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米軍ヘリパッド建設に対し
非暴力で座り込む高江住民
ヘリ基地反対協代表委員
安次富 浩

 沖縄本島の北部には国頭村と東村にまたがった北部訓練場(現ジャングル戦闘訓練センター)がある。この一帯はやんぼるの森と称し、絶滅危惧種のヤンバルクイナやノグチゲラなど生物多様性を誇る貴重な動植物の宝庫であり、IUCN(国際自然保護連合)が森の保護を勧告している。この北部訓練場の南側の近くに人口約160名の高江区があり、住民は豊かな自然と共に生活しているが、普天間基地から飛び立つ数機編隊のヘリの昼夜を問わぬタッチ・アンド・ゴーなどの訓練による騒音被害さえなければ……。
 1996年、米両政府はSACO(日米特別行動委員会)合意で、北部訓練場の使われていない北側返還と引き換えに、そこにあったヘリパッドを南側に移設することを決定した。騒音被害に苦しむ高江区民は2度にわたって建設反対の区民総会決議を行った。日本政府は2006年、高江集落を取り囲むように6カ所のヘリパッド建設を発案した。
 高江住民を中心に「ヘリパッドいらない住民の会」を結成。07年7月2日、北部訓練場の進入路前で座り込みを開始し、沖縄防衛局による建設資材の搬入阻止―非暴力の抵抗運動に立ち上がった。ヘリパッド建設が進まないことに業を煮やした沖縄防衛局は昨年12月、不当にも現場で座り込みを続ける高江住民に対して、通行妨害の禁止とテント小屋の撤去を求める仮処分申請を那覇地裁に行った。住民の会は、通行妨害の対象とした住民の中には8歳の子供(のちに取り下げ)や県外に転居した人、パインを差し入れただけの人など防衛省のずさんな人物特定による弾圧を暴露した。
 1月27日、那覇地裁で第1回の審尋(非公開)が行われた。この日の審尋には300名近くの支援者が那覇地裁前に結集し、座り込みを続ける高江住民を激励し、国の不当な訴えを糾弾した。また、仮処分申請却下を求める署名が、1カ月間で2万5千通を超えたことが支援団体「なはブロッコリー」から報告された。
 これに先立つ20日夕、県庁前で県民集会(住民の会、ヘリ基地反対協、平和センター、統一連、平和市民連の5団体共催)が開催され、「県内32名の弁護士によって弁護団が結成された。仮処分は本来、個人対個人の権利関係を調整する民事上の手続き。国がこれを悪用し、裁判所の手を借りて住民弾圧することを許さない」との弁護団事務局長の決意が報告された。
 非公開の審尋は住民の会側が主導権を握り、妨害行為とする人物特定のずさんさ及び「いつ、どこで、誰がどのような妨害行為をしたのかが不明確」と追及し、裁判長も「住民の現場監視活動も含めて妨害行為と考えてよいのか」と防衛局に妨害行為の内容を明らかにするよう求める場面もあったとの報告。弁護団は「新たな米軍基地建設は高江住民のみならず、県民、国民の重大な関心事」として、公開口頭弁論で審理するよう那覇地裁に要求するとの決意を示した。次回以降の審理期日は3月23日と5月1日である。
 沖縄防衛局による通行妨害の禁止などの仮処分申請は、辺野古新基地建設反対闘争にも連動するものである。私たちは憲法で保障されている「平和的生存権」を求めて闘っている。不条理な国策を押し付け、抵抗する住民を法の名のもとで弾圧する政府の横暴、沖縄差別を絶対に許さない。不条理な国策に対して非暴力で粘り強く闘い、勝利することにより日本の民主主義が発展する。沈黙は敗北につながる。

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