2021年05月一覧

[持続と循環の食料自給経済へ]浄慶 耕造

「企業農業」ではなく「中山間地の有機農業」の全国発信をめざす

養父市議会議員 浄慶 耕造

 

 鈴木先生のお話、非常に明快でかつ「怖い」話でしたので、心の中にずっしりと響きました。
 われわれの養父市、話がありました「国家戦略特区」に2014年、最初の5地区のなかの一つとして「農業特区」に指定されました。当時市長は、「中山間地の革命児」などと多くのメディアで持ち上げられました。
 養父市はどういうところかといいますと、2004年に平成の大合併によって市になったわけですが、当時の人口が3万人弱、現在は2万2千人で高齢化率39%の少子高齢化の地域です。かつて経済は、鉱山、林業、養蚕の山村経済の上に商業の隆盛を誇った地域でしたが、ベースの産業の衰退と「大店法」の廃止に伴う郊外店の進出によって「ひっそり」とした中心市街地になってしまいました。 続きを読む


[持続と循環の食料自給経済へ]北口 雄幸

農業参入の「ワタミ」が20年もたたずに撤退

北海道議会議員 北口 雄幸

 北海道からはですね、いわゆる国の「規制改革会議」などで農地に民間企業が参入できるようにして、農業に民間企業が参入しやすくする規制改革が進められたわけですが、参入した民間企業が早くも撤退した事例などについて少しご報告をさせていただきたいと思います。
 全国的な居酒屋チェーンの「和民」があります。この「和民」は「ワタミファーム」をつくって、全国で11カ所、そのうち北海道では3カ所、農場を展開し、野菜や卵、それから牛乳などを生産しております。全国の農地面積は630ヘクタールというふうに聞いております。
 そのうち北海道のせたな町、道南の方の瀬棚農場でありますけれど、平成16年度から国の「構造改革特区」を活用し、ワタミは外食産業向けの有機野菜や有機乳製品の生産を目的に設立、参入しました。ところが、この3月末をもって閉鎖、撤退をするということであります。 続きを読む


■ 安全な食料自給。農林漁業を核とする持続可能な地域循環経済へ

 

「日本の未来は守れるか」  鈴木宣弘東大教授の問題提起   
――命・環境・地域・国土を守る食と農林漁業の明るい未来を築くには?

 

広範な国民連合は3月28日、鈴木宣弘東大教授を講師に「農林漁業を核にした地域循環経済の形成へ」講演と討論の会をオンラインで開催した。以下は、鈴木教授の講演の結論部分の要約と各地からの報告要旨である。  文責、見出しとも編集部

 

 「飢餓の危機は日本人には関係ない」は誤っている。2035年時点で、日本は飢餓に直面する薄氷の上にいる(詳細は本誌4月号、鈴木論文)。世界も同様である。
 「Go To トラベル」事業の議論の根本的誤りは、経済社会の構造そのものをどう転換するか、という視点が欠如していることである。都市人口集中という3密構造そのものを改め、地域を豊かにし、農林漁業を核に地域経済の循環構造を確立する必要がある(詳細は本誌2月号、鈴木論文)。 続きを読む


歴史修正主義の教科書検定を許さない 2

侵略戦争美化、沖縄戦を風化させる教科書を許さない

東京都高等学校教職員組合書記長 富崎 豊和

 「沖縄戦を美化してはならない」――4月1日、沖縄県内21の師範学校や、旧制中学校の元生徒らによる「元学徒の会」が強い憤りと、危機感をあらわにした声明を発した。というのも2022年の学習指導要領改訂によって、新しく必修科目となる「歴史総合」の一部出版社の教科書に、沖縄戦の事実を歪曲する記述があることが明らかになったからだ。
 沖縄には沖縄戦没者を慰霊するための慰霊碑が数多くある。「一中健児之塔」もその一つである。一中とは、旧制の沖縄県立第一中学校のことであり、現在の沖縄県立首里高校のことだ。太平洋戦争時には、激烈を極めた沖縄戦下、県内の範学校や、男女中学校の生徒とともに、戦闘に動員され、数多くの生徒が命を落としている。 続きを読む