英 正道(はなぶさ・まさみち)
1933年東京生まれ。58年に外務省入省、経済協力局長、外務報道官、ニューヨーク総領事、駐イタリア大使を務めた。
本論は、英正道氏が最近グッドタイム出版から刊行した『回想の外交官生活』のエピローグ「自立した日本外交・安全保障に向けて」のほぼ全文である。編集部は、本論の執筆時(昨年末)からさらに国際情勢の緊迫度が急速に進んだので加筆修正を筆者に要請したが、秋まで余裕がないとのことであった。そこで元のままの論文を筆者了解のもとに掲載する。日本の安全保障政策をめぐる議論に重要な一石を投じていると確信する。編集部
国際社会の激変はまだまだ終わることなく続いている。残念ながら日本の国力も相対的に低下している。しかし変化し続ける一つの社会として、すでに日本が世界の中で最も素晴らしい国の一つになっていることも事実である。日本が国際場裏でどのような地位を占め、どのような役割を果たせるかという問題については、これからの日本人が取り組む必要がある。私は楽観主義的な性格もあり、舵取りを間違わねば日本は大丈夫と思っている。 続きを読む