第26回福岡県地方議員交流会が1月17日、宮若市で開催された。130人あまり(3分の1が議員)の人びとが集まり活気ある集会となった。
冒頭、主催者を代表し、原田さやか・みやこ町議が、「100年に一度の危機といわれる大恐慌、派遣労働者の大量解雇、トヨタや日産がある宮若や苅田町だけでなく多くの自治体が、税収減や雇用・生活不安の影響が出ている。この緊急事態に、地方議員として何ができるのか話し合い、行動しなければならない」と挨拶をした。
各地からの現状報告は、中島健三・宮若市議が「トヨタのある宮若市からの報告」を行った。宮田町と若宮町が合併した宮若市の現状、「炭鉱の町・筑豊」の貝島炭鉱の歴史や教育文化史、国のエネルギー政策転換後、炭鉱跡地に内陸型の工業団地造成地にトヨタ自動車が進出した歴史や経緯を話された。そして、「トヨタの進出で財政は潤ったか」を問題提起された。「税収は増えたが交付税は大幅に削減され、財政運営は容易でないこと、トヨタの進出で人口の定住化が進まなかった(下水道や道路・鉄道などインフラ整備の遅れ、教育環境が整っていない、情報文化の遅れなど)、自動車関連の居住者は1割程度の1000人余りで7500人余りは宮若市外に住んでいること、さらに、トヨタの派遣社員の問題、行政改革に伴う学校統廃合の問題など分析された資料に基づいて提起された。宮若市はトヨタの財政効果で活性化するはずだったが、他の自治体同様、行政改革をすすめなければならない、子どもたちの教育予算や住民への安全にも影響している」と結んだ。
続いて、柿野義直・みやこ町議が、「日産のある町の報告」。自動車関連企業の聞き取り調査を行い、派遣社員の雇用や解雇実態を報告。「派遣を正社員にすれば政府が100万円を補助するというが、会社は派遣会社に紹介料として1人20万円支払うことになり、100人では数千万になるので社員にできない。日産に納めている部品も採算はギリギリで、派遣でなければ成り立たない」と子会社である中小企業の雇用の厳しさも指摘した。「地方議員が派遣労働者の実態を見て歩き、議会に報告することが大切だ」と述べた。
前野早月・古賀市議は、「古賀市における緊急生活相談対策会議の概要について」を報告。「昨年12月議会を契機に緊急生活相談対策会議を立ち上げ、市内企業10社のヒヤリング調査を実施した。40人の派遣契約打ち切りした企業、今年3月から4月に派遣継続をしないという企業があった。古賀市の雇用状況はきびしくなる」と述べた。
大城敏彦・筑後市議は、ハローワークでの調査を通じて、相談窓口に来る人々が以前より15%も多くなったこと、今まで家庭内にいた女性層が増え、働いて生活資金を得たいという要望があり、雇用の不安や生活苦の実態があることを報告した。また、「コマツ関連の取引先企業や自動車関連の中小企業では、派遣社員でも生産工程の大事な部門に当たるので、一人でも抜けたら成り立たない。首切りもできないと嘆いている」と報告した。
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労働者や市民からの発言では、トヨタの派遣労働者であった24歳の若者が実態を報告した。「08年5月、突然、大分または愛知、北海道に行くか、やめるかを会社は迫ってきた。祖父母と暮らしているために地元を離れるわけにも行かずやめざるを得なかった。いつか正社員になれるかもしれないと思い夜遅くまで働き、今までがんばってきた。まさか、トヨタのような大企業は派遣切りをするとは思わなかった。これから、仕事を探していきたいが現実は厳しい」と切々と語り、参加者の胸を打った。
「長崎にキャノンが進出し、派遣労働者が多くなった」「直接雇用にすべきだ。登録型を常用型にすべき」「生活の危機突破集会に地方議員も支援をしてほしい」など労働実態や非正規や派遣の雇用問題の発言、「教育や福祉に予算をつぎ込むべきだ」「法人税は国税にし、自治体は住民税だけにしたらどうか」「林野の自然を守りエネルギーを太陽光パネルにし、若者の雇用を増やしたらどうか」など政策に関する発言があった。
最後に、奴間健司・古賀市議から、これから地方議員としてとりくむ課題が提起された。「@企業等の実態調査を行うA地方議員は『動く相談所』になるB3月議会で提言、意見書を出すC労働組合や民主団体等とネットワークを組むD県知事へ『要望書』を提出する等のとりくみを参加者全員で確認し、採択された。
なお、県知事への要望書提出行動は、1月27日に行われた。
※要望書など詳細は
議員版、ぬま健司市議の報告を参照