温暖化と戦後の土地利用、森林・河川政策などの人災
水害がない流域の未来を考える
つる 詳子
2020年7月4日に球磨川流域を襲った水害から9カ月。いまだに被災地はその爪痕を強く残したままである。護岸の樹木がなぎ倒され、見通しが良くなった球磨川の両岸は、補強用の黒いフレコンバッグで覆われ、泥出しや家財搬出を終えた窓、ドアがない家、柱だけになった家、解体して家屋がなくなった更地と、殺風景な景観が広がっている。 続きを読む
水害がない流域の未来を考える
つる 詳子
2020年7月4日に球磨川流域を襲った水害から9カ月。いまだに被災地はその爪痕を強く残したままである。護岸の樹木がなぎ倒され、見通しが良くなった球磨川の両岸は、補強用の黒いフレコンバッグで覆われ、泥出しや家財搬出を終えた窓、ドアがない家、柱だけになった家、解体して家屋がなくなった更地と、殺風景な景観が広がっている。 続きを読む
ダムによらない治水・利水を考える県議の会代表 西 聖一(熊本県議会議員)
2020年7月4日の豪雨は熊本県人吉地域を中心に、球磨川に注ぐ支流や本流の氾濫をもたらし、死者・行方不明者67名、家屋被害は一部損壊まで含めて7359棟、今なお仮設住宅で暮らしている方が1814戸という大災害を引き起こした。
この災害を受けて、川辺川ダムの建設を中止としていた熊本県蒲島知事は、ダムも含めたあらゆる治水対策を行うと転換を表明した。知事は12年前の就任直後に、50年にわたる川辺川ダム建設論争に終止符を打つべく、ダム建設中止を表明した。しかし、治水協議会では12年間、治水方法を巡って議論だけが空転し、具体的治水事業も行われない中に、今回の惨事を迎えてしまった。
ダム建設推進派がここぞとばかり、「生命と財産を守るためにはダム建設が必要である」という主張を強め、知事も方針を撤回せざるを得ない状況となってしまった。その後は、議会、国交省にも方針転換の承認を受けたとして、大変なスピード感で進んでいる。 続きを読む