いま中小零細企業の状況は深刻でとくに製造業は前年比70%減という企業もあり、限度を超えた状況にあります。明日をも知れない資金繰りの困難さや、先行き絶望的な見通しの中で、仕事確保の毎日と、経験したことのない困難な経営環境に遭遇しています。さらに、戦後最大の「底」は小零細企業にとってはこれからが本番です。
こうした中で、12月4日、国において「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」(返済猶予法)が成立、施行をされました。
亀井静香金融担当相肝入りのモラトリアム法の提案は、不況に苦しむ中小零細商工業者にとって朗報となりました。
しかし、亀井大臣の意気込みからすると大幅に後退した内容になって来ていました。金融機関はリスケ(条件変更)に応じないし、事業者は「破綻懸念先認定」のリスクを負いたくないとか格付けを下げられたり、ニューマネ―(新しい融資)が受けられなくなるなどの心配があるからです。
新しくできる返済猶予の制度が実効性あるものとして運用されるのかどうか危惧されておりました。
そこで、中小企業景気振興東京会議、中小零細企業経営危機突破川崎連絡会および、私が所属する静岡商工会は力を合わせて、11月9日亀井大臣への面談、つづく11月20日には金融庁、中小企業庁への申し入れを行いました。
要望項目は以下の5項目でした。
1.認定のガイドラインを金融庁において作成し、金融機関の強引な判断に歯止めをかけること。
2.緊急不況融資の据え置き期間を更に延長し、実質的猶予を実施すること。
3.保証協会や金融機関の過去の診断にとらわれず、認定を柔軟に行うこと。
4.条件変更、借り換え、新規融資に当たり、「税の滞納がないこと」などの条件を撤廃すること。
また、使途制限を設けないこと
5.中小零細事業者に「仕事を保証する」等の政策の緊急な実行を求める。
というものでした。
12月3日には静岡県信用保証協会に要望書を持参し、零細商工業者の現場からの声を届けに行ってまいりました。
静岡県信用保証協会の保証承諾額は全国4位です。代位弁済額は2009年4月〜10月期で前年比23%増(製造業29%増、小売業75.3%増)と比較的落ち着いているといわれた静岡の地域経済の状況は深刻になっています。
12月9日は私の総括質問日です。テーマは「深刻な経済状況下の中小零細商工業支援」です。「世界的経済不況から1年」「モラトリアム法施行」「我が市の2番底対応支援策」について、静岡市景気変動対策資金貸付状況や(社)静岡中小企業研究所報(09・11)の景況指数の推移及び10年間の売上高、所得額の年次別推移、あるいは「静岡市の商業」'09年10月の卸・小売業の実態調査の客観的数字を用いて質問を行いました。
経済局長は「厳しい経済状況下、返済猶予のための借換制度の検討と、年末の資金需要期に間に合わせ実施する」と答弁をしました。
12月の商工会の申し入れ で「市景気変動対策資金利子補給 制度」を創設させていた!
実は、08年リーマンショック影響対策として、私共は中小零細商工業の資金調達支援を目的に1年前に「景気変動対策資金」を市の独自制度として創設(県下初)させていました。静岡県の制度融資を改善した内容でした。
(融資の条件)
1、資金使途
設備及び運転資金(借り換え含む)
2、融資限度額
セーフティネット認定の1号又は7号は2,500万円、
5号は3,000万円
3、融資利率 年1.7%
4、融資期限 10年
5、返済方法
元金均等 月賦返済
1年以内の据え置き可能
今回、返済猶予法の成立を受けて静岡市に実施をさせるにはタイムリ―でした。
11月議会中の12月14日「市景気変動対策資金融資制度要綱」を改正し、据え置き期間の2年延長と再申し込みに対応できるようにしました。
08年12月から09年9月までに741件、総額約80億円の融資が実行されておりました。すでに資金需要は一巡した(経済局長答弁)観はあり、ちょうど返済開始期限に間に合わすこともできました。また、2番底への対応として再度の融資利用者へのニーズにも応えられる施策となりました。
無論、不況対策、零細商工業支援策は金融対策だけでは不充分なことはいうまでもありません
今回も「売る=販路開拓、マーケティング」支援を始め具体的振興策にも迫りました。
先行き不透明な経済、社会、政治状況です。東アジア内需の恩恵はとても期待できそうもないし‥‥、商工業者と力を合わせて切り開いていきたいと思う2010年です。
(文責・編集部)