コロナ感染症の課題 ■ 日本政治の問題点がえぐり出された

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21世紀の「新しい国づくり」をめざす

衆議院議員 川内 博史

 新型コロナウイルス感染症は、日本の政治や行政の問題点をえぐり出しました。
 自民党の政治手法、あるいは行政マネジメントはあくまで平時の手法であって、今のような緊急事態あるいは非常事態においては機能不全に陥るということが明らかになったとみています。自民党の政治は財界・業界主導で、そこから上がってくる陳情、要望、意見を政策に反映させていくやり方です。 ところが、新型コロナウイルス感染症はすべての人の命や暮らしに関係し、危機を及ぼしている。だから、すべての人の生活実態に着目して施策を講じていかなければならないのですが、そこがまったくできていなかった。だから、唐突に布マスクを配ってみたり、あるいは感染が拡大している局面で経済が大事だと(もちろん大事ですけれども)、わざわざ税金を使って感染を広げる「Go To トラベル」で日本全国に、離島を含めて感染拡大を引き起こしたりした。それが今日の2回目の緊急事態宣言につながってしまっている。
 その典型ですが、今回の3次補正予算は20兆円あまりの真水のうち、コロナ対策にはわずか4兆円です。16兆円はよくわからないポストコロナ予算です。令和3年度予算も史上最大規模の106兆円ですが、そのうちコロナ対策は予備費の5兆円です。
 しかし、新型コロナウイルスの蔓延は人類の歴史を変えるような非常に難しい事態です。感染しやすいし、しかも100人当たり一人か二人がお亡くなりになる、致死率もそこそこ高い。そうした厄介なウイルスです。

弱い立場の人がしわ寄せを食う

 ですから生活に着目した施策を講じていかなければならない時です。こういう状況でいちばんしわ寄せを食うのは弱い立場の人々です。低所得世帯、あるいは高齢者の一人世帯、あるいは若者、シングルマザー、非正規雇用の皆さん。そういうところに政策を集中し、感染を防止しながら社会全体の動きをつくっていかなければならない。
 ところが自民党は業界ばっかり見ているから、本来見なければならないところを見られない。
 私たち野党はそういう人々の声を政権に伝えて、そして政策の改善をリードしている。国民の要求に沿ったほとんどの政策を今は野党がリードしているといっても過言ではないと思います。
 こういう非常事態に、これまでの政治の在り方、行政の在り方、自民党の政治のやり方では対応することができない、機能不全であるということをみんなが知ってしまった。
 だから菅総理も先日の参院予算委員会で蓮舫さんにガンガン言われてムッとして、「私だって困っているんですよ。一日も休んでないんですよ」と。それはその通りかと思いますよ。
 「じゃあ」と、私が衆院予算委員会で、「大企業の非正規の方々は、何の制度的手当てもない。そういう人たちにまず会って話を聞いたらどうですか」と迫った。そしたら、私もちょっと予想していなかったのですけれど、「会わせていただきます」と。それで官邸にその方々をお連れして話を聞いていただいた。そうこうして、少しずつですが大企業非正規の方々にも休業支援金の適用が前進しつつある。十分ではないかもしれないけれども。
 政府や自民党には、社会経済活動がこうも大幅にダウンしているときに、政治や行政がどこに目を向けなければならないのかということがわからないのだと思います。だから、総理をただ批判しても、それだけでは非正規雇用の皆さんや低所得世帯の皆さんや高齢者の一人暮らしの皆さんの生活は良くはならない。
 もちろん、私らの目標は政権交代で、政権を交代させてしっかりした対策を先手先手で打っていかなければならない。今はどうしたって後手後手になっているわけですね。しかし、選挙がなければそうはならないので、今は後手であろうが、「とにかくやってよ」と要求の具体化を迫っていくようにしたいと思います。

特措法問題 十分な補償こそ最大の対策

 コロナ特措法改悪問題は、それこそ率直に謝罪しなければならないと思っています。
 実は私たちは、1回目の緊急事態宣言の後、夏ごろに議論を始め、知事会の提言等も踏まえて特措法改正の野党案を取りまとめ、12月2日に国会に提出しました。その案には、罰則はいっさい盛り込まなかった。党内議論では罰則は必要だと言う方たちもいたし、知事会なども休業指示、休業要請の実効性の担保が欲しいというようなことを言っていましたが。
 私は、十分な補償さえあれば、わざと感染を広げたいと思う人は世の中にほぼいないと思っていました。意図的に感染を広げたら、それは別途の犯罪になるわけで、そういうことで広い意味では取り締まることができる。
 だから特措法、あるいは感染症法の中に罰則は必要ないということで最終的に党として取りまとめて、他の野党にも呼び掛け野党全体として国会に提案したのです。
 ところが政府・与党は、改正は必要ないという立場だった。
 それが第2回目の緊急事態宣言で、これはいよいよやらなければいけないということになって、罰則をつけてきたと。
 私は、罰則などは絶対だめだ、十分な補償さえあればみんな協力するんだという立場で党内では主張したのですけれども、最後は過料という形でまとまった。私は党の最後の会議でも、過料もだめだと主張したんですけれども、最終的には修正協議を尊重したわけです。
 いずれにせよ、過料が発動されるまでの行政手続きについては、慎重な上にも慎重に判断をしなければならないし、過料発動の前にまずは十分な補償をすることです。すなわち科学的な根拠に基づいた十分な経済的補償をしていくということが過料の発動を抑えるでしょうから、そういう方向で努力をしています。過料が付いて申し訳ないという気持ちでしっかりやっていこうと考えています。

しっかりと国民の要求を知ること

 これまでの政治の体制は、古い平時の体制です。
 私の地元の鹿児島県の馬毛島に日米共同の軍事基地をつくる話が進んでいます。けれども、今どき軍事の安全保障なんか、重要ではありますが、古臭い、何十年前の話をしているんですかと、私は思う。
 21世紀の安全保障というのは食料の安全保障、気候変動の安全保障、それから未知の感染症に対する安全保障、国際的な協力のもとで地球的規模で取り組まなければならない人間の安全保障が、われわれが取り組むべき課題です。国と国との関係は重要ですが、自民党は、日本を取り巻く安全保障の環境は厳しさを増しているとか、何十年も前から同じ言葉を使って軍事費を増やしたりとか、基地をつくったりとか、本当に無駄遣いだと思うんですね。
 そういうなかで、まったく新しい国づくりをしなければならないと私は思い定めているわけです。
 「新しい国づくり」で大事なことは、コロナ禍のような事態に直面してしわ寄せを食うのは弱い立場の人々であって、こういうときに弱い人々を助けるために政治権力を付託されているのだという基本的な考えです。今の政権、あるいは政治や行政の体制の下でこぼれ落ちている人々を救うことこそが新しい国づくりにつながるというふうに私は思い定めています。
 結局、平時の、今回のオリンピックの森会長の話が象徴的なんですけれど、力のある者同士で談合的にいろんなことを進めていくというのは、もうまったく時代にそぐわない、古い政治そのものだということだと思います。
 たとえば、いろんな統計を見ると、去年の1回目の緊急事態宣言があって、その時にどういう業種、どういう人々、どういう地域に経済的打撃が生じているのかというのは数字上明らかなわけです。そこを見て施策を打てばいいわけですけれど、まったくそういうことができてない。何の検証もない。
 たとえば子どもの貧困です。少子化担当大臣が子どもの貧困についても担当しています。「子どもの貧困対策法」という法律になって、政府に対策本部があるにもかかわらず、「新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が発出されていた去年の4、5月、低所得世帯の子どもたちがいかなる状況に置かれたのかということについて調査してますか?」と聞くと、「してないんです。わかりません」と言うんですよ。だけど、「低所得世帯の子どもたちが大変だろうというのは認識してます」と。そんなもの当たり前の話です。
 どういう状況に置かれているか、どういう支援が必要か、まず調査しなさいよと言いました。アンケート調査でいいから、親の所得、保護者の所得がどうなったのか、子どもたちは毎日ちゃんとご飯を食べられたのかというようなことを調査すべきです。アンケート調査であれば1週間で調査して結論をとりまとめるのに次の1週間、計2週間もあれば、今回の緊急事態宣言の時にどういう対応をとればよいかはわかるはずです。だけど、アンケート調査すらしようとしない。私が、予算委員会でなぜしないんですかとさんざん聞いたけど、しない。おまえに言われてやりたくないみたいな、そういうことかもしれないけど。

科学的態度と愛と

 だけれども、私たちの社会、地球という星もそうだし、日本もそうだけど、だれ一人欠けても世の中成り立たないわけです。ですから、そういう状況に置かれている人々がどうなっているかを把握しないことにはどうにもならない。
 政府は今、デジタルトランスフォーメーションとか言ってデジタル庁をつくると大上段に振りかぶっています。そういうデジタルを何に使うのか。政府が情報を全国民から集めて管理するためにそういう便利な道具を使おうとするのではなくて、国民の皆さまの今置かれている生活実態とかを教えてくださいというのに使いなさいよと私は思うんですね。そうするとみんな喜んで協力すると思うんですね。ところがまったく、そこでも方向性が逆なんですね。
 「Go To トラベル」でも同じです。一人暮らしの高齢者で国民年金だけで生活しているような一人暮らしのおばあちゃんとかの話を聞いても、私たちには関係ないと。そもそも普段から旅行には行けないから、それはお金持ちの話でしょうっていうことなんですね。
 格差を拡大させる、あるいは国民の中に分断を生むような政策に固執し感染を拡大させてしまったことに関しても、間違いは間違いとして認めない。日本の政治とか行政の宿痾なのかもしれませんけど、間違いを認めない。
 しかし大事なことは、間違えたら間違えたと、ごめんなさいと謝ることです。間違いを認める勇気、そして政策の方向を転換させていく勇気が必要だと思う。そしてどういうところにどういう予算を配分すればよいのかということについてはきちんと調査をし、データに基づいて配分していくという科学的態度が求められる。
 科学的態度と愛がなければ、こういう非常事態には対応できないと思います。しかし、現政権には科学的態度もなければ愛もない。だからこそ、今われわれは国民の要求を聞きながら、必死になって政府をリードしているのです。
 それを基礎にしながら、国民の信頼を得て政権交代を実現します。

(本稿は、インタビューを原稿にしたもの。文責、見出しとも編集部)

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