全国地方議員交流研修会 ■ 沖縄で1月末に三日間

米兵性暴行事件と戦争の危機を受け止め

日米地位協定の抜本見直しを求め決議

 第20回全国地方議員交流研修会が那覇市内で1月29日~31日、同実行委員会(共同代表:北口雄幸北海道議、藤本眞利子和歌山県議、山内末子沖縄県議)が主催し開催された。地元沖縄県をはじめ全国40都道府県から自治体議員を中心に350人近くが参加し、二日間の講演や報告、討論を経て、自治体が直面する現状と打開の方向を共有した。強調すべきは「戦争への不安や生活苦からの打開を求める国民の願いに、政府も、また与野党の政党も十分には応えられず、国民の政治不信はますます深まっている状況」を踏まえ、「住民の生活と福祉に密着している地方・自治体から、国の政治を変えていかなければない」との方向を共有したことである。
 とくに、「日米地位協定の抜本的な見直しを求める決議」を全体で採択し、「主権国家の矜持をもって連帯して、地位協定の抜本的見直しを全国に広く発信し、全国地方議会で決議し、国民世論を盛り上げるため努力する」ことを確認した。今回は全体の確認には至らなかったが、参加者からは、崩壊する社会保障の再確立を求める全国の共同した運動の重要さも提起された。
 前回長崎での交流会では、「食料自給の確立を求める自治体議員連盟」を提唱し、また、「日中不再戦自治体議員の会」の動きを支持することも確認し、交流会ではこの1年の全国で運動を共有した報告も相次いで出された。
 同実行委員会は2月6日、国会で地位協定改定の政府申し入れを行い、また、14日には食料自給確立議員連盟が対政府要請行動を行った(本号16、20ページ)。
 この三つの課題で全国自治体議員の共同した運動の発展の契機となることを確信できる交流会となった。

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「沖縄、日本を再び戦場にさせてはならない」

 玉城デニー知事が記念講演

 会は司会を瀬名波奎那覇市議と翁長久美子名護市議が務め始まった。
 開会あいさつを共同代表の藤本眞利子県議が、歓迎あいさつを沖縄県実行委員会代表の山内末子県議が行った。次いで地元自治体を代表して知念覚那覇市長(代理)、労働界を代表して仲宗根哲連合沖縄会長、農業界から嵩原義信JAおきなわ代表理事からの来賓あいさつを受けた。
 玉城デニー沖縄県知事が「沖縄、日本を再び戦場にさせてはならない」というテーマで記念講演を行った。知事は「沖縄では戦後は終わっていない」として相次ぐ米兵による性的暴行事件を糾弾するとともに、米軍犯罪を助長する不平等な日米地位協定の抜本的な見直しが必要であると訴えた。そして、国際平和創造拠点の形成に向けて、基地のない平和で豊かな沖縄の将来像・展望を語った。
 羽場久美子青山学院大学名誉教授が「戦後80年、私たちから平和をつくる―欧米からグローバルサウスの時代へ」というテーマで問題提起を行った(本号4ページ)。
 鈴木宣弘・東京大学特任教授は(ビデオ)、今こそ、食料安全保障推進法を作り、まず日本の農業・農村を支えて食料を守ることこそが一番の安全保障という議論をしっかりやって闘う時だと強く訴えた。

三上智恵監督「手をつなげば流れを変えられる!」

 次いで三上智恵映画監督が「米軍基地・自衛隊基地に翻弄される沖縄」という特別報告を行った。5本の映画を作った経過と問題意識を紹介し、みんなで手をつなぎ逆に向かって歩き始めれば流れも変わる、と参加した議員への期待を表明した。
 日中不再戦平和友好をすすめる九州自治体議員の会準備会から西聖一熊本県議が、食料自給の確立を求める自治体議員連盟から北口雄幸北海道議が、昨年の長崎での交流研修会後にこれらの議員連盟や会が発足し運動を発展させてきた経過を報告した。
 伊良波純子沖縄県女性団体協議会会長が昨年12月22日沖縄市で開催された「米兵による少女暴行事件に対する抗議と再発防止を求める県民大会」の報告を行い、2月6日に政府に対しても申し入れを行うとして全国の地方議員への期待と連帯を表明した。
 実行委員会からの問題提起を山本正治広範な国民連合事務局長が行った。
 名刺交換会・交流会は沖縄県青年会館で行われた。山田マドカ那覇市議が司会し、照屋義実沖縄県副知事から歓迎のあいさつを受けた。

多彩で活発な分科会

 第2目は午前中に以下のように5つの分科会に分かれて報告と討論、交流を行った。
◆第1分科会「日中不再戦 自治体・議員の役割」
 座長団は森一敏金沢市議、春口あかね筑紫野市議、糸数貴子那覇市議、米須精一郎沖縄県議が務め、助言者は羽場久美子青山学院大学名誉教授。下地あかね宮古島市議、大波修二大和市議、越川好昭綾瀬市議、春口あかね筑紫野市議、森一敏金沢市議などが報告した。
◆第2分科会「農業・農村を守り、食料自給を確立するために」
 座長団を西聖一熊本県議、新垣博正中城村議、宮城尚子南城市議が務め、問題提起は鈴木宣弘教授(オンライン)とJA沖縄代表理事の嵩原義信さんが行った。事例報告を市川哲夫鈴鹿市議が行った。「食料自給の確立を求める自治体議員連盟」の国会行動についても提案され確認された。
◆第3分科会「岐路に立つ日本の社会保障 地域のケアをどう支えるか」
 座長団を上山貞茂熊本県議、森あやこ福岡市議、玉城健一郎沖縄県議、翁長久美子名護市議が務め、問題提起を伊藤周平鹿児島大学教授から受けた。
 事例報告を河内ひとみ前荒川区議、姫野敦子岩国市議、森福岡市議が行った。
◆第4分科会「『こども計画策定』にあたってこどもの貧困の解消へ」
 座長団を山内沖縄県議、小島智子三重県議、玉那覇淑子北谷町議が務め、問題提起を山内優子沖縄子どもの貧困解消ネットワーク共同代表、木本邦弘沖縄県教職員組合委員長、それに武直樹大阪市議などが行った。
◆第5分科会「防災・復興、原発問題を考える地域主体の再生へ」
 座長団を盛本芳久石川県議、岡本ゆうこ松戸市議、山田那覇市議、山里將雄沖縄県議が務め、問題提起を堂下健一志賀町議、小口幸人弁護士から受けた。

沖縄戦跡訪問と辺野古
激励

 午後からの全体会では座長から各分科会の報告が行われ、報告を踏まえて活発な討論がなされた。討論の中で山内沖縄県議から「日米地位協定の抜本的な見直しを求める」決議が提案され、拍手で承認され採択された。
 第3日目はオプショナルの沖縄現地フィールドワークが行われた。沖縄戦跡を訪ねるグループと辺野古現地を訪ねるグループに分かれて約160人の参加で大型バス5台からなる現地調査となった。
 こうして三日間にわたる第20回全国地方議員交流研修会は成功裏に終えた。全国から参加の皆さま、全国実行委員会と現地実行委員会の皆さま、玉城デニー知事はじめご来賓の皆さま、ご協力ありがとうございました。この交流研修会を提唱し推進してきた広範な国民連合としてお礼申し上げます。