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生活者が悲鳴を上げている今、
地方議員に何ができるか。何をすべきか。
神奈川県相模原市議会議員
渡辺 良一

 議員になってまだ2年にもならない私にも、多くの生活相談が寄せられる。議員には、有利に仕事を受注したいというような利益誘導の相談が持ちかけられるので注意しなければなどと聞かされていたが、不思議なことにそんな案件は1つもこない。私自身が長く零細企業を続けてきたことで、あてにされるのかもしれないが、本当に明日の生活に困った人や今日の資金繰りに窮した経営者の方ばかりだ。私はそれを光栄に感じているが、与党議員はこういう声を聞く機会がないのか疑問に思う。
 「年越し派遣村」という奇妙なネーミングがマスコミで知れ渡ったが、あの人たちが不幸な少数派ととらえられてしまうことを危惧する。
 世帯を持っていても預貯金が全くゼロの人がたくさんいて、その人たちは、1つ間違えば今日の食事にも事欠き、家賃を払えなければ、すぐホームレスになる。昔のように、大家さんとの人間関係がなく、不動産業者が家主に家賃保証をしているために、すぐに鍵を変えてしまうからだ。最近の福岡地裁の判例のようにこれは違法なのだが、抗(あがら)う根拠を示せない庶民はあっさりあきらめてしまい、同時に家具動産まで失ってしまう。
 数カ月前まで腕の良い親方として数十人の職人を抱えていた人が、着の身着のまま追い出されて工事の車で暮らしていて、もう2日も何も食べていないという。その車もローン支払いが滞っており、すぐに返さなければならない。まともに仕事をしていたら、少しの貯えはあるはずだと世間はいうかもしれない。そうではない。仕事のない中、何とか人件費をやりくりして使い果たしてしまったのだ。何千人もの社員を解雇しながら何兆円もの内部留保を持っている大企業とは、大事にするものが違うのだ。
 中小企業の倒産を防止するためのセーフティネット貸付分も、銀行はこの保証協会の制度を利用して、自らの貸付分を相殺して返済させる。「両方の返済合計が毎月の売上に対してムリがあるための親心」というが、政府がこの運用実態を看過すれば、銀行が生きて中小企業が死ぬことになる。
 生活が苦しくなれば、消費者金融が儲(もう)かる。返すために借りることになり、大手のサラ金数社から借りてどうにもならなくなると、不思議にヤミ金融業者から連絡が入り、高利で借りるはめになる。大手金融の情報をヤミ金融に売る者がいるからだ。この国はいつからこんなモラルのない国になってしまったのだろう。米国押し付けの経済至上主義を小泉内閣のあたりから増幅してきたことが恨(うら)まれる。
 しかし我々地方議員、ここで立ち上がって個々の案件に立ち向かうべきではないだろうか。鍵を換えて動産まで使えなくすることが不法行為だと不動産業者に乗り込んで交渉する。貸付金の相殺をするような銀行には公金を預けないよう行政に働きかける。家賃負担が大変な人には一軒家を借りて何人かでルームシェアすることを広める。悪徳金融業者とは電話録音しながら交渉する。大手金融業者に払いすぎたグレーゾーン金利を返還させる。このどれも弁護士法に抵触しないで私たちなら可能なのだ。「生活相談」は議員の、それも特に地方議員の大切な職責だからだ。
 それでもどうにもならないときは、最後の手段として、行政に生活保護を斡旋(あっせん)することも、また、我々の役目だろう。
 こういった活動について、皆がそれぞれの実践を通じて知恵を出し合うネットワークを作りたい。忙しくて本当に大変だが、やり甲斐のある仕事だし、地方議員本来の仕事だと思う。諸先輩・同僚議員からメールをいただければ幸です。

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