広範な国民連合第26回全国総会開催(11╱30―12╱1)

日本を変える!政治を変える 広範な連合を

全国事務局

 「自主・平和・民主のための広範な国民連合」は第26回全国総会を2024年11月30日と12月1日の両日、東京で開催した。全国世話人と代議員、傍聴者およそ170人が全国から参加し、初日の「日本を変える!政治を変える!」大討論を踏まえ、二日間の真剣な討議で「戦争の危険と国民生活の危機打開」へ方針を定め、新しい全国世話人体制を確立した。
 結成31年を迎えた広範な国民連合運動が新たなステージに立ちつつあることを確認できる総会となった。


 ご来賓の方がたをはじめ広範な国民連合を献身的に支えてくださっている全国の仲間の皆さま方に改めてお礼申し上げ、概略を報告します。

当総会での主要発言者の動画リンクを、文中に含ませていただきました。なお直前の記事[国民連合総会-報告]の鳩山氏、山崎氏の動画は重複することとなるので、閉じさせていただきました。

求められる「持続可能で平和な自立の新しい国のカタチ」

 総会は広範な国民連合結成の地であり、創成のために奮闘した故槇枝元文初代代表世話人(総評議長・日教組委員長)の拠点であった日本教育会館で開催された。
 開会あいさつで佐野慶子代表世話人[動画(Youtube)]は、「大討論」の開始に当たって次のように問題提起した。
 世界は戦争の時代、東アジアでの戦争は何としても避けなくてはならない。中国などグローバルサウスが国際社会の前面に登場し、新しい国際秩序を創り出している。
 自民党政権の対米従属政治、とりわけアベノミクスで貧富の格差は拡大し、国民の生活は疲弊しきっている。国民は危機的状況の打開を政治に求めている。
 しかし、衆院選では野党各党も国民の求める展望は示さなかった。国民は、「持続可能で平和な自立の新しい国のカタチ」を求めている。
 どう変えるか、どのように変えるか、刺激的な提起と弾けるような討論を期待する。

日中不再戦、「台湾有事を日本有事」にさせない

 山本正治事務局長が司会を務め「大討論」を開始、冒頭、山崎拓元自民党副総裁が来賓あいさつ[動画(Youtube)]。氏は「まもなく88歳になりますが旧満州の大連で生まれ、その翌年1937年に盧溝橋事件がありまして日中全面戦争が始まりました。そういう運命的なこともあり、私は名だたる親中派をもって自認しており、私の最大の課題は『台湾有事を日本有事にさせないこと』だ」と切り出して大討論の一致点を「日中不再戦」で方向づけた。二日間を通じて、「『日中戦争回避』この一点での政治家を含む幅広い共同が必要」は共通の認識になったと確認できる。
 続けて鳩山由紀夫元総理が基調的な問題提起を行い[動画(Youtube)]、最後は「対米自立の政党形成」を呼びかけた(6ページに全文)。さらに羽場久美子[動画(Youtube)]、孫崎享[動画(Youtube)]、菅野孝志[動画(Youtube)]、高野孟[動画(Youtube)]の各氏が問題提起した。また討論の冒頭、伊波洋一参議院議員[動画(Youtube)]、大椿裕子参議院議員、古市三久福島県議会議員、山内末子沖縄県議会議員[動画(Youtube)]、国連女性差別撤廃委員会に働きかけた沖縄の神谷めぐみさん、棚田一論日本青年団協議会事務局長もそれぞれの立場から発言した。その後、午後5時半過ぎの閉会まで熱心な討論が繰り広げられた。在日華僑の凌星光福島県立大学名誉教授と、終了後の交流懇親会に駆けつけた朝鮮総聯国際局李泰栄さんからあいさつを受けた。
(報告集を1月中に発刊予定)

代表世話人に羽場久美子・鈴木宣弘両教授が

 総会二日目は、冒頭、故人となった二人の代表世話人、角田義一(元参院副議長)と佐々木道博(京都府)両氏の貢献に感謝し、在りし日をしのんで黙禱をささげた。
 議長団は松尾ゆり(杉並区議)、森あやこ(福岡市議)、大谷篤史(農団労)の3氏が務めた。
 まず、原田章弘代表世話人があいさつ、その後、全国事務局の川崎正が総会への「報告と提案」を行った。続けて、地方組織のいくつかからの報告を受け午前中は終了した。
 午後の討議は神奈川の山崎誠衆議院議員のエネルギー政策発言から始まり、北海道から沖縄まで30人余が発言し熱心な討議が繰り広げられた。川崎がまとめの発言を行い、補足も含めて「報告と提案」は満場の拍手で承認された。
 その後、山本事務局長が代表世話人に羽場久美子青山学院大学名誉教授と鈴木宣弘東京大学名誉教授を推薦するなどの役員案を提案し、満場の拍手で確認された。最後に新役員を代表して羽場新代表世話人が熱烈な新任あいさつを行った。
 中村住代代表世話人が閉会のあいさつし、二日間にわたった全国総会は無事成功裏に終了した。

まずは日米地位協定改定

 総会ではまず、「めざすべき国家ビジョンをみんなでつくっていく」ことの重要さを多くの発言者が共通して指摘した。そして「対米従属国家を自立の国に変える」点が強調された。
 その上で自立の国に向かって当面、日米地位協定改定へ全国で動きをつくろうとの呼びかけが孫崎さんや沖縄、神奈川などから強く出された。特に、地方議会意見書で政府に日米地位協定改定交渉を迫る動きは、石破首相の強い意向から見て実現を促す条件になるに違いない。

生活経済危機打開を基礎に戦線形成を進める

 自民党政治、とりわけアベノミクス以後の金融政策と円安に、昨今の物価高騰での経済と国民生活の危機的状況が各方面から報告された。シングルマザーや介護保険制度など社会保障の欠落と改善意見、あるいは蔓延する低賃金非正規雇用や貧困対策など生活危機を打開する政治の実現が口々に主張された。非正規公務員の現状と闘いも「公務非正規女性全国ネットワーク」(はむねっと)から報告された。
 令和のコメ騒動などと言われる事態で、農林業復活を中心に地方の荒廃を打ち破り、食料自給確立を進める意見が菅野さんはじめ北海道や九州、兵庫など各方面から出された。鈴木教授と鎌谷一也氏もメッセージで強調された。農業と食料は「最大の国防」との観点も共通の認識となった。
 川崎の中小企業家からは、厳しい経営の実態と優秀な外国人労働者によって現場が支えられている状況も報告された。
 豪雨災害や異常高温など地球温暖化危機、また、余震が続き現場を離れられない堂下健一全国世話人から能登半島の復興について文書報告された。原発再稼働反対、脱原発のエネルギーの自給政策なども山崎誠衆議院議員などから提起された。

アジア侵略戦争敗戦80年

 2025年はアジア侵略戦争敗戦80年で、明治以来のアジア侵略の歴史をキチンと受け止めることが重要という点も強調された。日本青年団協議会棚田一論事務局長は、「日青協は『青年は再び銃を取らない』との誓いでつくられた。25年は、被爆・敗戦80年。また、中国とは国交正常化前から交流してきた。今こそそうした歴史を生かした運動を進めたい」と決意を述べた。
 地方議員や青年などの日中交流へ、訪中団派遣の積極的取り組みの重要さも多く語られた。
 日中不再戦へ、「日本側は(侵略戦争の)責任を痛感し、深く反省する」との1972年国交正常化の時の誓いを忘れてはならない。それに台湾について「中国領土の不可分の一部との中国の立場を十分理解し尊重する」との約束を改めて国民的合意にしなくてはならない。
 また、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)とはいまだ国交もない状況が続く。「植民地支配によって多大の損害と苦痛を与えた歴史を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫び」を表明した2002年日朝ピョンヤン宣言に沿って即時の国交正常化を実現しなくてはならない。

SNS、青年、新しい観点を

 「SNSなど新しい情報空間を生かした新しいネットワーク形成」「若者重視」が多くの方から強調された。
 また、地方自治体での運動を重視し、地方議員交流会の役割の重要さを確認するとともに、「地方から日本を変えていく」視点も強調され、共通認識となった。
 全国から多数の連帯メッセージも寄せられた。
 全国はしっかりと連携し、日中戦争回避の自立の政治へ、「小異を残して大道につく」こと、それを進める広範な国民連合の全国での運動方針が確認された。

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