[コロナ危機] コロナ禍と労働者

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雇用と生活を守るJAMの取り組み

JAM副書記長、組織・政策部門長 川野 英樹

未曽有の緊急事態宣言

 JAMは、機械金属産業の中小企業・ものづくり製造業を中心とした約1900単組、38万人が加盟する産業別労働組合である。
 その特徴は、何といっても中小企業単組の構成比が高いということ。300人未満の単組が85%、100人未満の単組が60%を占めており、中小企業単組の「雇用と生活の維持と確保」に焦点を当てた運動が中心とならざるを得ない。
 もう一点は、構成企業の大半が中小・サプライヤー(中小部品供給会社)であり、大幅な景気変動時には発注メーカーから一方的なキャンセルや納入停止が多発する。また、原材料調達が困難で納期遅延が発生した場合は、ペナルティー(違約金)が発生するなど、公正取引慣行の確立が主要な政策課題となっていた。
 新型コロナウイルス感染症による「緊急事態宣言」が4月7日に発令、16日には対象を全国に拡大した。懸念されていた爆発的感染拡大は回避されたものの、未曽有の緊急事態宣言と、それに伴う自粛要請は、経済に深刻なダメージを与え、先の見えない現状に雇用と生活の不安は続いている。
 多くの企業が通勤規制や在宅勤務、自宅待機を指示し、そのことでサプライヤー構成比の高いJAMでは、受発注側双方の影響を免れず、操業調整の渦がまたたく間に広がっていった。

リーマン・ショックに匹敵

 新型コロナウイルスの感染拡大が、雇用に深刻な影響を及ぼすことは必至として「JAM緊急事態宣言」を、政府発表と同日に発出し、組合員のみならず同職場で働くすべての労働者の「命と健康」と「雇用と生活」を守り抜く活動を展開することとした。
 JAM結成(1999年9月)から調査を続けている「JAM雇用動向調査」では、2008年9月のリーマン・ブラザーズの経営破綻と株価暴落による国際的な金融危機の引き金となったいわゆるリーマン・ショック後の2009年1月が、一時休業・教育訓練の実施は458件で最大値であった。
 しかし、2020年4月の同調査では、一時休業・教育訓練が447件に激増し、リーマン・ショックに迫る勢いとなった(図1)。

リーマン・ショック禍の取り組み

【組織内議員を通じた取り組み】
 政府は2008年の年末から、雇用調整助成金および中小企業緊急雇用安定助成金の受給要件を緩和、助成率の改善などを実施。JAM構成企業の多くで活用が進んだ。
 一方、こうした助成金の申請多発によって、窓口であるハローワークの対応は混乱、問題が頻発。JAMや津田やたろう国会事務所へ、単組から多くの相談と改善要請が寄せられた。特に多かったのは、教育訓練の支給対象となる「教育訓練の具体的内容」の基準が不明確であるということ。申請窓口で長時間待たされたあげく「受給対象にならない」「ハローワークでは判断できない」などと言われるケースも多く発生した。
 雇用調整助成金は、従業員の雇用と生活を守るために不可欠な制度である。教育訓練は、時間を割くことが困難であった従業員のスキルアップ研修が、費用助成を受けながら実施できるため、労働者にも企業にも大きなメリットと認識されていた。特に「雇用非常事態」においては、受給対象を絞るのではなく、より幅広く認めるという視点は欠かせなかった。
 津田やたろう組織内参議院議員は、こうした職場の声に応えて厚生労働省に働きかけを行い、申請の現場で混乱が起きないよう、きちんとした基準を早急に示すよう強く求めた。また、「活用させること」を旨として対応するよう都道府県労働局を指導することも強く要請し、これをきっかけとして厚労省から通達が労働局に発出された。

【景気変動時の迅速な緩和・拡充を求める署名活動】
 JAMは、「景気変動時における雇用調整助成金の迅速な緩和・拡充を求める団体署名」を、連合の42構成組織の賛同を得て展開。雇用調整助成金が雇用を守る生命線であることを踏まえ、①制度見直しによる影響の把握と必要な対応をはかること、②景気変動時の速やかな制度の要件緩和と拡充、③景気変動時の対応に向けた財源の確保の3点を求めて、労働組合と企業から当時で約6000筆の団体署名を集めており、田村憲久厚生労働大臣へ手交している。

新型ウイルスによる操業に関する影響調査

 2019年秋以降は、中国経済の減速や米中経済摩擦等の影響に警戒を強めていたが、2020年初めから新型コロナウイルス感染症の影響懸念が加わった。それらを背景に、2月10日から緊急的に「新型ウイルスによる操業に関する影響調査」を開始し、今回で第4回目(5/20~6/5調査)の結果をまとめた。
 第4回調査結果によると「5月売上の前月比較」では、大幅減から微減までを含む「売上が減少」と答えた単組は、全体の7割を超えた。前回調査においても約7割の単組が減少と答えており、2カ月連続で減少している単組が多いことがわかる。
 また、減少は「新型ウイルスに起因する」と答えた単組は、全体の8割超に及んでいる(表1)。


 売上減少した主な理由(複数回答)としては、「関連企業の休業」によると答えた単組が全体の約半数の550件、「出荷規制」179件、「材料等入手不足」102件となっており、受発注側双方の影響を受けていることを表している。
 とりわけ、自動車業界の休業が大きく影響し、自動車関連企業のサプライヤーの多くが休業を実施している。


 また、緊急事態宣言の発令による「感染防止対策」として、自主的に休業していることも、売上低下の原因となっている。
 その他の各単組における具体的な対応策を挙げると、A労組では今年度の新入社員8名を4月10日から5月31日まで自宅待機を命じていた。集合教育の感染リスクに加えて、ものづくり現場の実習では、稼働中に耳元で説明しなければならないためだ。
 B労組は、昼休みを時差休憩にし、食堂の席数を半減、更衣室を使用禁止としている。C・D労組では、人手不足が続いていたが、派遣労働者の雇い止めに踏み切っている。

雇用と生活を守る取り組み

 JAMに結集するすべての単組は、労働組合の役割である経営チェックを怠らず、雇用調整助成金を活用した「原則100%賃金補償」をめざす。真摯な労使協議を通じて、同職場で働くすべての労働者の雇用と生活を守り抜く取り組みを強化していく。
 雇用調整助成金制度は、リーマン・ショックおよび東日本大震災をはじめ、雇用情勢悪化の際に、雇用を守る生命線として大変重要な役割を果たしてきた。また、必要に応じて、段階的な受給要件緩和や助成内容の拡充がされてきた。
 JAMは、2月に開始した操業に関する緊急調査結果から、操業見通しに極度の悪化兆候が見られたため、3月初めには雇用調整助成金の拡充と要件緩和に向けて、関係省庁と政党、国会議員に要請行動を展開し、その実現を果たしてきた。
 4月からホームページに「つなごう生活、 つかおう雇調金」のポータルサイトを開設し、雇用調整助成金に関する最新情報や、申請手続きのポイント解説等を提供して、雇用維持に努める労使をサポートしている。
 雇用調整助成金の特例措置の拡充によって、具体的なプラス効果も出てきている。
 E労組では、当初の休業手当の支払い率80%であったが、日額上限額が1万5千円に引き上げられたことと、遡及申請ができることを受けて、休業手当の支払い率100%の労使協定を6月5日に再締結した。これにより、126名が4月以降の一時休業12日分の休業手当が100%保障されて遡及支払いを受けた。
 F労組は、労使でハローワークに相談に出向いている。その際にJAMオルガナイザーを同行させた。教育訓練給付金の受給に向けた教育訓練の内容や実施方法を相談し、在宅による教育訓練を実施するためだ。JAM内での実施事例を共有し、スムーズな手続きを実現できている。
 さらには、4月下旬から政策への発信力向上と、単組のお困りごとホットラインとして、森本真治国会事務所に書記局員を配属し、雇用問題の対策に就けている。
 今後、ウィズコロナやアフターコロナによる制約は、われわれの働き方や生活にどのような影響を与えるのだろうか。
 JAM政策スローガンとして「価値を認めあう社会へ」を掲げている。ウィズコロナやアフターコロナ時代の「働き方」や「暮らし方」は、コストアップや生産性低下の要因になりうることも十分考えられる。その際に、一方的に犠牲を与えられたり、しわ寄せさせられたりしないことが重要となる。
 われわれは、「製品の価値(価格)」と「労働の価値(労働条件)」が毀損させられることのなきよう、労働組合の果たすべき役割と責任は重大だ。

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