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広範な国民連合第25回全国総会  ■ 農業問題 北口 雄幸

五重苦の北海道農業
開拓以来の大ピンチ

北海道議会議員 北口 雄幸

 北海道議会議員の北口雄幸でございます。ただいま鈴木先生、そして鎌谷組合長からビデオでそれぞれ説明がありましたので、私が言いたかったことはあの中にかなり入っております。
 北海道農業は今、言葉で言い表せないほど、大変厳しい環境におかれています。北海道は、ばか正直に国の言いなりになり、大規模化し、しかも専業で農業を続けてきました。その結果どうなったでしょう。本当に厳しい状況なんです。開拓以来の大ピンチと言っても過言ではないと思います。


 いま北海道農業は、5つの困難、五重の苦しみにあえいでいるのです。
 その1つは、先ほどもありましたけれども、これまで国はコメを作っている田んぼに他の作物を作れば水田活用直接支払交付金を支給してきました。ところがこれからは、「今後5年間にコメを作らないと出さない」と見直しをしました。私の住む地域ではコメが余っているので、国の言うとおりにコメを作らず、麦や大豆、砂糖の原料となる甜菜(ビート)などを作ってきました。その割合は7割を超えているのです。しかし国ははしごを外したかのように、いきなり水を張りコメを作れと言ってきたのです。コメが余っているのにどうしてコメを作らないといけないのでしょうか。その問題が1つ。
 それから今ありましたように、肥料や飼料、燃油、生産資材、さまざまなものが上がっています。肥料や飼料は一気に倍になっているのです。その他、さまざまな生産資材やトラクターなどの燃料、そして電気代の高騰です。農家には、災害対応の共済保険と価格が暴落したときの収入保険がありますが、生産コストが上昇したときの保障制度がありません。今、生産コストが一気に上昇し、農産物の販売価格が上がらないことの大変さが2つ目です。
 3つ目は、コロナによって農産物の白物3品といわれるコメ、砂糖、牛乳。これらがコロナによって消費がきわめて限られてきたことによる影響で、コメなどの農産物在庫がだぶつき、その結果コメについては先ほど鈴木先生からありましたけど生産額が低下しました。
 そして4つ目は、北海道の寒冷地作物であるビートの作付け制限なのです。砂糖の原料は沖縄のサトウキビとともに、北海道のビートであります。砂糖の消費が低迷していることによって、輸入の砂糖を減らすから、国内産の砂糖の原料ビートの作付けをも制限するということになってきているのです。それは、糖価調整制度といって外国から輸入される原料糖の価格を調整し、その財源を国内産の生産価格に補塡する仕組みで、国は税金を投入したくないからこの制度を維持するため、国内のビートの作付けを制限しようとしているのです。
 食料安全保障の視点で、国内産は維持し輸入を減らせば、おのずと自給率は向上する。そうした、新たな仕組みをつくらなければ北海道の輪作体系は維持できなくなってしまうのです。
 そして最後は牛乳です。牛乳も消費が低迷している。そんな影響から生産調整、あるいは廃棄の可能性があるわけです。そもそも、チーズなどの乳製品は、その大部分を輸入しているのです。ですから、輸入を減らすことにより、国内の生乳生産を守ることができるのです。こんな単純なことがどうして分からないのか不思議でなりません。

アメリカ依存のアメリカ追随の農業政策の結果だ

 この5つの苦しみ、とりわけ先ほど鈴木先生は酪農は7つの苦しみ、七重苦だと言っていましたけれども、私も酪農の皆さんが今いちばん大変だと実感しています。多くの酪農家の皆さん方が廃業あるいは離農するのではないか、そんな危機感があります。
 まもなく12月の年末です。農家の会計年度は12月が決算期です。そこで厳しい経営状況であれば農協から離農勧告がなされます。離農勧告がなされなくても、先行きが不透明であれば、自ら離農する農家の皆さんも出てくるでしょう。今年は、相当数が自ら離農し、もしくは離農勧告がなされるのではと、私はとても心配しているのです。
 それではなぜ、北海道農業がこんなに厳しくなったのか。それはやはりアメリカ依存のアメリカ追随の農業政策を進めてきたからだと私は思っています。
 それは、大規模にすればもうかる、あるいは肥料や農薬を大量に使えばたくさんの収益になる――そんなアメリカ型の大規模農業を進めてきた結果、結果的にいま肥料や飼料やそういうさまざまな物価が上がったことによって、大変な状況になっているのです。
 そして、大規模で専業の農家ほど大変なのです。大規模農家については今、例えば酪農などについても、大規模化・効率化を進める仕組みにしない限り、国の農業政策の補助金を与えないということになっています。
 農業を現状維持で守るために補助金を出してほしいと言っても、それは該当しないのです。大規模化しないとダメないのです。その結果、大規模な酪農家がだんだん牛を増やしてきて、途中で「さあこれからもうちょっと増やそう」といった時に生産調整になって、大きく増やせない。しかし支払い、借金はどんどん返さなくてはならない。そんなことでいま厳しくなっています。
 先ほど鈴木先生も言っていましたけれども、やはり農家の皆さんにとって、この食料安全保障の視点で農家を守ることが必要だと思っています。それは、ヨーロッパでは当たり前になっている「所得補償などの直接支払制度」なのです。私は、このことが大事だと思っており、「安心安全な食料を生産する」あるいは「環境保全も含めて広い意味で国土を守っている」との視点で、ぜひとも直接支払交付金でお金を出すべきなのです。そうしないと農家がもちません。
 そして、大規模だけなくて家族経営、そして多様性のある農業をしっかり認めさせていく。多様性のある農業、そんなことが必要じゃないかと思っています。
 これから環境に配慮した有機農業を含めてどう広めていくのか、この視点も大事なのです。国は2050年に、いわゆるゼロカーボンに向けて、全国の農地面積の4分の1である100万ヘクタールで有機農業をやると言っています。ですからそれをどう実現していくのかが大事であります。国民には、「安心安全な国内産の農産物には、少々高くても買って農家を支える」そんな教育も必要だと思っています。

国交正常化50年の日中関係の中に北海道の位置を示す

 最後に1点だけ。私も北海道議会議員として活動させていただいております。
 今日の前段の課題である「アジアとどう付き合っていくのか」そんな議論がされています。私も「中国をはじめとするアジアとどう向き合っていくのか」、このことが大事だと思っています。
 北海道議会には日中友好議員連盟があります。北海道は中国の黒竜江省と36年前に「友好提携」を締結し、人的交流をはじめ農林水産技術、医療、教育文化、スポーツなど幅広い分野で息の長い交流を続けてきています。私も黒竜江省を含め中国には2度行っています。ですから、このような交流は続けなければなりません。しかし、台湾問題をはじめ、中国を敵視する風潮が台頭し、とても危険だと思っています。地方こそ交流を通じて、お互いを認め合い尊敬する関係にならなければならないと感じています。
 来週から第4回定例会が始まります。そこで、国に対しての「意見書」あるいは北海道議会の決意を含めた「決議」などを採択し、この国交正常化50年という節目の中でどうやってこの北海道の位置を示すことができるのか、中国とどう付き合っていくのか、そのことを模索していきたいと思っています。
 最後にこのことを訴えて、発言にかえさせていただきます。ありがとうございました。