台湾有事で、日本を戦場にする政府に反対しよう

共有(シェア)Share on Facebook
Facebook
Tweet about this on Twitter
Twitter
Share on LinkedIn
Linkedin
第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

参議院議員・沖縄選挙区 伊波 洋一

 私は、「台湾有事で日本を戦場にする政府に反対しよう」というテーマでお話しします。
 日本政府はこの数年、南西諸島での戦争に向けた準備をどんどん進めています。そして、訓練を北海道から九州・沖縄まで広げ、全国どの自衛隊基地も南西諸島での戦争を意識しています。この島嶼防衛イラストが「防衛白書」に掲げられています。自衛隊はアメリカに毎年行って米海兵隊と戦闘訓練をしています。その目的は南西諸島での戦争をするためです。このことを私たちはしっかりと認識しないといけないと思います。

 先ほど来の議論もありますが、実は日本が「NO」と言えば、アメリカは戦争できません。これはアメリカ自身が認めています。だから日本の集団的自衛権の行使が必要なのです。
 私は2011年に創刊され、年2回発行されている海上自衛隊幹部学校の戦略論文誌「海幹校戦略研究」を読みながら、在日米軍と自衛隊のさまざまな動きを注視してきました。
 アメリカは、日本の前方展開基地がミサイルに攻撃よって成り立たなくなるので、長距離射程の攻撃力に代えるべきだという考えに変わろうとしています。この方針を1997年に設置された連邦議会の国防委員会が提言しました。

尖閣諸島での日中対立を台湾防衛に取り込む米国

 その頃、「エアシー・バトル」という考えが出てきます。日本列島全体を戦場にしながら、空軍力と海軍力で戦って勝利する戦略です。アメリカはずっと研究していました。在日米軍基地への中国による先制攻撃を想定して、直前に米戦闘部隊を米本土などに退避させ、日本列島が半分くらいまでやられることを前提に、北海道からミサイル部隊などを入れて反撃して日本列島を回復する戦略です。南西諸島までの制海・制空権を回復してから中国本土を縦深攻撃する戦略でした。この戦略では中国が大国化するなかで米中全面核戦争へとエスカレートする可能性が高いと指摘されるようになりました。そこで12年4月に「アメリカ流非対称戦争」が出てきます。中国を縦深攻撃して勝利をめざすエアシー・バトルとは違い、「アメリカ流非対称戦争」の目的は中国に勝利することではなく、第一列島線と台湾におけるアメリカの権益を守ることを目的としています。


 対中国でも、アメリカが日本を守るというイメージではなく、アメリカは中国の領土を攻撃しないという前提で戦略を立てています。日本には、国土を戦場として提供することとアメリカの同盟国として中国と戦うことの二つが求められています。このことをしっかりと認識することがとても大事です。
 この「アメリカ流非対称戦争」論文は、10年に起きた尖閣諸島での中国漁船の衝突事件後の12年に日本が尖閣諸島を国有化する直前に出されました。尖閣諸島をめぐる日中間の対立が激しくなろうとしているときに、それを利用して、日本を台湾防衛に関与させようという思惑だったと思います。
 この論文には「尖閣」という言葉は一つもありません。一方、台湾防衛が目的であることは明確にしています。
 南西諸島の島々にミサイル基地を置くことで、中国軍艦を東シナ海に封じ込めることができ、太平洋に中国軍艦が出て台湾を太平洋側から攻撃することを防ぐことができるというのです。自衛隊もそれを研究しています。そして現実に宮古島と石垣島への陸自ミサイル基地建設が行われています。

「アメリカは直接には関与しません」

 その後にオフショア・コントロール戦略が出てきました。米中核戦争へのエスカレートを回避するために「アメリカは直接には戦争に関与しません」ということになります。つまり、隣接する同盟国に中国と戦ってもらうのです。日本などの同盟国に戦ってもらって、最終的に中国が「敵に教訓を与えた」と宣言して、戦いを終わらせることを狙いとしているのです。アメリカに従っているのは日本だけです。
 その「敵」というのは目下のところは日本です。日本に戦ってもらって、中国が日本をやっつけて、その後、中国に引いてもらうという戦略です。
 この「2つのオフショア戦略」は、2013年12月19日に海上自衛隊幹部学校の戦略研究会WEBコラム49として掲載され、今でも読めます。アメリカの基本的な考えです。
 オフショア・コントロール戦略は、中国のインフラを破壊しないことにより、紛争後の世界貿易の回復の促進を意図しています。経済的な現実としてグローバルな繁栄は、中国に多く依存します。つまり、中国のインフラは、アメリカ企業にとっても重要なインフラであるわけです。さまざまな企業が中国に進出しています。
 今の自衛隊の南西シフト戦略は、負ける役割ということを前提にしながら行われていることを頭に入れた方がいいと思います。

安倍政権による戦争できる国づくり

 そういう状況で12年に安倍政権が誕生しました。安倍首相は翌13年、アメリカのハドソン研究所で、集団的自衛権を禁じた憲法解釈を見直すということを宣言し、「安全保障に空白があってはならない」と南西諸島の軍事化を表明します。そして、自分を「呼びたければ、軍国主義者と呼んでいただきたい」とまで言うのです。
 そして、安倍政権は「戦争のできる国」へさまざまな法整備を行いました。14年に憲法が禁じていた集団的自衛権行使を可能とする解釈改憲を閣議決定で行い、翌15年には安保法制の強行で日本を「戦争のできる国」にしました。
 並行して、沖縄選出自民国会議員と自民党県連をねじ伏せ、当時辺野古の埋め立て工事を認めない立場だった自民系県知事と振興予算で取引して埋め立て承認を実現させました。そして、辺野古への新米軍基地建設を強行しました。
 これに対して、辺野古新基地建設に反対する県民は、「オール沖縄」という形で翁長雄志知事を誕生させ、翁長知事の病死後は玉城デニー知事を誕生させて、県政とともに新基地反対の取り組みを、今も継続しています。

南西諸島の軍事化

 県民の反対運動が今も続いているにもかかわらず、沖縄では13年から陸海空自衛隊合同の「離島奪還訓練」や日米共同および単独の訓練や演習が頻繁に行われてきました。11年11月に奄美大島などで民主党政権の時から始まり、台湾有事への対応準備とも言えます。16年には、日米共同の指揮所演習「ヤマサクラ」がうるま市のキャンプ・コートニーで行われ、宮古島や伊良部島、それから石垣島、西表島の地図を示しながら演習をしました。また、米国での陸自上陸部隊の訓練も毎年のように行っています。これほど大規模に準備しているのは、「防衛白書」に書いてあるような尖閣の防衛というより、実際にはアメリカの求める「台湾防衛」のためです。


 「台湾有事」では、アメリカは日本の協力なしに中国とは戦えません。だから、私たちが日本国土を戦場にしないよう政府に求めて実現させれば、戦争を止めることができます。
 私は、外交防衛委員会で、完成したミサイル基地はどのように島で使われるかを質しました。ミサイル発射はすぐに察知されて標的にされるので、ミサイル搭載発射車両は島中を隠れながら動き回ります。島すべてを要塞基地につくり上げながら、戦いに備えるのです。「国民保護」は名ばかりで市町村の責任とされ、戦争をするのが自衛隊の役割とされており、住民は助けません。
 米軍の2019年からの「海洋圧力戦略」では、第1列島線で戦う自衛隊など同盟国のインサイド部隊と第2列島線上の米軍が主体のアウトサイド部隊を想定しています。在日米軍では、台湾有事に対応する二つの主要な作戦として米海兵隊の「遠征前線基地作戦(EABO)構想」と米空軍の「機敏な戦力展開(ACE)」があります。台湾有事=中国による台湾統合の際、その兆候を察知した米軍は中国ミサイルの射程圏内にある日本列島から退避します。
 これまでは米本土に退避していましたが、「機敏な戦力展開」では米空軍は10~15のユニットに分かれてグアム以東の第2列島線の島々の飛行場に分散して遠距離から戦闘に加わる訓練が始まっています。米海兵隊の「遠征前線基地作戦構想」は分散した空軍ユニットおよび第七艦隊と連携して太平洋の島々を移動と転進を繰り返しながらハイマースロケット砲で東シナ海上の中国艦船を攻撃するものです。すでに沖縄の伊江島や小笠原の硫黄島などで訓練を繰り返しています。
 この「遠征前線基地作戦(EABO)」に関連して、レーダーに捕捉されないように島陰に隠れて飛ぶ低空飛行訓練を、米軍は沖縄だけでなく日本全国各地でやっています。まさに日本列島全体がアメリカによる戦争訓練の場所になっているわけです。沖縄では不時着事故や落下物事故などが頻発しており、多くの事故はEABO訓練と関係があると見られています。

島々の軍事拠点化狙う「土地規制法」

 今通常国会で「重要土地等調査規制法」が成立しました。安全保障を理由に米軍基地や自衛隊基地の1キロ四方、国境・離島は島全部を規制・管理する立法です。
 安倍政権が発足した直後の13年から立法への動きが始まりました。「台湾有事」で日本国内の島々を使う仕組みを法律で整備するためと言えます。沖縄の場合、50の有人離島の全部が該当します。米海兵隊の「遠征前線基地作戦」では島々の飛行場や港湾が必要ですから、沖縄の島々も拠点にしようとしていると思います。
 外交防衛委員会質疑で明らかにしましたが、中国を焦点にしたグローバル・ポスチャー・レビュー(在外米軍の再編)が、日米2プラス2でも協議され、アメリカがその考え方を示し、年度内に決めようとしています。日本が協力として示す要素の一つが重要土地等調査規制法だろうと思います。

日本が進むべき道

 そういうなかで私が大事だと思うのは、外交交渉で戦争にならないように日中間の「日中共同声明」と「日中平和友好条約」を基礎にして中国に働きかけることです。
 私は日本が戦争に反対する明確な意思を示せば戦争を止めることができると思います。今年3月の米NBCのテレビ報道によれば、中国のミサイルはわずか6分で台湾空軍を全滅させるとのことです。6分とは発射したミサイルが届く時間です。そんな戦争にどうして日本が関われるのでしょうか。
 ですから、米軍の地上発射型中距離ミサイルを日本に配備して中国の台湾侵攻を抑止しようとするアメリカのたくらみに日本は乗ってはいけません。国境離島の飛行場を利用する米軍のハイマースロケット砲と米軍が配備を求める地上発射型ミサイルが、もし日本国内から中国艦船に発射されれば、それだけで「日中共同声明」と「日中平和友好条約」は壊れてしまい、日中は取り返しのつかない敵対関係になるのです。

アーミテージ「私はアメリカの国益のためにやっているのだ」

 元米国務副長官で「日本を戦争できる国にするために集団的自衛権の行使を求め続ける」リチャード・アーミテージの言葉を紹介します。彼は共同通信のインタビュー(2013年3月19日報道)で、「私は米国を愛するがゆえに日米同盟の仕事をやってきた。日本を愛するがゆえに私が何かすることはない。何が米国の国益か知っている」と言っています。そして、「『望まないことを日本に強いている』という批判があるが、『だったら、日本に堂々とそれを言わせよ』だ」と言っています。
 つまり、アメリカの要求を日本が喜んで受け入れていると言っているわけです。
 アメリカは日本を守る役割を果たしません。アメリカは中国領土を攻撃しないことを前提に日米同盟を維持しているのです。そして、同盟国の日本には「同盟国が中心になって台湾を守れ」と言っている。そういう関係です。
 今日の議論を通してこういう状況にある日米関係や日中関係への認識を深め、日本のあるべき進路を皆さまと一緒に見つけたいと思います。

(質疑や討論は次号に)

 

共有(シェア)Share on Facebook
Facebook
Tweet about this on Twitter
Twitter
Share on LinkedIn
Linkedin