IAEA報告は海洋放出を承認していない
中国を「非科学的」と断じる日本の傲慢
ジャーナリスト(元共同通信客員論説委員) 岡田 充
福島第1原子力発電所の溶け落ちた核燃料を冷却する汚染水の海洋放出が近づいている。
日本政府やメディアは、国際原子力機関(IAEA)の「国際的安全基準に合致」とした調査報告書(7月4日)によって、海洋放出の安全性と正当性が保証されたかのように主張する。
だが報告書が「排出の安全性を判断する内容ではない」ことを、どれほどの人が知っているだろう。報告書で「お墨付きを得た」とし、地元・福島の漁民や市民団体、中国や太平洋の島嶼国など海外の反対を「非科学的」「外交カードにしている」などと決めつけるのは、あまりに傲慢な態度ではないか。