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[パンデミックと経済危機] 中小企業家同友会全国協議会会長談話

 中小企業家同友会全国協議会は3月6日、新型コロナウイルス感染症の影響が急激に広がり中小企業が大きな打撃を受けている中で、「一社もつぶさない!」との広浜泰久会長談話を発表した。それに先立って3月4日、「中小企業の倒産・廃業を避ける」ための緊急要望・提言を各方面に要請した。以下、談話全文と緊急要望・提言の要旨。

一社もつぶさない! 新型コロナウイルスによる危機を乗り切ろう

広浜泰久会長

 新型コロナウイルス感染症の影響が、急激に広がり、中小企業は大きな打撃を受けています。影響を受けた会員が9割を超える地域や、売上9割減の企業もあり、深刻な局面を迎えています。この災禍がいつ終息するか不透明であり、影響が長期化する可能性も指摘されていますが、「一社もつぶさない」という気概のもと企業を存続させるため、会員の皆さんに次の三点を呼びかけます。

1、雇用を守ろう~全社一丸となって企業の存続を

 どのような困難があっても経営者には会社を維持・発展させる責任があるという同友会の「労使見解」の姿勢を貫き、断固たる覚悟と意思でこの難局を乗り切りましょう。
 そのためには、全社員の力を集めることが不可欠です。「絶対に雇用は守る」、そして「社員やその家族の命と健康を守る」という方針を明示して社員の信頼感と安心感を高め、意欲と創造性を引き出し、危機を乗り越える原動力としましょう。

2、一人で悩まないで会員同士、声をかけあおう

 会員同士や地域の経営者にも声をかけあい、電話や情報ツールなどを活用し、知恵を出しあい、励ましあって困難を乗り切りましょう。
 行政の支援施策も相次いで公表されています。緊急融資制度や雇用調整助成金なども積極的に活用し、特に当面の資金を多めに用意しましょう。施策の改善要望などは至急同友会へお知らせください。中同協でも随時関係機関に要請を行います。

3、悪徳商人にならない~「国民や地域と共に歩む中小企業」の実践を

 かつて第一次オイルショックの際、中小企業家同友会全国協議会はいち早く「私たちは、便乗値上げ売りおしみなどの悪徳商人にはならない」との声明を発表しました。今こそ「国民や地域と共に歩む中小企業」として、必要な商品・サービスを提供し、地域の暮らしや経済を守る担い手として全力をつくしましょう。
 また正確な情報に基づいた冷静な行動を心掛け、過度な自粛ムードにより日本経済が一層萎縮することのないよう取り組みましょう。

中小企業の倒産・廃業を避けるために

新型コロナウイルスに関する緊急要望・提言(要旨)

 いま官民が協力して感染の終息に向けて総力を挙げて取り組んでいますが、「経済を牽引する力であり、社会の主役」(中小企業憲章)としての中小企業に対して、緊急な支援施策が求められています。
 私たちは、国民や地域と共に歩む中小企業家としてその社会的責務を果たし、日本経済と中小企業が発展できる環境をつくるために、下記のような政策の実施を緊急に求めるものです。
 さらには、リーマンショックを超える景気の減退が懸念される中、日本経済の立て直しを図っていくためには、消費税減税も検討していくことが必要と考えます。関係各位の早急なご協力、ご支援をお願いします。

  記

1、中小企業をつぶさない
 観光やイベントのキャンセルなどが相次ぎ、影響を受けている関連業のすそ野は広く、 深刻なダメージを多くの中小企業が受けている。中には倒産・廃業の危機に瀕している企業もある。1社もつぶさない覚悟で臨んでいただきたい。以下にある融資の早急な拡大だけでなく、新たな事業展開の際の助成など今後の支援策は「真水」の対応が必要である。
2、緊急融資の創設および既往債務の返済条件緩和
 売上減などの影響を受けた中小企業の企業存続のため、実情に応じた緊急融資と既往債務の返済条件緩和又は「返済凍結」を実施すること。緊急融資は原則無担保とし、貸付金利も状況に応じ軽減すること(甚大な影響の場合は無利子)。
3、雇用調整助成金の助成割合引き上げ
 雇用調整助成金については、支給要件の緩和などが行われているが、状況を踏まえ、対象の拡大、支給限度日数の延長、助成割合の引き上げ(5分の4)など柔軟な運用で雇用を守れるようにすること。東日本大震災時と同様に、最近1カ月の生産量、売上高等がその直前の1カ月又は前年同期と比べ5%以上減少していれば対象とすること、また一定期間については、1カ月の生産量などが減少する見込みでも対象とする特例措置の拡大を求める。
4、社会保険料の免除や法人税等の減免
 地域経済の崩壊・底割れを防ぐため、売上減少などの影響を受けた企業に対し、社会保険料の免除や法人税等の減免または納税猶予の特例措置を実施すること。
5、学校や公共施設の休業などによる突然の取引停止状態となった中小企業への補償
 …仕入れ済みの食材を買取する、行政として活用するなど補償すること。
6、衛生用品の市場への流通確保
7、働く親の子育て支援~安心して働ける環境の整備を
 学校や幼稚園の休校・休園により、社員が休暇を取らざるを得ない事態の中で、中小企業は業務に大きな支障が出ている。小さな子どもを持つ働く親は、学童保育や保育園の体制が十分でないなどにより、安心して働き続けられる環境が不十分である。学童保育や保育体制の拡充など、至急体制を確立すること。
8、公正な取引条件の確保
 新型コロナウイルス感染症の影響など、やむを得ない理由により納品の遅れなどが生じた中小企業に対して、親事業者が損害賠償請求を行うなどの優越的地位の濫用を行わないよう、ガイドラインを整備すること。
9、正確な情報開示
10、事業継続計画(BCP)策定支援体制の拡充
11、国民の健康と安全を保護する体制の強化・拡充
12、中小企業の声を緊急施策に反映すること

中小企業家同友会全国協議会の概要
・中小企業家同友会全国協議会[略称・中同協]は47都道府県にある中小企業家同友会の全国組織
・創立:1957年4月、日本中小企業家同友会(現東京中小企業家同友会)として東京で創立。全国協議会設立は69年11月
・会員数:全国約4万8千名(企業経営者) 会員企業規模は平均従業員数約30名、平均資本金1500万円
・「国民や地域と共に歩む中小企業」の立場から、経営者の自助努力による経営の安定・発展と、中小企業を取り巻く経営環境を改善することに努めている