最前線の南西諸島で何が起こっているか?
石垣市議会議員 花谷 史郎
石垣島からまいりました花谷史郎と申します。2015年に明らかとなった自衛隊配備予定地が私の住んでいる所からすぐ近くだったこともあって、この問題に取り組み始め、現在市議会議員をしています。配備予定地の近くには農家が多く、私も農業をしています。
小さな集落が多い農村だからなのか、地元の人の意見、声がまったく聞き入れられない状況が続いてきました。市民団体と連携しながら反対運動をしてきましたが、自衛隊駐屯地は23年の3月に開設される予定になっています。
先ほどから先生方が南西諸島のミサイル配備などの危険な動きを指摘され、そして中国との友好の大切さを訴えられております。
私はもうちょっと小さい視点で、いま石垣島でどういったことが起こっているのかということを少し報告させていただきます。
あおられる敵対意識
石垣島をはじめとする南西諸島の自衛隊施設には今後、中国本土まで届くようなミサイルが配備されることが危惧されています。敵基地攻撃能力(反撃能力)保持なども、国家安全保障戦略などで決められようとしています。
ミサイルを日本側から先に撃つ可能性すらあるというような中で、真っ先に反撃、攻撃を受ける場所として石垣島や宮古島、昨日まで日米合同軍事演習(キーン・ソード23)で戦車が街中を走り回った与那国とかですね、そういう最前線にあるのが南西諸島です。
政治的に中国に対しての敵対意識というのが強まっており、それを議会の中でも強く感じています。
尖閣諸島で「中国公船の領海侵入がすごく増えている」かのような話があります。確かに12年に民主党政権が島を国有化して以降、「中国公船の領海侵入」は急増しましたが、現在は減ってきているのが事実です。多かった時期から比べると、私の調べる限りでは半分以下になっています。
ただ、これが安定して減っていない理由として、日本側の民間漁船が領有権を主張する政治目的で尖閣諸島の近くで漁をするということがあります。そうするとどうしても中国公船が入ってきて、尖閣に上陸させないようになどということでしょうか、そういう政治的アピールをある程度抑止するというような対応をするわけです。
それで領海侵入が一時的に増えるということがあるんです。海上保安庁のホームページを見ていただくと分かるんですが、中国公船が領海に侵入したデータが載っています。その日付と新聞などのニュースを照らし合わせると、その時に日本の漁船が尖閣海域に行っていることが確認できます。
これらの漁船とは関係なく、中国公船が自ら日本の領海に入ってきているのは、見る限りでは月に1回程度なんですよね。
国有化直後は月に3回とか4回、多いときには5回もあった頃から比べると明らかに減っています。
「ほかの国であれば撃墜です、即攻撃です」
最後に、石垣市議会で先日可決された意見書についてのやり取りを少しご紹介します。仲間均議員が提出されており、尖閣近辺で日本漁船が中国公船の追尾を受けたと、それに抗議する旨の意見書です。
けれどもこの追尾されたというのは実は仲間均議員本人なんですよね。本人が尖閣に行って、そしたら中国公船の追尾を受けたと、いつもより長く追尾されたので抗議決議と意見書を……というようなことだったんです。
その議論のやり取りで、驚くべき発言があったのでそのことを紹介したいんです。その意見書の文面の最後に、日本政府に対して中国公船に毅然とした対応を求める、中国公船を排除してほしいという内容がありました。私たちは、「排除」とは何か、何を指すのかということを問いました。そうしたら、こういう答えをしました。
「ほかの国であれば撃墜です、即攻撃です」と、その後にそれが武力攻撃をしてくれという意味ではないと付け加えてはいましたが。
そういったような議論が石垣市議会の中で行われています。私たちは反対しましたが、結果としては可決されて国に提出されています。
このような状況のなかで、尖閣諸島の領海侵入が減っているという事実をしっかり踏まえたうえで中国とどのように付き合っていくのか、感情的にならずに今こそ冷静になるべきではないか、と思っております。