沖縄県民投票 示された圧倒的な県民意思
次は全国国民がはっきりと意思を示す時だ
自主・平和・民主のための広範な国民連合
沖縄県民は2月24日、県民投票で歴史的な前進を遂げた。「沖縄の未来は沖縄県民が決める」と、県民はさまざまな困難をはねのけてこの勝利を闘い取った。とりわけ若い皆さんを先頭に奮闘されたすべての皆さんに心から敬意を表します。
「日本政府」というのであれば、安倍政権はこの県民の意思を受け入れなくてはならない。しかし、翌25日も辺野古で埋めて工事を強行し、「一顧だにしない」態度を鮮明にした。
沖縄県民の意思と権利をまったく無視する強権姿勢の安倍政権に強く抗議する。安倍政権は直ちに工事を中止し、県と話し合わなくてはならない。
全国民が問われている。沖縄県民のこの意思表示は、政府に向けられているだけではない。本土の国民にボールは投げられた。全国で闘いを発展させようではありませんか。
「早期国外移転が最良の手段」(玉城知事)は当然だ
反対は、実に43万4273人で72・2%に達し、県内41市町村全部で反対が多数だった。昨年9月玉城デニー知事が得た知事選過去最多得票39万7千票をも大きく上回った。出口調査結果では自民党支持層でも「反対」が多数だった。結果を受けて多くの保守系の首長、議会議長も、当然だが「民意を尊重する」との姿勢である。
県民は圧倒的な勢いで辺野古新基地反対の意思を鮮明にした。県民の勝利である。戦後74年を経ても国内の米軍専用施設の7割もが集中する現状に加えて、さらに基地負担を背負わされることに断固として「ノー」の意思を示した。
県民投票条例は、投票資格者の4分の1(約28万9千票)を超えれば知事は結果を尊重し、首相と米大統領に結果を通知すると定めている。
玉城デニー知事は26日の県議会で、「政府は県民の断固たる民意を真正面から受け止め、『辺野古が唯一』という方針を直ちに見直し、工事を中止すべきだ」と要求し、「早期に国外移転を進めることが最良の手段の一つになりうる」と表明した。
県民の意思を踏まえた当然の要求であり、政府はこれを受け入れるべきである。
「低投票率」などの評価は意図的
投票率が低いとの意見がある。投票率52・5%は確かに高くはない。
しかし、自民系5市長が投票実施拒否を策動し県民の批判で失敗すると、自公両党が「自主投票」と静観を決め込むなどして投票結果を低めようとする画策が相次いだ中での投票率である。低いといっても昨年の知事選投票率も63・2%だった。自公両党が投票(建設賛成にしろ)に取り組んでいたら10%くらいは上乗せされただろう。 低投票率は、画策された結果であり、「低い」という評価もあらかじめ画策された極めて政治的なものである。
また、「反対」が投票資格者の4割は少ないという意見もある。産経新聞は1996年の県民投票での「米軍基地の整理・縮小」賛成53%と比較し、「見劣りする」と難癖をつけた。しかし当時、自民党すらも県民の意思である「整理縮小」方針には反対できなかった。
安倍首相応援団のマスコミが躍起になってこの県民投票の意義を低めようとしていることこそ、追い詰められた安倍政権の危機感を示すものにほかならない。
世論が政府を「拘束」する投票結果
「法的拘束力がない」という難癖もある。しかし、琉球新報社説が「法的拘束力がないにもかかわらず有権者の過半数が投票し、43万人を超える人びとが新基地建設にノーを突き付けた。この事実を政府が無視することは断じて許されない」と述べた評価が的を射ている。
「法的拘束力」がなくても、この投票結果が巨大な政治的力を持っていることを政権と自民党中枢はよく知っている。だからこそ県民投票に姑息な妨害を執拗に繰り返してきたのだ。
県民投票の過程と結果によって、沖縄だけでなく全国の世論も急速に変化している。マスコミの全国世論調査でも、最近は政府の辺野古政策への批判が多数を占めるようになっていた。
結果を受けてマスコミでも、「もはや埋め立てはやめよ」(毎日新聞社説)、などの見解が広がった。
しかし政府は抗議の中を25日朝から工事を強行し、既成事実を積み重ね押し切ろうと画策している。
こうした暴挙は県民の怒りをかき立てるだけである。全国で「沖縄県民に寄り添おう」とする世論をさらに発展させるだろう。
辺野古基地建設はすでに破綻している
安倍首相は25日にも、「普天間基地が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなくてはいけない」と述べ、あたかも普天間基地の運用停止、閉鎖のために辺野古基地建設を進めているかのように欺き続けた。
しかし、その欺瞞もそう長くは続かない。県民意思とともに、辺野古新基地建設工事それ自体が重大な障害に直面した。
安倍首相はついに1月末、辺野古の基地建設予定地に軟弱地盤があり、調査と再設計が必要なことを認めた。この段階での防衛省の説明でも、予定地の軟弱地盤に対応し7万7千本の砂ぐい(杭)を打ち込む必要があるが、水深90メートルに達する大規模な地盤改良工事は世界的にも例がない。いつまでかかるか、完成する保証もないのである。まさに荒唐無稽な工事と言わなくてはならない。
県のこれまでの試算でも13年かかる見通しだったが、どんなに少なく見積もっても数年は延びる。しかも新基地が完成しても、条件を満たさないなど、さまざまな理由を付けて返還が先送りされる可能性が大きい。
普天間基地の運用停止はまったく見通しが立たないのだ。ところが安倍政権は県が普天間運用停止を妨げているかのような言いがかりをつけている。盗人猛々しいとはこのことだ。全責任が、事実上の軍事支配を続ける米軍とそれを支える安倍政権にある。
「安全保障上新基地は必要」と言うが、いつ運用可能かまったくわからないし、万が一運用開始しても地盤沈下を続ける基地が機能するか。安全保障を言う人びとはどうやってわが国の安全を確保するのか。
米軍に頼らない別の安全保障政策が必要なことは明白である。
沖縄県民の画期的な前進 ボールは本土に
県民投票はその結果も重要だが、それ以上に沖縄の未来は自分たちが考え決めるという沖縄県民の民意と闘争の画期的前進が示された。とりわけ青年たちが運動の先頭を担ったことは重要だった。
私たちは、全国がこの運動に深く学ばなくてはならないと考える。
県民投票運動を終始リードした県民投票の会代表の元山仁士郎さんは「政府は県民のうむい(思い)を重く受け止めてほしい。日本に住む一人一人が、自分のこととして考えてほしい」と述べた。県民投票連絡会青年局長の翁長雄治さん(那覇市議)は、「ボールは日本国民に投げられた」と強調した。
この沖縄の青年たちの思いと呼びかけに全国で応えなくてはならない。