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長崎

長崎県知事はダム建設計画を撤回せよ

疑問だらけの「石木ダム建設」土地の強制収用は許さない!

広範な国民連合・長崎

石木ダム(長崎県川棚町)はほんとうに必要か?

 「石木ダム建設計画」が公表されて、すでに37年が経過しています。27年前の長崎県による機動隊を導入した強制測量により、ダム建設絶対反対同盟が結成されました。その後、県職員による多額の補償金と接待で離脱者工作を図りましたが、現在は地権者13戸となって団結の輪を固めています。

 そもそも「石木ダム」は佐世保の渇水対策が目的といわれているが、長崎県の資料よると総事業費約285億円(国は約4割負担)の65%は治水費用、35%は利水費用になっています。治水において、「石木ダム」予定地である石木川は川棚川の下流に近い支流であり、全体流域面積の9分の1しかなく治水に役たたないばかりか、放流により川棚町中心部の直上流ということからも新たな洪水の危険性もいわれています。
 また、佐世保の渇水対策としての利水において、佐世保市民が使用する水は、一日平均約8万トン(直近のデーター)なのに、佐世保市は最大値で10・7万トン必要だと過大に算出しています。将来の人口減少が予想されているにもかかわらず、一人あたりの使用量も増加するといった全く根拠のない都合のよいデーターであり、県民、市民を欺いているとしか思えません。
 さらに、一日1万トンの漏水が報告されていますが、この漏水対策(現在有効率87%)が、ほかの自治体と比べても過去10年間でみても十分でありません。佐世保市は市民には節水を呼びかけながら水道事業の減収等を理由に、約34%の水道料の値上げに踏み切る方針を出しました。長崎市、福岡市などは漏水対策に取り組み、有効率を95%までアップさせています。
 治水、利水以外にも大村湾の環境に与える悪影響は大きく漁業被害も予想されています。
 この「石木ダム建設」の是非は少し考えれば必要のないことは明らかなのですが、長崎県などは、いまだに、双方の専門家を交えた公開討論会には応じようとしないで、既定のダム建設に向けた手続きだけに終始しています。

長崎県が石木ダム反対署名を違法コピー

 長崎県が「川棚清流の会」から出された反対署名約4500人分をコピーし、佐世保市と川棚町に渡したことが分かりました。県議会議会運営委員会でも「県の個人情報保護条例(違反)の目的外使用では」などど指摘されており、さらに、共同事業者でもない川棚町の竹村町長が、署名に応じた(当然、公務外の私的署名)町職員を口頭で注意するといった圧力を加えていることも判明しました。これに対して、川棚清流の会などは、県知事、川棚町長に、コピーそのものが違法行為であり、全く言語同断の人権無視、憲法違反(表現の自由、思想、及び良心の自由などに反する)として抗議し、県知事等の謝罪を求めました。

「石木ダム建設」の是非を考える市民集会

 今年なってから、事業者である長崎県、佐世保市の「石木ダム建設」にむけての動きが加速するなか、地元川棚町や佐世保市でも「石木ダム建設」に反対する市民団体が次々と発足してきた。地権者の「石木ダム建設絶対反対同盟」だけでなく、それぞれの団体も連携しながら、長崎県、佐世保市が進める「ダム建設ありき」の進め方に、「待った」をかけようと講演会、シンポジウム、署名、要請、申し入れなど連日の運動を展開しています。
 こうしたなか、去る9月19日、広範な国民連合長崎は、このような県政にかかわる重要な闘いを支援するためには、地元のみならず県都長崎市において、市民にもこのダム建設の是非を考えてもらおうと市民集会を長崎県勤労福祉会館にて開催しました(写真)。

 当日は、長崎市民はもちろん、諫早市や地元川棚町、佐世保市からも参加があり、熱心な意見が飛び交いました。集会の共催者でもある「川棚清流の会」の森田正昭代表は「この間の闘いの報告と、多くの県民がこのダム建設問題に関心をよせるようになって、改めて石木ダムが必要のないことを実感している」と述べました。また、九州住民ネットワーク事務局長の原豊典氏は、「石木ダム」の問題点を、人権、利水、治水、環境、財政、地域経済の視点から具体的なデーターをもとに詳細に説明し、「石木ダム」が他のダムと比較しても必要性に乏しいことを訴えました。
 最後に「長崎県知事は石木ダム建設を白紙に戻すこと」を求める集会アピールを、参加者一同の拍手で確認して集会は終了しました。

集会アピール

政権交代した今、全国的に税金の無駄使いを止めようと、ダムなど大型開発事業の見直しが言われています。
 これまで全国各地でダムなど大型開発事業に、「地域のため」という名目で莫大な税金が投入されてきました。しかし、その後の実態はどうでしょうか。その地域がどのように潤ったのでしょうか。ダムをはじめとする大型開発事業の費用対効果も含め、その有効性がどのように検証されてきたのでしょうか。その結果は明らかです。自然環境を破壊し、地域の人心をも破壊し、歴史、文化伝統のある地域、村がこっそりと消えていくことに、時の権力者は何も感じないのでしょうか。そして、いま、長崎県川棚町石木に再び「ダム建設」の是非が問われています。
 長崎県が「佐世保市の新規水源開発」を主目的として川棚町に計画している石木ダム建設事業において、事業認定に向けての動きが、最近顕著になってきました。
 27年前、長崎県は地権者との話し合いを打ち切り、強制測量という強硬手段にでました。この行動にたいして、地元の川棚町民はもちろん、多くの県民からも批判がおきました。あれから27年、最近の動きからみても長崎県の姿勢は基本的になにも変わっていません。長崎県はダム建設を前提とした説明会等を進めてきたが、これでは、入り口で地権者、反対者には相容れない状況が続きます。
 佐世保市の水不足で、市民はこの27年間でも大きな混乱もなく節水をしながら渇水対策に協力してきました。しかし、佐世保市では、一日一万トンともいわれる漏水量に対して、過去10年間のデーターからみてもその対策が結果的になされてきませんでした。また、川棚川の治水面でも、森林の保全・育成、河川改修などまずやるべき施策が十分なされていません。
 金子長崎県知事は「石木ダム建設」がほんとうに必要ならば、しっかりとした根拠を情報公開して県民の前に示す必要があります。利水、治水の専門家でも、「石木ダム建設」の必要性に大きな疑問を表明しています。また、有効と考えられるダム以外の諸策が県などによって真剣に検討されてきたとは思えません。利水、治水においてもダム以外の諸策も含めて再度検討されることを望みたい。
 金子長崎県知事は、これまでの姿勢をあらためこの石木ダム建設事業を白紙に戻し見直すべきです。
 2009年9月19日    「石木ダム建設」の是非を問う市民集会 参加者一同

(文責・編集部)


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