新年のごあいさつ

代表世話人 羽場 久美子(青山学院大学名誉教授) 他一同

 あけましておめでとうございます。
 昨年の総会で代表世話人に新たに鈴木宣弘先生と共に選出いただき、大変光栄であると同時に、錚々たる皆さまのご活躍の前に、不十分さと責任を痛感しております。
 この間、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのガザ侵攻などで、マスコミから私は呼ばれなくなってしまいましたが、逆に全国から講演依頼が増え、この2年で国内、国外を含めて200地域に及んだと思います。中国、韓国からもこの間何度も招聘を受けました。そうした中で、広範な国民連合の皆さま方のそれぞれの地域での実践的で素晴らしい活動に多くを学ばせていただきました。
 皆さんの活躍の重要性を痛感して今日に至ります。昨年暮れの2日間にわたる第26回全国総会で、皆さま方の討論から本当に多くを学ばせていただきました。
 山崎先生、鳩山先生からは中国、東アジアとの共同の重要性とアメリカからの自立の必要性を、孫崎先生や沖縄の方々からは地位協定改定の緊急性を、高野さんからはオリーブの木のような連合政権の提起を、菅野さんからは農業・食の重要性、原発災害の脅威、農業と食こそが国防の基礎にあるのだということ、そして長崎や青年団など多くの方々からSNSの危険性と重要性、長崎からは被団協のノーベル平和賞受賞による核廃絶の重要性、さらに若者・女性を包摂した運動の重要性、国際社会との連携や市民との平和運動の重要性を、指摘していただきました。
 その中から、現在の世界変動の中で、国際政治学者として最も重要だと思う柱の一つに、中国をはじめとする東アジアとの地域協力、東アジア共同体の構築の課題があるので、それらを踏まえて何点か述べさせていただきます。
 第1は、現在世界は戦争か平和かという大変動期にあり、日本もその渦中にあるということです。
 そこで何をなすべきか。世界中が戦争の動乱の中にあり、だからこそ日本だけが平穏であり続けることは不可能です。ロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・ガザ戦争が続く中、世界の戦争を止めること、即時停戦と平和を要求することが、東アジアの戦争を避ける、台湾海峡の戦争・日中戦争を避けるため、日中不再戦のために緊急不可欠であるということです。
 そのために日本の最前線でミサイルを中国に向けて配備強行が進む沖縄、そこを全国の市民と自治体が支えて平和と繁栄の街にしていくこと、日本各地に配備されているミサイルと基地司令塔や米軍基地の拡大ないし置き換えに反対し、一人一人皆さんの地域から平和をつくっていくことが、今後の最大の目標になります。
 沖縄を平和のハブに! 東アジアの国連を沖縄、広島、長崎に!日本がG7とではなく、中国や韓国・グローバルサウスの国々と結び、世界の、東アジアの平和のセンターになる!という目標を第1に掲げたいと思います。
 第2は、私たちの生活を守り、発展させ、21世紀のAI時代にふさわしい基盤をつくるということです。この課題は大変に多く、重く、かつ重要です。シングルマザー、子供の貧困、低賃金と非正規雇用の蔓延、障害者や高齢者などの介護、社会保障の確立など、全国総会でも多く、一人一人が切々と言われたテーマですが、本気で対応していかねばならない心が痛む課題であると思います。
 国民生活の危機打開へ、共同した闘いを発展させましょう。

日本を世界の平和の
ブリッジに

 広範な国民連合自身の課題について夢のある具体的な提案もしたい。
 まず、若者を呼び込むこと。今回役員の半分を女性にしていただき、大変感謝しておりますし、今回の参加者の半数が女性です。ただ若者はまだ少ない。若者の仲間を増やすことを各県でそれぞれの目標にしてはどうでしょうか。
 そのためにもSNSなどの活用です。地域で若者によるSNS講座などを開いて、情報を広げていくやり方を若者から楽しく学ぶ、SNS講座をやる、などはどうでしょうか。
 3番目はもう一度、世界との関係、世界の中の日本の経済社会の課題です。この10年で、中国、韓国、台湾地域などが次々と日本を追い越すスピードで経済成長を遂げています。今、世界は著しい勢いで成長しています。日本は残念ながら、データで見る限り大変な衰退です。再浮上させなくてはなりません。重要なのは、教育、福祉、賃金、食、SNS(より正確にはAI)、それから外国人労働者との共存、人権保障です。
 その上で、戦後80年の展望に立ち、東アジアの平和と繁栄を、平和憲法のもとでつくり上げていく責任が、日本にあるのではないかと思います。平和憲法がある限り日本は、先進国、米欧G7と、アジア・アフリカなどG20やグローバルサウスを結ぶ平和のブリッジになれます。
 被団協のノーベル平和賞受賞をその契機にする。北東アジア6カ国自治体連合に沖縄や山口、宮崎の各県が昨年オブザーバー参加し全国14県になりましたがこれを発展させる。
 世界は大変動期です。先進国も日本も、未来への芽もあちこちに見えます。アメリカの軍拡主義と手を切り、新興国と戦争するのでなく、アジアの国々と結ぶことで、若者の未来、繁栄と平和を勝ち取ることができると確信します。
 広範な国民連合が、中国、韓国、朝鮮民主主義人民共和国、ASEANなど近隣国と結び、農業と食を守り、高齢者を守り、若者を育て、賃金を上げ、平和の旗手となって、市民の先頭に立って活躍する必要があります。
 皆さまのますますのご活躍と幸せを心から願って、新年のあいさつとさせていただきます。

代表世話人

中村 住代
長崎代表世話人、元長崎市議会議員

鈴木 宣弘
東京大学名誉教授

佐野 慶子
元静岡市議会議員

原田 章弘
神奈川代表世話人、元横須賀市議会議員

羽場 久美子
青山学院大学名誉教授

西澤  清
東京代表世話人、元日教組副委員長

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