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自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版5号
 
大型店進出と工場閉鎖−商店街は大打撃
        京急久里浜駅前商店街振興組合理事長  森下守久

  私たちが暮らしている横須賀市久里浜に、大型店の出店問題がもちあがっています。株式会社むらせが久里浜の住宅地に「むらせ久里浜ショッピングセンター」を建設し、そこにディスカウントショップのダイクマ、スーパーのヨコサン、酒の安売り店スパークが入り、店舗面積7200uのディスカウントショップを出店するという計画です。2000年10月1日を目途に出店すると言っています。
 久里浜駅周辺の商業地域、文教地域、そして住居地域と、この久里浜は自然発生的に出来たものとしては非常にバランスの取れたいい街です。横須賀市の市街地総合整備事業策定報告でも、そのように評価されています。そこにダイクマ、ヨコサン、スパークの併設で7200uという大型店が進出すれば、私たちの商店街が大きな打撃を受けるだけでなく、交通渋滞でこの街はめちゃくちゃになります。
 しかし、行政の方は建築確認の用紙がそろっておれば、許可しないわけにはいかないという態度です。大店法の三条申請(建築確認)、五条申請(小売業確認)をやり、そして意見集約会議が終われば、それで決定が出てしまいます。住民や私たちが「反対です」と言わなかったら、意見無しということで大店審は結審します。来年六月から大規模店舗立地法が施行され、大型店は出店に際して交通渋滞問題などでの対処が厳しくなります。それを見越して、立地法で規制される前に駆け込みでやろうとしているわけです。大型店のこうした駆け込み出店に対して、通産省、県、市あたりの行政指導があってしかるべきではないかと思います。
 出店予定地に接続する道路には工業高校が隣接し、近くに商業高校と小学校が2校あり、福祉施設もあります。学童の通学路であり、地域住民の生活道路です。私たちは地域の皆さんに協力を呼びかけ、車を200〜300台くらい集めて独自にシュミレーションをやってみました。予想どおり大変な渋滞となり、狭い道で車が動けなくなりました。地域の住民、町内会も反対運動に立ち上がりました。力をあわせ、通産省、県、市に対する「むらせ久里浜ショッピングビル計画に反対する陳情」の署名運動を行ないました。
 来年にはトヨタに吸収された関東自動車が工場を閉鎖し、岩手や静岡に移動します。最近、日産久里浜工場の閉鎖計画も発表されました。関東自動車や日産の下請け工場が横須賀の工業団地にたくさんありますが、そこの仕事もなくなり、従業員も相当移動してしまいます。
 自動車工場の閉鎖で、商店街は大きな影響を受けます。その上に大型店が出店すれば、商売が成り立たず、後継者がいなくなり、商店街はつぶれてしまいます。商店街は今までずっと、地域の祭りや消防団活動にも積極的に協力してきましたが、商店街がつぶれてしまえば、こうした地域活動の担い手もいなくなります。このままではバランスよく発展してきた久里浜の街が崩壊してしまう、そういう危機感を強く持っています。
 これから五年先、十年先を考えると、高齢化社会がますます進みます。そうした中で、身近な生鮮産品の商店がつぶれてしまえばどうなるでしょうか。さらに、進出した大型店は、将来的に採算が合わなくなると見れば、地域がどうなろうと無責任に撤退するのが通例です。車が運転できる若い人たちは、少し離れたショッピングセンターでも買い物に行けますが、年寄りはどこへ買い物に行けばよいのでしょうか。本来ならば、高齢化社会に備えて身近なところで買い物ができる商店街を作っていかなければいけないのに、それを敢えて壊していくような方策をやっているのは、大変大きな問題です。商店街だけの問題でなく、社会問題だと思います。
 国、県、市の行政も、市議会も、ぜひ考えて頂きたいと思います。