新春メッセージ 西島 藤彦

 新春メッセージ

政治の変革にむけて共同の闘いを大きく前進させよう

部落解放同盟中央執行委員長 西島 藤彦

 昨年10月の衆議院総選挙では、統一教会や「裏金問題」に真摯に向き合うことのない石破政権に対して、与党の過半数割れという大きな怒りが叩きつけられました。
 石破政権は、一部野党との協議をすすめ、かろうじて政権を維持していますが、すでに求心力を喪失しつつあります。しかし、臨時国会での補正予算では、能登半島大地震の復興・復旧予算の3倍もの軍事費を計上し、憲法改悪をすすめる姿勢を鮮明にしています。また、「裏金問題」の解明や企業・団体献金の禁止などにも消極的で、自民党総裁選での訴えとは逆に「前言撤回」「言行不一致」が指摘され、これまでの政権同様、物価高や不安定就労、長時間労働に苦しむ市民生活を無視した自民党政治を続けようとしています。
 一方、衆議院総選挙の結果にもかかわらず、こうした反動政治に抗して闘う政治勢力の総結集という課題が大きく前進しているとはいえない情況にあります。私たちは、人権と平和、環境の確立にむけた政治勢力の総結集にむけて、それぞれの共通した課題を明確にしながら取り組みをすすめていかなければなりません。国際社会は、長期化しているウクライナ侵略戦争や、パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘激化をはじめ、対立と分断がますます深まっています。また、新型コロナウイルス感染症の拡がりによって、新自由主義政策のもとで深刻化してきた貧困や格差、差別の問題が可視化されてきました。さらに、このような荒廃した社会情勢を反映して、ヘイトスピーチやヘイトクライム(憎悪犯罪)、インターネット上の差別情報の拡散など、差別と暴力を公然と扇動する差別排外主義がますます強まっています。
 この間、私たちは部落差別をはじめ、さまざまな差別・人権問題の解決にむけた共同の闘いをすすめ、「部落差別解消推進法」や「ヘイトスピーチ解消法」「障害者差別解消法」「アイヌ施策推進法」などの個別人権課題における立法措置を実現してきました。また、インターネット上に部落差別情報を拡散してきた鳥取ループ・示現舎に対する裁判闘争では、23年6月の東京高裁控訴審判決において、実質的に「差別されない権利」を認める画期的な勝利判決をかちとり、昨年12月には最高裁決定が出され、確定判決となりました。
 しかしながら、差別を禁止する法制度が確立されていないなかで、インターネット上には、いまだに差別動画をはじめ多くの差別情報が削除されないままに放置されているのが実態です。現在、差別動画削除にむけた裁判闘争を大阪、埼玉、新潟で闘っています。是非とも、多くの皆さんのご支援をお願いしたいと思います。私たちは、こうした取り組みの成果と課題をふまえ、国連人権条約関係の多くの委員会から、たびたび勧告を受けている国内人権委員会の設置を中心にした人権侵害被害救済制度の確立をすすめなければなりません。
 さらに、狭山再審闘争では、証人尋問や裁判所による鑑定を求めて「事実取調請求書」を提出しています。狭山再審の闘いでも、多くの市民や労働者の共同した闘いがすすんでおり、事実調べ︱再審開始をかちとるとともに、「再審法」改正にも取り組みをすすめていくことが求められています。
 今年こそ、差別と戦争に反対し、人権と平和、環境の確立をすすめる政治勢力を大きく結集し、私たちのいのちや生活を守る政治への転換をかちとりましょう。

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