「年越し派遣村」の報道により、「派遣切り」の事実が可視化され、十分に「問題」になった。次に「政治問題化」しなければならない。私たちの問題意識の出発点だった。
まず、私たち自身が「事実を知る必要がある」と福岡の集会に仲間の議員に行ってもらった。「地方議員に何ができるだろうか?」「何をしなければならないだろうか?」という課題が大きく胸に突き刺さった藤沢での福岡集会の報告会。そして、「いすゞ」による「派遣切り」が行われている藤沢や失職した労働者が集まる横浜のハローワーク前で「聞き取り調査」を開始した。「政治は遅い! 事が大きく報じられるようになってから動く。国会は実態に合った論議をしていない」というハローワーク前で伺った声。市民に最も身近な地方議員が、敏感に反応して行動しなければ存在価値も否定されてしまう。こうした動きと併せて、「雇用と地域経済の危機打開をめざして」の集会準備を進めた。
集会当日の2月12日は、「派遣切り」当事者や経営に苦しむ中小企業経営者の方々、そして市民、地方議員が集合した(写真)。
「通常は年間4〜500件の労働相談が、1月だけで105件もあり、お手上げ状態だ」というユニオンからの実態報告。中小企業家の方々からは「仕事が減り、週の半分が休みになる。それでも、どう労働者の生活を保障するのか?」などと深刻な悩みが打ち明けられた。
「派遣切り」当事者からは、より切実な訴えがあった。「『いすゞ』の孫請けで61歳、時給1100円の日雇い。月収約23万円、妻の月収が約8万円。高3と中2の子どもがいる。10月からは月収12〜13万円、1月には11万5千円になり、リストラされた。妻は入院して2カ月休んだ。家賃と光熱費を払うと残りは3〜4万円。食べられない状況になっている」という訴え。「やばい!生きさせろ!」の声だ。他の3人の当事者からの訴えも、「国民全体の幸福を実現するのが政治ではないか」と鋭く迫る内容であった。
また、「歩く相談所」を実践している仲間の相模原市議会議員の渡辺良一氏からは、工業団地を抱えた具体的な取り組みが報告された。
次に、「何が課題で、政府・自治体に何をさせるのか?」というテーマでの意見交換に移った。「何より、生存権の問題だ。憲法25条がないがしろにされている」という意見が強く参加者の胸を打った。「外国籍の子どもや、障害者も大変な状況で、ここへも手を打つことが重要だ」「『定額給付金』については『基金』などを創設して、この問題に対処する必要があるのではないか」という意見も共感を呼んだ。
「2009年問題と言われるが、3月末には、また多くの『派遣切り』が予想されている。今、すべきは「派遣切り」された方をどうするかはもちろん重要だが、され以前に企業に対し『派遣切り』させないことだ。企業の実態調査を行うべきで、声を集めたい。自治体や国の緊急経済対策や緊急雇用対策という政策については、全国一律の政策でしかない。実効性についてチェックすべきだ。中小企業の声も集め、銀行や信用保証協会の様子も調べ、共同アピールを発し、中央へと行動すべきだろう」というまとめを行い、この日の集会を終えた。今後、しばらく続きそうなこの問題に、真剣に地方議員として対応していきたい。