米中激突の東アジア、問われる日本の進路 2-10

第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

自治体として住民の命をどう守るか

柳澤 協二

 はい、ここでも2点、言いますけど、一つは自治体として、遠慮せずに言えば、あまり「憲法に違反する」とか「対米依存からの脱却」というところでなく、自治体として住民の命をどう守るんだという問題意識で発言すべきではないかということを言いたい。
 さっきも言いましたが、基地からの出撃に対してノーと言うべきであるという意見書を出すべきだということ、そこを私はちゃんと議論していく必要があるだろうと思います。そのなかで住民と問題意識を共有していく。そして、宮古の場合でも、自衛隊のミサイル置いて、いざというときそこが戦場になるわけですが、全島避難の計画なんて、ないわけですよね。それは住民の命を守る立場からいって大問題なわけで、そういう議論を通じて、問題意識を住民と共有するいい時期だと思います。
 もう一つ、中国の問題を扱うと、どうしても「お前は親中派か」みたいな話になってくるんだけど、私、中国がやっていることはかなり乱暴で、けしからんことだと思っています。問題は中国の人権弾圧とか、そういうものを武力でやっつけるという問題ではないのでね。そこは「価値観」をめぐる「専制主義と民主主議との戦い」というバイデンの言い方に乗ったとしても力ずくでやれることではない。コロナからいち早く抜け出した中国と、いまだにこんな状態にある日本とどちらが幸福なのかという、そういう競争なんですね。戦いではなくて、競争しなくてはいけない現実があるので、そこは破局的な戦争に結びつけるんじゃなくて、本当に日本の民主主義をキッチリ機能させることが長い目で見て一番重要なので、中国がそんな簡単に変わるとは思えないけど、中国の人たちが「日本みたいなあり方がいいよね」といういい実例になるような社会をつくっていく。そこに腹を据えて、日本の社会をよりよいものにしていくことを考えていく必要があるんだろうと思います。