大討論2026

衰退する米国の「ドンロー主義」に対抗

グローバルサウスと共に、新しい平和な世界を!

青山学院大学名誉教授・広範な国民連合代表世話人 羽場 久美子さん

 本日は、激動する国際情勢の中で、今年に入って起こったベネズエラ、グリーンランドの問題を含め、米国・トランプの「ドンロー主義」という覇権と侵略主義に対して、日本と世界がどうしていくかということを考えていきたいと思います。
 1月2日、米国はベネズエラを空爆し、マドゥロ大統領を拘束しました。トランプは、ベネズエラを管理運営する、そして石油権益は取る、「米国に国際法は必要ない」、と堂々と表明しました。
 それに対し、中国やロシアは、国際法違反だと強く反発したが、国連も欧州も、また日本も何も言えないばかりか、ベネズエラは危険な国だという情報を繰り返し流しています。
 トランプは現在、西半球(北米南米)は米国の影響下にあるとして「ドンロー主義」なるものを主張しています。これは19世紀初頭にモンロー大統領が欧州の植民地支配に対する相互不干渉を宣言したモンロー主義と、その後セオドア・ルーズベルトが「こん棒外交」を主張して西半球は米国の覇権のもとにあると宣言したことから来ています。さらに21世紀にトランプが西半球への絶対的影響力を主張するため、「ドンロー主義」と名付けたのです。
 トランプの米国が今世界で行っていることは、脈絡がないように見えて、すべて関連しています。ひとつは、世界の戦略的要所(チョークポイント)を押さえる。それに、石油など天然資源・エネルギーを押さえる。三点目には親ロシア・親中国などBRICSの影響下にあるグローバルサウスを分断し、親米政権に置き換える、ということです。

米国の衰退と
発展するBRICS

 これらの背景に何があるかというと、米国の経済的衰退であり、政治的影響力の縮小です。米国は今、経済危機に陥っています。昨年1年間試みた高関税政策は米国経済を復興させることはできなかったし、中国インドの追い上げを止められなかった。だからこそ米国は世界の35︱40%を占める軍事力で、まずは西半球を、次いで北極海を、中東を、手中に収めようとしています。ドンロー主義は西半球では終わらないのです。
 日本も同様です。日本経済は急速に衰退に向かっています。高市さんは政権に就いた時、「日米の黄金時代」、「日本を強く豊かな国にする」と勇ましい言葉を掲げましたが、その足元は極めて危うい状況になっています。その代償が軍拡なのですが、それはさらに国民生活を逼迫させています。
 今、中国やインド等BRICS諸国が急速に経済成長をしていますが、全世界の途上国G77(現在は134カ国)といわれるグローバルサウスの国々が中国・インドのリーダーシップのもとに集まってきています。
 国際法というのは欧州と米国が作ったものですが、今それを破っているのが米国のトランプ政権であり欧州も何も言えない状態です。逆に、国際法の名のもとに平和と繁栄、そして外交的対話による解決を行おうとしているのがグローバルサウスなのです。
 米国の空爆を受けたベネズエラでは「コムーナ」という自治組織が、米国の植民地的な石油支配や抑圧、貧困に対して、自発的に形成され、地域・市民から問題解決をしていくという動きを進めています。
 グリーンランドも同様です。グリーンランドはデンマークの植民地から自治政府になりましたが、これを買い取りたい、というトランプの行動に対して、「われわれは米国に自分たちを売り渡さない」と宣言しています。

発展する地域連携

 アジアでも中国、インドが結集して、上海協力機構(SCO)あるいはRCEP(地域的な包括的経済連携)という経済同盟をつくり、一帯一路という形で周りの国々に経済的な投資を行い、インフラ整備をしながら、カンボジア、ラオス、中央アジア、そしてアフリカ諸国を発展させていっています。
 東アジアでも北東アジア地域自治体連合(NEAR)が、現在は日中韓をはじめモンゴル、ロシア、北朝鮮、中央アジア(カザフスタン、キルギス)、ベトナム9カ国91自治体が参加しています。今さらに日本からは沖縄、山口、宮城がオブザーバーとして参加する形で成長しています。沖縄は今年正式加盟を表明しています。

平和と安定と繁栄の
新しい世界を

 私たちはそうした新興国や自治体からなる新しい世界秩序の試みに学べないものでしょうか。戦争によってではなく、対話によって、市民からの平和と生活の防衛によって。ここにお集まりの方々は、地域の議員さんたち、メディアの方々、大学の若者たち、労働組合の方々、組合に入っていない方々も含めて、社会でたくさんの実践をされている方々です。
 ぜひ皆さん一人一人が世界と結び、米国・トランプ政権の新植民地主義と武力攻撃に対抗し、そして近隣国やグローバルサウスとも結びながら平和と安定と繁栄の新しい世界をつくっていこうではありませんか。
 高市政権に対抗し、私たち自身の生活と社会を守る政権をつくり、対話と共存によって新しい社会を構築していくために、共に頑張っていきましょう。