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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2003年1月号
多国籍企業と米国の要求する「小泉改革」は国民各層の生活を直撃している。とりわけデフレ不況のなか、小泉改革によって企業数の九九・七%、従業員数の七〇%を占める中小企業は存亡の危機にある。全国の中小商工業者は「もはや直接行動しかない」と立ち上がりつつある。今年は不良債権処理加速策による中小企業つぶし、外形標準課税や消費税見直し等による中小企業いじめなど国民犠牲が強まり、失業者も増加するだろう。中小商工業者など闘いも全国で発展するに違いない(文責編集部)。
中小企業/地域経済(福岡・田川)/失業問題(神奈川)・(福岡)
貸しはがしはやめろ
千三百五十人がデモ行進
デフレ不況のもと、貸し渋り・貸しはがしに反対し金融政策の転換、デフレ対策などを求めて、九月三日、東京・中央区の中小商工業者千三百五十人が、怒りの集会とデモ行進を行った(本誌2002年十月号参照)。
ものづくりの街で危機突破大会
東京商工会議所大田支部(会長=諏訪保雄ダイヤ精機社長)は、十一月十八日、大田工業連合会や大田区商店街連合会とともに「大田区中小企業危機突破総大会」を開催した。大会には地元の中小企業経営者ら約六百人が集まり、政府や東京都などに対し要望を行った。
諏訪会長はあいさつで「大田区のものづくりは危機的な状況だ。平成三年に四千六百を数えた従業員五人以上の工場が十年後には四〇%減の二千八百を割った。とくに二〇〇〇年からの一年間で一一%も減少した。資産デフレなどで、健全な中小企業でも倒産してしまう現状にある」と窮状を訴えた。さらに金融検査マニュアルについて「大手企業も中小企業も同じに扱っている。行政は中小企業を見殺しにするのか」と指摘。「中小企業に資金が回ってこない。中小企業対策や金融対策、デフレ対策を」と強く主張した。
また「中小企業を犠牲にする不良債権処理はやめてほしい」「多くの中小企業が増税になる外形標準課税導入、消費税の免税点制度見直し、簡易課税制度廃止には断固反対」などがの発言が相次いだ。
外形標準課税導入反対
日本商工会議所、全国商工会連合会など中小企業関係四団体は十一月月二十八日、外形標準課税導入阻止に向けての決起大会を開催した。全国から約三千七百人の中小企業経営者が集まり、外形標準課税導入反対を強く訴えた。
山口信夫・日商会頭は冒頭のあいさつで「外形標準課税の導入や消費税の免税点制度の見直し、簡易課税制度の廃止など、今頑張っている中小企業の経営を脅かし、犠牲にするものには断固反対する」と強調した。
決起集会では、総務省案に対して「六兆三千億円の全地方税のうち四兆四千億円は赤字企業が負担している」と指摘し、「中小企業は、これ以上の税負担に耐えられない」として断固反対の姿勢を強調した。
旅館・ホテルへの宿泊税反対
東京都の石原知事によるホテル税導入に歩調を合わせるように大阪市でも宿泊税導入の動きがある。
この動きに大阪の旅館業者が、「すでに消費税があり、宿泊税ができれば二重取りであり不平等だ」「オリンピック誘致失敗など財政赤字のつけを、旅館業者やお客に押しつけるもので絶対反対」と立ち上がった。十月一日、浴衣やはっぴ姿の旅館の女将さんたち百三十人が大阪市の宿泊税導入に反対して、大阪・御堂筋をデモ行進した。自治体には課税自主権があるが、財政難を理由に住民や中小業者への犠牲転嫁は許されない。
たばこ税増税反対
宮城県仙台市では十月二十四日、たばこの販売店や生産農家など約五百人が集まり、「たばこ税増税反対」の集会とデモ行進を行った。「たばこは小売定価の約六〇%が税金。たばこ屋のリベートは一〇%しかなく、値上げのすべてが税金。街のたばこ屋は小さい店で高齢者が大部分。不況の中、値上げされたらお客の負担が増え、売上は減少して店はつぶれる」と行動に立ち上がった。
日本たばこ協会、全国たばこ販売協同組合連合会、全国たばこ耕作組合中央会などが取り組んだ「たばこ税増税反対署名」は全国で六百五十万を超えた。
福岡・田川 失業率一〇・二%
二千人が決起大会
雇用の確保と自立を目指す田川地域総決起大会が十二月四日、旧産炭地域の福岡県田川市で開催されました(写真下)。会場には二千人もの住民が参加し、集会場に入れずに外側にあふれるほどの熱気に包まれていました。主催は田川市と田川郡九町村です。
この大会は田川市に本部をおく全国失業者労働組合からの強い要請もあって取り組まれた経過があります。産炭地域である田川地域がいまだ石炭の後遺症から立ち直れない状況(失業率一〇・二%)にさらに深刻な不況が追い打ちをかけているにもかかわらず、この地域の命綱ともいえる国の制度事業が打ちきられようとしていることに対する強い危機感が背景にあります。
主催者代表として滝井義高・田川市長があいさつし、情勢報告を全国町村会会長の山本文男・添田町長が行いました。意見発表として、制度事業関連の労働組合の代表、農民代表、商工会代表が行いました。そして特別開発就労事業などの健全延長を国に求めること、商工業者、農業者、働く住民が団結することなどが盛り込まれた大会決議を採択し、団結がんばろうで閉幕しました。
神奈川 職をよこせ!
失業者が緊急県庁行動
十二月五日、県内各地の失業者約六十人が参加して「職をよこせ!緊急行動」を開催。集会の後デモ行進をしながら県庁に向かい、失業対策の強化を求めて県知事に申入れを行いました。主催は「職と生活保障を求める失業者ネットワーク神奈川連絡会」。
参加した失業者は、「五十歳を超えると採用する企業がない」「三十五年も勤めた会社だったが、いじめなどがあって辞めた。職業訓練を受けても就職先があるかどうか分からない」「職業訓練校の面接に行くが、必ず受けられるという保障はない。何とかしてほしい」「半年以上探しても職が見つからない。このまま職なしで年を越すのかと、危機感を持っている」など実情を訴え、「国や県は失業対策を強化せよ、失業をなくせ、失業者は団結して輪を広げ政治を変えよう」と声を上げました。
激励と連帯の挨拶の中で竹田四郎・国民連合神奈川代表世話人は、失業者激増の背景に株主の利益だけを重視するアメリカ流の株主資本主義があることを指摘し、「アメリカに左右されない日本独自の政治・経済の構築が必要だ」と指摘しました。
社民党県連幹事長の小泉親昂県議は、小泉内閣によって社会保障が破壊され個人負担が増大していると批判、「自民党だけでなく民主党の中にも自由競争推進者がいる。県の労働相談が三倍以上に急増、安心して働けて生活が保障できるようにしていくことが大事」と発言しました。
山本正治・労働党県委員長は「トヨタやソニーなど海外で莫大な利益を上げている大企業が小泉内閣の改革政治を支え、労働者や中小企業に犠牲を押し付けている。痛みを押し付けられている人々が結束し、中小商工業者とも連携して政治を変える行動を起こそう」と訴えました。
失業者ネットが労働相談などで協力を受けている個人加盟の労働組合・県央ユニオンから、不当解雇で闘っている外国人労働者も報告を行いました。
福岡 年が越せない!
失業者が県庁行動に決起
小泉政権の改革政治によって多くの国民が犠牲になる中、特に「不良債権処理の加速」による企業の倒産などによって失業者が増大しています。福岡では失業率が全国ワースト四位の七・一%で、県政のあり方が問われています。
そのような中、十二月十九日、職と生活保障を求める失業者ネットワーク・福岡(小山明雄代表)は、「もう我慢できない!職よこせ!年越し『怒り』の県庁行動」を起こしました。深刻な不況の中、悩んでいる失業者たちがお互いを励まし合い、相談し合う中で、行政が失業問題を真剣に取り組むよう要請する行動が始まりました。十月二十三日に筑後市と久留米市(二十名参加)、十一月十三日に田川市(二十名参加)、十一月二十一日に北九州市(三十名参加)に対して要請行動を行ないました。要請行動を行った地域の失業者とサポーターが十一月二十八日に相談会をもち、緊急に今回の県庁行動を行うことを決定し、取り組みがスタートしました。失業者たちはサポーターと共に、ポスター張りや職安前での署名運動、チラシまきと、小雪がちらつく寒い中、一生懸命取り組みました。国民連合・福岡もこの運動の支援を労組や団体に呼びかけました。
十二月十九日の県知事への要請行動と報告集会には、北九州、筑豊、福岡、筑後など県内各地から約四十人の失業者らが参加。会場から県庁に向けてデモ行進し、「麻生知事は失業者の声を聞け」「県は仕事をつくれ」などのシュプレヒコールをあげました。県庁前ではテレビ局などのマスコミ各社が待ち構え、取材を受けました。
県知事への要請行動では、新年度予算に実効ある失業対策を求める要請書、職安前で五日間で集めた八百八十五名分の署名も合わせて提出。小山代表は「今回の行動には各地からの署名も含めて二千七百八十人を代表して要求します」と述べました。対応した労働局の担当者に対して、失業者から「年齢制限や経験有無があるから仕事につけない」「県として目に見える形の独自の失業対策を」「新空港などのムダづかいの開発をやめて失業者へ予算をまわせ」「このまま仕事につけないと一家心中しそうだ、自殺しないですむ対策を」など涙ながらに訴える切実な発言が相次ぎました。しかし県側の対応は失業者の切実な思いとはかけ離れたもので、失業者からは不満の声が上がりました。
要請行動後の報告集会では、北九州地域世話人代表で国民連合の県世話人でもある豊島正章氏が県庁交渉報告を行ないました。続いて失業者ネットワーク福岡の小山代表から、「(1)今後とも各自治体への要請行動を続ける、(2)失業者同士の相互連帯や助け合い、(3)労働組合など団体への支援や連帯の呼びかけ、そしてこの運動を全国的に広げること」などの基調報告が行われました。
集会では、社民党福岡県連合政審会長の入江種文県議、広範な国民連合福岡代表世話人の渕上桂子氏、県政の大転換二一県民連合の中村哲郎氏、労働党福岡県委員長の中村寛三氏が連帯の挨拶を行ない、松本龍・衆議院議員、村上守・連合福岡会長、砂川由弘・福岡県職労委員長、神宮義秋・国労博多地本委員長からの連帯のメッセージが披露されました。
失業者からは「今回の行動に参加できなかったが、自殺を考えているほど深刻な仲間がいる」、「いろんな運動に参加した経験があるが、部落解放運動では仲間を兄弟と呼んで団結していた。この運動は絶対に発展する」などの発言、入江県議のあいさつに対して失業者からの質問が相次ぎ集会は盛り上がりました。また元福教組嘉飯山支部長の中社正文氏や全国一般久留米支部の西坂晃一氏などからサポーターとしての連帯発言がなされました。
最後に、筑後地域世話人代表の大城敏彦氏から集会アピールが提案、採択され、元三池炭鉱労働者の小柳康治氏の音頭で団結ガンバローを三唱し、決意を固めました。なお三つのテレビ局がその日の夕方放映し、翌日には新聞にも報道され世論にも影響を与えました。この行動は、福岡での失業者の職と生活保障を求める運動の新たな一歩を築いたこと、連帯と支援の輪が広がるなど重要な闘いであったと思います。(国民連合・福岡)