新型コロナ災害緊急アクション活動報告

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今こそ居住貧困を政治の責任で解決を

新型コロナ災害緊急アクション事務局・反貧困ネットワーク事務局長 瀬戸 大作

 昨年の3月24日にこの「緊急アクション」を結成して、この1年4カ月、活動してきました。1年数カ月たってですね、非常に大変な状況だなと思います。実は、今日この集会に、僕らが支援してきた、いわゆる当事者と言われる人たちが何人もスタッフとして参加しています。一人だけ紹介しますと、去年の4月16日に栃木県の那須高原に190キロかけて行ってきましたが、そのときに支援した方が支援団体のケアスタッフで働いているんですね。1年数カ月たって、僕ら自身がこういう関係になってきたということを忘れないうちに触れておきたいと思います。

 僕ら、実は今日これが終わってから、急な案件が4件くらいできて、5時に終わったら分担して駆けつけ支援に行きます。
 日本国籍の人もいますし、外国籍の方もいます。そういう方から連絡があって、支援に行って、例えば外国人の方が今日までずっと野宿をしていると。そういう状態から対策に入ります。仕事を探していたけど見つからない、聞いたら所持金が2千円しかない。そういう人の状況にずっと対応して、生活保護の申請をすることや、福祉制度につなぐという日がずっと続いています。
 最近の特徴は、精神的にボロボロにされている相談者が急増していることです。精神的困難を抱え、心をやられてしまった若い世代が増えている。そこまで追い込んだのは「助けて!」と言える人や相談機関がなかったこと、そしてやりきれないほどの孤独です。
 コロナが広がったから貧困になったのではない。以前から、「助けてと言えない社会」「どうしようもなく孤独な社会」だった。非正規、女性、精神的困難、外国人、弱い状況に置かれた人びとの暮らしが、「底が抜けたようにこぼれ落ちた」と、私が出会った多くの相談者が言います。「たまらなく寂しかったんです」と。
 このように「助けてと言えない」状況に、何故、至ってしまったのか。困っているときに福祉の窓口に行ったとき、「若いのだから生活保護は利用できない」「ギリギリまで落ち込んだら相談に来てください」「施設入所が生活保護受理の条件です」、等々と福祉事務所から冷たく追い返されることが日常に起きている。所持金も千円を切り、居所もない相談者にも容赦ない。一番苦しいときに助けてもらうことも許されない。そのような福祉事務所の対応が、時には「死に至らしめる」ことを福祉に携わる人びとは自覚してほしい。「福祉が人を殺す」ような事態が今日も全国のあちこちで起きている。
 「死にたくないけど、死んでしまう」というような状況があるわけです。状況が相変わらず、僕自身の認識で言うと、1年以上前と比べて、何も変わっていない、むしろ悪化しているんじゃないか、そう感じています。
 そうした状況のなかで「緊急ささえあい基金」を呼びかけてきました。「反貧困ネットワーク」が監理団体になって、「緊急アクション」の団体が使えるようにということで、昨年の4月16日に始めて総額は1億2千万円を超えています。
 そのなかで僕ら自身が、特に真っ先に解雇される外国人の状況、生活困窮に追い込まれても公的支援が受けられない外国人の深刻な状況を初めて知りました。ここまで深刻なのかと。ですから、この「基金」の7割以上が外国人のために使われているという状況です。

20歳代など若者のSOSが急増

 相談者のデータで見ると、この間、特に5月以降、20歳代、30歳代のSOSが急増しています。半数以上が20代です。これは顕著に出ています。
 コロナ災害でジワジワと飲食とかそういう関連の業種に影響がかなり出てきている。
 最近でいうと地方から東京に出てきた人が実はたくさんいます。地方の産業の疲弊の問題があって、地方にいても仕事がまったくない、東京に来ても仕事はない。気付いて、東京で生活保護の申請をするという形になっています。
 相変わらず、非正規・派遣で寮に住み込む。雇い止めに遭い、その瞬間に寮から追い出される。それと、これは1月以降顕著になっていますけど、雇い止めで家賃未納で強制退去ということですね。
 それと17年の調査でも出てきますけど、「ネットカフェ難民」が11万4千人だと。当初から非正規で、住居の初期費用が捻出できずアパートを借りることができない人が大量に存在している。その他、「脱法シェアハウス」「ドミトリー」とか「脱法的なレンタルオフィス」、そこにいる人たちが結構多いですね。シェアハウスは、だいたい1カ月くらい家賃を払わないと追い出しになります。それと「レンタルオフィス」はだいたい1・5畳くらいの縦長の部屋。新宿中央公園の近くにはドミトリーがたくさんあります。
 また、知的障害など何らかの障害を抱えている人が非常に多い。僕ら自身は生活保護の申請同行だけでなくて、かなり精神的なフォロー、カウンセリングとかそういうところも含めて対応しているという状態です。で、生活保護を利用していたが施設収用されて失踪する人たちもいる。

兵庫県は県営住宅3千戸を準備
 次に居住貧困の問題です。

 生活に困っている人の家賃を国などが補助する「住居確保給付金」の受給件数が、コロナの感染拡大以後大幅に増えて、東京でおよそ45倍、大阪ではおよそ57倍に急増している。
 公営住宅問題です。公営住宅は、生活困窮者向けには一切提供されない地域が多いです。そういう意味でも居住貧困は非常に厳しいなと思います。
 そういうこともあって兵庫県の住宅提供は注目に値します。コロナ感染拡大を受けて、兵庫県は収入減で住まいの確保に支障が出た人たちを支援する従来制度を拡充し、入居先として提供する県営住宅の戸数をこれまでの10倍の3千戸に増やす。初期費用も無料にするなど住宅困窮者を幅広くサポートする体制をつくった。また、申請書類も簡素化。離職証明や住民票の提出は求めず、コロナ禍でホームレスになった人も受け入れる。必要に応じて生活保護にもつなげる。
 今日も自治体議員の方、何人もいらっしゃるけども、やっぱりこの公営住宅の困窮者向けの提供についてしっかりとその準備をやるべきだというふうに考えます。

居住貧困の解決のための11項目提言

 そういう意味で生活保護の問題と、住まいの貧困の問題を解決するために11項目を提起しています。具体化を国会議員との討論のなかでも提起していきたい。
 ①居住地を持たない要保護者の人たちに対して一時的な居所の確保のためのビジネスホテルとか、民間賃貸住宅の借り上げ等のセーフティーネットをすべての福祉事務所で進めるべき。
 ②生活困窮者に一時利用の住宅を無償で提供する。
 ③生活困窮者の「自立支援法」の一次生活支援事業の居宅支援で、アパート探しを自分でやれと民間支援団体に丸投げ。福祉事務所が、ちゃんと包括的にしっかりと支えていく必要がある。
 ④携帯電話がないと仕事も探せず、住宅探しもできない、社会参加が不可能に。福祉事務所で福祉携帯電話をレンタルする。
 ⑤住宅補助基準の見直し。例えば、新宿区には住宅補助基準5万3700円以下のアパートがない。では、違う区でアパートを探しても、移管については「できない」と。住宅補助基準の見直しについては実態把握も含めて知る必要がある。
 ⑥災害救助法を応用して公営住宅や民間を借り上げる「みなし仮設住宅」方式の検討要求。
 ⑦東京都は公営住宅については「60歳未満、単身については入居適用外」。これを外させる。
 ⑧住宅確保給付金を普遍的な家賃補助制度に。
 ⑨所得に応じた家賃補助。ネットカフェにいる人たちに、11万4千円では住宅の初期費用が捻出できない。そういった人たちの初期費用の援助なり貸し付けなど。
 ⑩路上生活者の緊急相談制度。僕が頭にきているのは、新宿の路上、毎日見ていると段ボールハウスがめちゃくちゃ増えちゃっていますよね。小池知事はなぜ一回も来ないのだ。なぜ、そこで暮らしている人たちと対話をしっかりやらないのか。ソウルではソウル駅のところにちゃんと緊急シェルターがあって、具体的に次のステップに行くという仕組みがあります。そういうことも含めてやる。
 ⑪最後に、無料定額宿泊所などの規制。藤田和恵さんが「週刊東洋経済」でかなり詳しいレポートを書いています。上野公園や新宿中央公園にいると、ワゴン車で登場して声がけして自分たちの施設に連れていって、そしてまたワゴン車に乗せて生活保護の申請に行って、それをまた施設に送り込むと。生活保護の受給日になると、ワゴン車で担当者が保護費をかき集めて、2万円だけ渡す。こういう実態が相変わらず横行している。これについての実態把握ですね、これについても早急に進めてほしいと思っています。

生活保護申請のヤバイ現場

 最近のこと。在日コリアンの30歳代の女性、コロナで仕事を辞めるしかなかったようです。千葉県松戸市在住で、生活保護の申請相談に行った。福祉事務所の相談員は、「韓国の親族の世話になればよい」と言い放ち追い返した。彼女は「もう二度と松戸市に行きたくない」と。外国人については、外国人登録証が住民票所在地でないと生活保護申請ができないんです。
 この間の相談では外国人が急増しています。「反貧困」のシェルターのなかでも外国人の比率が高まっています。何が起きているかというと、仮放免の人たちは就労することも許されない、移動することも許されない、医療も受けられない。そういう状況のなかで僕ら反貧困ネットワークが受け入れる。ネットワークを法人化した理由の多くはそこにあって、その人たちの受け入れ先がまったくないわけです。教会やいろんなところで守っていただいているんだけど、それでは耐えられないということもあって、シェルターをつくって、そこで具体的に暮らしてもらう策をとっています。
 問題は、かれらは働くことを禁止されているんで、生活費も含めてどうするのかという問題なんです。その生活費の支援、医療支援も必要です。そういう人たちへの対応、今の国の政策はまったく民間に丸投げです。僕ら自身が受け入れ、住居を提供し、生活費を提供し、食料支援を行って、医療支援を行う。そうしたときにシェルターはもう11人待ちで、入れない人たちが出てくる。その受け入れ先はない。
 今日もこれから夜、東南アジアの人のところに行くんですけど、僕ら具体的な対策方針を持ち得ない状態で行く。そういう状態で受け入れ先を探す。そんな日々が続いているということです。そういうことも含めて、この1年間の活動として報告しました。
 (「新型コロナ災害緊急アクション活動報告会」での報告を編集部がまとめたもの。見出しも含めて文責は編集部)

公務非正規労働従事者への緊急アンケート
第一次結果報告

公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)

 公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)は7月、「公務非正規労働従事者への緊急アンケート」第一次結果報告を発表した。公務労働が、厳しい非正規雇用労働者によって担われた困難な状況が浮き彫りになっている。その要旨を紹介する。詳しくは、https://nrwwu.com/survey-2/899/。

緊急アンケート実施に至る経緯

・2019年9月22日の「〈女性〉から考える非正規公務問題」シンポジウム、21年3月の「官製ワーキングプアの女性たち コロナ後のリアル」を開催していく過程で、公務非正規労働従事者が困難な状況にあること、20年度以降は、さらに会計年度任用職員制度導入とコロナ禍で、困難が増幅していることが明らかになった。また、直接雇用ではない公務非正規労働従事者からも、待遇の低さや不安定雇用、過重責任などを問題にする声が上がってきた。
・こうした声を受けるなかで、実行委員有志で、「公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)」を立ち上げた。そして、より幅広く実態を調査しようと今回のアンケートを実施するに至った。

調査から見えてきたこと

・今回の調査ではじめて声を出す人も多く、自分たちの置かれている現状を伝えたいと感じている人が多かった(労働組合などにつながることができていない人が多数を占めていたと考えられるのではないか)。
・広範な自治体で、非正規公務員が、恒常的に必要な公務を、1年ごとの不安定な立場で、低い賃金・待遇で担っており、心身の疲弊が広がっているのではないか。
・20年度の会計年度任用職員制度移行に伴う不利益が多様な手段・方法を通じて加えられているのではないか。
・非正規の職員が担う職についての職務評価がなく、多くが低い待遇のもとに置かれているのではないか。
・更新の不安から、問題を感じても声に出せない状況が広がっている。
・職場で孤立している当事者に寄り添う相談先が必要とされている。

厳しい経済状況

・年収200万円未満が全体の5割を超えている。
・回答者の3人に1人は主たる生計維持者で、女性で主たる生計維持者(378人)の4割以上が、20年の就労年収が200万円未満、7割が250万円未満。
・主たる生計維持者でない場合でも、自分の収入がないと家計が厳しいとした人が約半数(52・7%)。更新への不安、将来への不安を訴える多くの声がある。
・更新時には将来不安で、メンタル不調を抱えるとする声が上がっている。
・市民の生活支援に当たる人が、いつ、自分が支援される側に回ってもおかしくないと感じている。
・経験の考慮がなく、長期的に働いてきた人が更新されない例がある。
・更新への影響を心配して、パワハラなどがあっても問題にできないと感じている人がいる。

雇用期間・勤務年数

・多くは1年ごとの雇用期間となっており、不安定な身分で働いている。
・11年以上勤務の人が全体の15%を超えた一方で、現在職場年数が1、2、3年目の人も多い(539人、43・1%)。

給与が少なく経済困窮、焦燥感を訴える声

・給与が少ないという声が全体の4割を超えた。
・職務内容や経験に関する評価基準がなく、報酬額の上限が正規職員の大卒初任給相当と設定されるなど、職務の実態に合わない不合理な現状があるのではないか。
・専門職としての役割を求められる職務に就く人が、給与や待遇が低く、昇給もほぼないなかで、不安や焦燥感にかられながら働いている。
・専門領域で働く人のなかに、給与が少なく、将来も見通せないことから、職を辞めざるを得ないと考える人が出ている。

 

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