東日本大震災緊急討論会まとめ(骨子)

国の責任で被災者を救援し、生活と仕事の再建を

 震災後、1カ月経過しましたが、いま緊急に求められているのは、被災地で生存の危機にまで直面している高齢者や子どもたち、労働者、農業者、漁業者、中小零細商工業者、自治体の窮状に応える救済・救援です。住居や生活の糧を失った労働者、農民、漁民、中小零細商工業者など被災者を国の責任で救済することです。  着の身着のままで避難生活を送っている人びとは当面の生活費すらありません。こうした被災者に国が当面の生活支援金を渡すこと、さらに住居を失った被災者に一刻も早く仮設住宅など提供することです。
 また全国から集まった募金も一刻も早く被災者全員に渡すべきです。
 被災によって職を失った労働者に対しては、国の責任で就労を保障すること、就労できるまでは緊急の生活支援金を給付することです。また被災地以外の全国で広がっている震災を理由にした非正規労働者の首切りや労働条件の切り下げなどをさせないよう国が監視、指導しなければなりません。休業の場合は100%の補償をさせなければなりません。
 被災した農業者に対しては、地震と津波によって破壊された農地の復旧を国の責任で行い、農業再建のために無利子・無担保の融資を行わなければなりません。原発事故にかかわる出荷停止や風評被害等の農家損失、さらに土壌汚染などで営農できない場合の被害に対しては国と東電が全額補償すべきです。
 津波で壊滅的被害を受けた漁業者に対しては、国が漁港などのインフラ施設を迅速に復旧し、漁業再建のために無利子・無担保の緊急融資を行う。また原発事故に関わる漁業者と関連業者が被る一切の被害に対しては全額国と東電が補償すべきです。  被災した中小商工業者に対しては、事業再建のための無利子・無担保の緊急融資など大規模な資金支援が必要です。
 自治体施設や職員を失いながら不眠不休で被災者のための被災者を救援している被災自治体に対しては、緊急でしかも特別な地方交付金などの支援が必要です。  また全国では震災による部品供給の不足、あるいは停電を口実に大規模な労働者の首切り、労働条件切り捨てなどが広がっています。したがって、被災者救援、労働者、農業者、漁業者、中小商工業者など各層への緊急の救済こそが今、必要であり、その実現に向けて各層は連携し、政府に対し行動を起す必要があります。

稼動中の危険な原発をただちに停止せよ

 原発事故としては最悪のレベル7という福島原発の事故について、東電や国は「想定外」だと述べていますが、明らかな人災です。政府と東電は「日本の原発は三重、四重の安全システムのある」と繰り返してきました。しかし、産業技術総合研究所が1100年前の貞観地震を調査し、今回と同様の地震と大津波があったことを2009年の原発の耐震対策の審議会に報告していたにもかかわらず、国も東電も何ら対策を講じなかったことが明らかになりました。また根拠もなく、「長期の電源喪失は考慮の必要なし」と対策を怠った結果が、今回の重大な事故を引き起こしたのです。
 政府、東電の犯罪を徹底的に糾弾し責任を取らせるとともに、営利優先で安全軽視、またその技術の基礎と燃料供給を米国に頼る、危険で自主性のないな原子力政策の抜本的な転換をめざさなければなりません。
 大震災に耐え得ないことが明らかな現在稼動中の原発は直ちに停止させ、徹底的な点検、安全対策を講じるべきです。
 そして、今後の電力政策については、国民的な議論で決定すべきです。

国民大多数のための復興へ行動を起こそう

 菅首相は、4月11日、「復興構想会議」を立ち上げました。しかし、被災者救援と復旧でしめされた財界支援優先の政府の対応を見れば、それが財界の利益に奉仕するものであり、国民大多数の復興など後回しにされるであろうことは、明らかです。すでに復興に必要な財源として「復旧復興特別税」など増税も検討されています。
 政府の検討する復興策は、経団連など財界の提言にそのまま従うもので、これを契機に巨大銀行と大企業へのさまざまな金融、財政、税制などの支援と復興特需を提供するものです。それはまた、被災地をはじめ全国の国民の犠牲、貧困化の上でいっそうの国際展開と、競争力強化を目指す、財界のための「成長戦略」の加速をねらい、そのための国土、産業構造を含むわが国の大改造すら狙うものです。
 これを許せば、復興とは名ばかりで、国民大多数は震災の惨禍の上に、さらなる苦難、犠牲を長期に押し付けられることになります。
 財界支援優先の復興なのか、それとも国民大多数のための復興なのか、この二つの道が争われているのです。
 すでに述べましたが、私たちの要求の骨子は以下の通りです。

  •   すべての被災者に緊急に、住宅と生活資金を!
  •   東電原発の犯罪的事故責任の追及と、被災者への完全な損害賠償を!
  •   災害地域と全国で、民営企業か公営事業を問わず、全失業者に職を!
  •   農業者、漁業者、水産業などへの救援と復旧復興を
  •   中小零細企業、商業者への救済と復旧復興を
  •   敏速で大胆な復興資金を!
  •   救済・復旧と復興資金の、増税や国民負担案には反対!
    1. 外貨準備資金の一部(米国財務省債)を売っ払って当てよ!
    2. 大企業の膨大で過剰な内部留保資金を、復興資金として相応に取り立てよ!
    3. 増税等の国民負担は最後の最後で、国民的議論と合意によって!
  •   復興構想会議に国民各層の参加と要求の反映を

 被災者救援も国民大多数のための復興も、実現するのは政治です。それができる国民大多数のための政治の実現こそ求められます。そのためには、国民各層が連合し、大きな政治的戦線を作り上げて行動する必要があります。心ある政党、政治家が、国民大多数の利益のために、連携し、闘うことを呼びかけます。