2022年、年頭に考える

命の源である食、農業、農業者を守り続けたい

北海道農民連盟書記長 中原 浩一

 広大な大地を生かし食料自給率200%台を維持しつつ、その強みを生かし、インバウンド需要や観光に力を入れ経済を活性化させてきた。しかし、コロナ禍により人流の制限等は三次産業を直撃し、関連している一次・二次産業への影響も大きく、道民生活や経済活動など、環境が一変した。


農業を任されて30年、激変の環境に対処

 私は、父親から農業経営を30歳で任されてから、ちょうど30年目を迎えた。その間、新たな農業経営を模索しつつ法人化にも取り組んできた。
 また、農協青年部活動や地域の農業部会、議員活動や農業組織などにも積極的に取り組んできた。青年部活動では北海道農協青年部会長を経験し、JA青年部が農業体験受け入れの先駆者としての礎をつくり、当時の全国青年部の仲間たちとの結びつきを今でも大切にしている。地元JAの葉菜部会では役員として、個選共販体制の弱みを抜き取り検査体制の構築により、越冬キャベツのブランド化に取り組み確立させることができた。
 また、北海道農民連盟書記長になってからは、現場の意見・要望をまとめて、地方議会の意見書採択などに取り組んだほか、農業関係機関との連携を図り、北海道、国会等への要請活動を積極的に進めてきた。
 この間の農政は、TPP11協定、日EU・EPA協定、日米貿易協定など次々と大型貿易協定が発効された。米政策においても米の生産数量目標の配分が、政府主導から生産者・生産者団体へと移行するなど、「作る自由・売る自由」へと変貌した。これにより、地域農業再生協議会は「生産の目安」を設定し自らの判断で米作付面積を決定するなど、変わりゆく農政転換に翻弄されてきた経過がある。それでも、その時々の情勢を踏まえた農政の変化に適応する力も身に付けてきたと思っている。

コロナ禍に異常気象の打撃

 しかし、一昨年からの新型コロナウイルスは、私たち農業者のみならず多くの国民が活動の制限を強いられることとなり落胆の色は隠せない。
 農業においてもここ2年、水稲をはじめ、お土産の原料となる小豆や砂糖の原料である甜菜、牛乳・乳製品などの需要減が進み、在庫の積み増しも過去最高となるなどで価格下落が続いている。今年も主食用米の減産や甜菜の作付け抑制などに取り組むこととなる。
 一方では近年、北海道も異常気象が頻繁に起こり、昨年は3月上旬に上川・空知地方を襲った大雪によりハウスが倒壊したほか、7月上旬から8月上旬にかけて北海道全域において干ばつと高温障害が農産物の生育を妨げた。
 当方の圃場では、収穫時期を迎えたキャベツ・白菜・ブロッコリー等の廃棄を余儀なくされ、その他、スイートコーンや豆類、施設野菜なども廃棄・収量減少となったことで、2割以上の収入減となった。収入保険では一定の経営セーフティネット機能でしかなく、ある意味コロナ禍や災害は自然の猛威であり予測できず対処できなかった。そこを補うのが農業政策(対策)と考えている。

転換期の農業

 農業政策は大きな転換時期に来ていると思っている。
 農業予算が年々減っていく中、昨年11月に見直しが了承された水田活用交付金については、今後5年間をめどに将来のあるべき姿を考える時期となった。それは所得の減少や輪作体系への影響、農地価格の下落、農地の流動化および荒廃地の拡大など多くの問題をかかえる。地方の実情を勘案した地域農業再生協議会の力量も試されることとなる。
 また、国際的枠組み「パリ協定」で温室効果ガス排出量の実質ゼロ目標を掲げ、日本での取り組みも各省庁で始まる。農水省としては有機栽培やGAP(農業生産工程管理)の取り組み、「みどりの食料システム戦略」など環境・保全に重きを置いた政策を推進することとなる。担い手や労働力不足などの問題も山積しており、これからの農業はどこに進んでいくのか不透明である。
 諦めることなく、農業への理解醸成を進め国民合意を図ることで、国内農畜産物の需要拡大などにつなげていくことが求められるのではないか。
 私は、命の源である食、食を生み育てる農業、農業を営む農業者を守り続けたいと思っている。