかける。農林漁業を復興し食料安全保障を確保する」がテーマ。最初に、鈴木宣弘・東京大学大学院教授が、ウクライナ戦争の影響などで今後世界で食料危機がさらに深刻化すれば、日本は世界で最も脆弱であり餓死者が出ると予想される、今こそ食料安全保障を確立する国民運動、国会での立法化も必要で超党派で実現しよう、全国の地方議員がその推進役となって頑張ろうと訴えた。鎌谷一也・鳥取県畜産農業協同組合長は、県内の中山間地農業と畜産の危機的な状況を訴えた。
討論では、北海道から北口雄幸・北海道議、今井和夫・宍粟市議、古谷野幸夫さん(東京)などが発言し、日本の農業、食料自給確立は喫緊の課題であることが合意された。
「戦争をさせない」ために、「各界各層の広範な国民の連合」を促す
セッション3の総括的討議では「東アジアでの戦争を阻止するため、いかにして広範な連合を実現しアメリカ追随・従属の自公政治を変えるか?」が議論された。特に、自公政権への政策対抗軸を明確にし、「対米自主、アジアの平和・共生」の方向をしっかりと立てることを確認した。
「国民各界各層の広範な連合」を進めるため、都道府県でも地域でも、あるいは戦線ごとでも率直な意見交換と共同を追求する「懇談会」から始めること、最後は「小異を残して大同に就く」観点が大事だと強調された。
服部良一・社民党幹事長、伊波洋一・参議院議員、中村進一・三重県議、吉田博・大村市議、坂田冬樹・全日本建設運輸連帯労組関西生コン支部副委員長、河内ひとみ・荒川区議らが積極的に「広範な連携」を進めようと発言した。広範な国民連合の華僑の友人や凌星光・福井県立大学名誉教授も発言された。
最後に、山本正治・事務局長が、当面の課題・取り組みの基本として、①東アジアの平和のため、自主外交の実現を重視、②国民各層の切実な要求の課題を重視、③地方自治体での平和と地域経済・住民の命と暮らしを守る課題、④「広範な各界各層の国民の連合」を促す活動を重視、そのためにも⑤広範な国民連合の強化が必要だと訴え、まとめとした。
議案と役員提案は拍手をもって満場一致で採択された。
中村住代・新代表世話人が、「来年は広範な国民連合が結成30周年を迎える。全国で協力し合って、地域にしっかりとした『各界各層の連合』を促進していこう」と呼びかけ、総会の成功を確認し閉会した。 (文責編集部)