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自主・平和・民主のための広範な国民連合  第25回全国総会決議

自主・平和・民主のための広範な国民連合 第25回全国総会決議

広範な国民連合第25回全国総会は、熱心な議論の末、原田章弘代表世話人の「開会あいさつ」、山本正治事務局長の「提案説明」、および「討論のまとめ」を含めて、決議を満場一致で採択した。2回に分けて掲載する。

決議の構成
1.はじめに(全国総会の課題)
2.第24回総会以後3年間の全国での活動概要と経験について
3.情勢変化の特徴と広範な国民連合の課題
(1)世界は歴史の転換点にある
(2)BRICSはじめ新興諸国が急速に新しい世界の中心に登場している(以上、本号)
(3)「日米台」の軍事一体化で中国敵視・対抗を許さない
(4)戦争か平和かの岐路に立つ東アジア
(5)国家安全保障戦略等見直し、「専守防衛」原則の放棄を許さない。憲法9条改悪に反対する
(6)経済危機と厳しさを増す国民生活
(7)窮地の岸田政権。だが、野党戦線は?
(8)問われる日本の進路。平和と国民の命を守る政治
(9)「自主・平和」の方向を鮮明にし、広範な国民各界各層の連合で政治を変える
4.広範な国民連合の当面の課題・取り組みの基本
5.広範な国民連合を強化します

1.はじめに(全国総会の課題)

 コロナ禍とウクライナ戦争は、世界が歴史的な転換期にあることをはっきりとさせました。
 この世界で、衰退するアメリカとの同盟路線、「米国一辺倒」の日本は完全に限界です。アメリカの戦争に引きずり込まれることになります。アメリカの求める東アジア・サプライチェーンの分断は、わが国経済に死活的です。そもそも日本経済は「失われた30年」、さらにアベノミクスで衰退に拍車がかかり、コロナ禍とウクライナ戦争の影響で中小企業や農業、国民生活の苦難は限界です。
 アジアの平和・共生だけがわが国が生きる道です。戦争準備ではなく、財政を国民の命と暮らしに振り向けさせる政治が必要です。
 「米国一辺倒」の対米従属路線から決別し、自主・平和・民主の日本をめざすときです。この総会はその方向を改めて確認し、政治を変える共同した努力を全国に呼びかけます。
 そのため総会の課題は――
 ①この3年間の全国での奮闘と成果を確認し、経験に学び、課題を明らかにすること。
 ②内外情勢をできるだけ見通すこと。
 ③当面の全国的な闘いの課題と方針、特に、「自主・平和・民主、アジア共生」の進路を改めて明確にして、それを実現する政治勢力の形成を促すため、各界各層の広範な国民の連合をめざすこと。
 ④役員選出。
 ――以上です。侃侃諤諤の議論をお願いします。

2.第24回総会以後3年間の全国での活動概要と経験について

 2019年11月、福岡県で第24回総会を行ってから3年がたちました。この期間の活動は、コロナ感染症拡大の中で困難を強いられた活動でした。
 しかし全国の同志たちは、中国敵視・軍拡の対米従属政治に反対し、国民の命と暮らしを守るため奮闘しました。こうした情勢下、私たちの運動は各方面で前進し、戦争か平和か、命を守るか軍拡か、先鋭化した政治闘争の中で、いくらかなりとも役割を果たすことができたのではないでしょうか。
 なお、広範な国民連合の発足時から代表世話人を務められ、広範な国民連合の前進に多大な貢献をされた武者小路公秀さんが、2022年5月に逝去されました。謹んでご冥福をお祈りします。
全国での主な活動について
 ①日中国交正常化と沖縄復帰の「二つの50周年」に、中国敵視・台湾有事に反対し沖縄を再び戦場にさせない、「自主・平和、アジア共生」の独立自主の外交をめざす闘いの発展を促しました。
 ②対米従属政治の矛盾の集中点、自主平和を求める全国民の闘いの最前線、沖縄県民の闘いを支持し、米軍基地に反対する闘いを全国に広める活動を一貫して重視して奮闘してきました。
 ③世界的な食料危機の中、戦後ずっと大企業の対米輸出のための売国農政の犠牲となってきた日本の「農業崩壊」を阻止し、農家の所得を補償して食料安全保障を確保するための闘いの発展を促しました。
 ④住民の命と暮らしに大きな責任をもつ地方自治体での闘いを発展させる全国地方議員交流研修会を開催し、全国の地方自治体議員の運動の前進を促しました。
 ⑤青年学生の関心事、要求と運動に関心を払い、共に闘う努力が始まりました。
 ⑥『日本の進路』誌は、自主・平和、アジア共生の進路をキャンペーンする役割はある程度果たすことができました。カラー化し登場者も号を追うごとに広がり、連携の広がりを実感できるようになりました。
概括的評価と経験
 中国敵視・大軍拡、国民の命と暮らし軽視の岸田政権の対米従属政治が進む下で、独立・自主、アジアの共生の国の進路を提唱し、政治の転換をめざす広範な国民の連合を促す運動をある程度全国で進めることができた、混迷する自公政権との闘いの前進に一定の役割を果たしたと評価します。
 しかし、全国民的に自公政権と闘えない厳しい状況が続いています。今こそ、広範な国民連合結成の原点を踏まえて、自主・平和・民主の政治実現をめざして奮闘しなくてはなりません。広範な国民各界各層が連合し、大衆運動を基礎とし、議会野党にも連携を促して、政治を変える力を地域から形成しようではありませんか。それが今、私たちの最大の課題です。
 その運動を進める上で以下の諸点の経験は重要でした。
 ・昨年の10・9「対中外交の転換を求める」緊急集会を引き継ぎ、12月には国会議員などを含む「日中国交正常化50周年を準備する各界懇談会」が参議院議員会館で継続され、それをもとに、8月7日の那覇市でのシンポジウムなど、さまざまな取り組みが共同して始まりました。この懇談会の経験。
 ・昨年の全国地方議員交流研修会を踏まえて「農業部会」が始まって、東京大学の鈴木宣弘先生の協力も得てオンラインでの農業問題講演会などが継続され、その基礎の上に、今年の交流研修会農業分科会があり、福岡や熊本など地方での運動にもつながりました。熊本県では十数人の農業者を含む実行委員会を繰り返して開き、福岡県では県内のさまざまな勢力と共に集会に取り組みました。この「農業部会」の経験、さらに地域の共同を促した経験。
 ・昨年の全国地方議員交流研修会で「定例会ごとにオンラインで交流を継続」が確認され、情報交換会が数回開催されました。それを継続してきた全国の地方自治体議員の同志が実行委員会をつくり今年の交流研修会の成功を導きました。この情報交換会の経験。
 これらの取り組みの経験はいずれも示唆に富んでいます。
 どう運動を発展させ、政治を変えるかの、各界各層のさまざまな人びとと共同し、「議論と交流を促し、闘いを組織する」経験です。県の範囲でも、あるいは地方単位でも、あるいは全国的ないし地方ブロックで課題や戦線ごとでも、工夫を凝らして「広範な国民各界各層の連合を促進する」観点を貫くことが重要です。

3.情勢変化の特徴と広範な国民連合の課題

(1)世界は歴史の転換点にある

 コロナ禍とウクライナ戦争を契機に、世界は歴史的な転換期の特徴が浮き彫りになりました。アメリカを先頭とする「西側」大国中心の世界の終わり、過渡期です。
 これまでの20世紀の世界覇権国アメリカは必死にあがき、ドル支配を守り、世界収奪を維持しようと画策を強めています。核戦争を含む危険な世界となっています。
 他方、途上国、新興諸国は台頭し、国際政治の「新しい中心」に登場しつつあります。
 そうした諸国の中心に位置する中国は、第20回中国共産党全国大会を成功させ、「改革開放」以来の成果と問題点を明らかにし、新たな方向と体制を定め、対応を急いでいます。
 世界の「気候危機」も深刻さを増しています。地球の「持続可能」性は、日に日に限界点を超えつつあります。ウクライナ戦争は、経済危機と貧困、気候危機などを加速させ、世界はすでに食料危機にあることも暴露されました。世界の貧困と格差も限界点に近づいています。途上国だけでなく、アメリカでも日本でも、極めて少数の富裕層がより豊かになる一方で貧困層が激増しています。
 各国では、国内対立が激化し、政治は極度に不安定化しています。先進国の「民主主義」も問われています。
 他方で、IT、AIなどデジタル化の技術革新は急テンポで、コロナ禍はそれを加速させ、世界のありよう、社会のありようを根本的に変えようとしています。次の社会の基礎を準備していると言えます。
 ある投資銀行会社のチーフエコノミストが、「(今日の世界は)あと一歩で破裂しそうなギリギリの状況」と形容し、「『飽和資本主義』の次なる社会を探る」必要を説いていました。世界は文字通り、限界点、境界点、臨界点にあると言えます。

(2)BRICSはじめ新興諸国が急速に新しい世界の中心に登場している

 国際社会は、「ロシア対国際社会」「専制主義と民主主義」といった、バイデン大統領が言う「二極対立」の世界ではありません。マスコミ風に言うと「三極世界」、あるいは「多極化世界」です。
 世界政治劇変の背景には、世界経済構造の劇的な変化があります。
 「先進国」と言われたG7諸国の経済は、30年前の1990年には世界経済の60%を占め、BRICSは10・5%に過ぎませんでした。それが今日(2021年)、G7は44%弱、BRICSは25%強になっています(以上、IMF、実質GDP統計)。より実態を表す購買力平価GDPでは、中国はすでにアメリカを追い越し、間もなくインドも続きます。羽場久美子先生が言うように(『日本の進路』9月号)、植民地を収奪した帝国主義の時代(18世紀から20世紀)が異質で、元に戻ろうとする世界なのかもしれません。
 ドルを基軸通貨とする国際金融体制の改革を求めてきたBRICSは22年6月、途上国を加えた拡大会議を開き、イラン、アルゼンチン、インドネシアなど13カ国が参加しました。「逼迫する世界のエネルギー事情の中で、BRICSを軸に資源国が結束を固めると、他国はそれを無視できなくなる可能性がある」との見方は当たっているでしょう。
 中南米では16年時点で計12カ国が台湾と外交関係にありましたが、21年までに4カ国が台湾と断交、中国と国交を樹立しました。さらに18年以降、メキシコを皮切りに各国政権は「左傾化」が始まり、ブラジルでも最近、左派・ルラ大統領が勝利、アルゼンチン、メキシコの中南米3強国全てが同時期に初めて左派政権となり、中南米は「ピンクに染まった」と形容されています。「左傾化は欧米中心の国際秩序に対抗しようとする中国を含めたBRICSに優位な展開となるだろう」と見られています。
 インドネシアでのG20首脳会議では、「戦争反対、核使用反対」などで諸国は辛うじて協調。中国やインドネシアなど新興国主導の会合となりました。日経新聞が、「G7首脳の存在感は乏しかった」と報道したように、世界はまさしく過渡期です。 (次号につづく)