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2021 新年のご挨拶 西原 正行 さん

北海道農民連盟委員長 西原 正行

 昨年は何よりも新型コロナウイルスの感染拡大によって、われわれの生活が大きく変貌した年でもありました。生産現場においても外国人研修生が来日できなくなったため、農作業が滞るなどの影響があったほか、外食産業を中心に農畜産物の需要が大幅に減少し、価格などにも悪影響を及ぼしており、少しでも早い終息を願うばかりです。
 さて、本連盟が運動の重点課題としている国際貿易交渉ですが、TPP11や日EU・EPAなどが発効し、主な農業大国と新たなルールのもと貿易がスタートしています。昨年は日英EPAが10月に署名され、本年1月から発効予定となり、11月にはRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の署名が行われました。また、日米貿易協定は昨年1月に発効し、その後の事務レベル協議で追加交渉の範囲を決めることとなっていましたが、コロナ禍により先送りとなっています。こうしたなか、米国では大統領選挙が行われ、民主党のバイデン氏が1月の就任式では大統領となる見通しにあります。しかし、これまで民主党が主張してきたTPPへの復帰を目指すのか、既に締結された日米貿易協定の追加交渉でさらなる市場開放を迫ってくるのか不透明な情勢にあります。今後さらに国際貿易交渉は続くと考えられますが、国民の生活の根本や産業構造が大きく変わることにならないよう、厳しい目を持ち続けて、運動を展開していかなくてはいけません。
 一方、昨年は国内の食料・農業・農村に関し、中長期的に取り組むべき方針を定める新たな「食料・農業・農村基本計画」が策定されました。このなかで、農業の成長産業化を進める『産業政策』と、多面的機能の維持・発揮を促進するための『地域政策』を車の両輪として推進するとともに、将来にわたって国民生活に不可欠な食料を安定的に供給し、食料自給率の向上と食料安全保障を確立することとしています。しかし、現在の食料自給率がカロリーベースで38%と低迷しているなか、新たな基本計画で45%の目標が示されており、今後どのような方策が示されていくのか私たちは常に注意を払い、農業者の立場から現場の意見を述べていかなければなりません。
 今後、私たちは「日本の食料基地」である北海道農業を守り育てるため、時代に合わせた多くの運動を行い、国内農業・農村の持続的な発展を図り、将来にわたって安心して営農ができる「真の農政改革」実現に向けて邁進していきます。
 最後になりますが、本年が皆さまとともに健やかに過ごせますことを心よりご祈念申し上げ、年頭のご挨拶といたします。