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『日本の進路』地方議員版3号

 

来年4月実施、介護保険の問題点



 介護保健法が施行される2000年4月1日まであと11ヶ月。今年2月末から三月中旬にかけて新聞社や関連団体などでは全国3255市区町村長と介護保険担当者対象にアンケート調査が行われた。どの調査結果も介護保険の実施に際して大きな問題があることを指摘している。


1.自治体によって格差が激しい保険料、最低と最高では6倍近い格差

 下の地図(略)及び表は朝日新聞社の調査結果。2534市区町村の回答の各県平均。「1号保険料」とは65才以上の高齢者が支払う保険料。各自治体は来年2月までにその額を決定しなければならないが、アンケート時点での推計額である。
 「自治体によるばらつきも大きく、最低は1250円で、最高は7327円(複数の試算をしている自治体については、中間値)。単純に計算すると約5.8倍の格差になる。2000円未満の自治体が46あった一方、5000円以上との回答も31を数えた。保険料は、市区町村が介護サービスを行う事業者に支払う費用の総額をもとに算出される。現状では計算の基礎となるサービスの単価が決まっていないため、正式な保険料はアンケートの回答の見込み額から変わる可能性がある」(3/28朝日新聞記事より)

65歳以上の介護保険料(都道府県別の平均)

順位 都道府県 保険料
1 北海道 3994
2 高知県 3982
3 鹿児島県 3881
4 大阪府 3509
5 大分県 3504
6 福岡県 3471
7 石川県 3458
8 熊本県 3431
9 沖縄県 3303
10 宮崎県 3288
11 青森県 3269
12 徳島県 3261
13 佐賀県 3232
14 東京都 3224
15 島根県 3219
16 山口県 3200
順位 都道府県 保険料
17 長崎県 3127
18 秋田県 3120
19 福井県 3088
20 和歌山県 2992
21 愛媛県 2986
22 富山県 2964
23 静岡県 2962
24 神奈川県 2945
25 岡山県 2938
26 長野県 2930
27 岩手県 2924
28 兵庫県 2900
29 広島県 2893
30 滋賀県 2830
31 三重県 2809
32 山梨県 2767
順位 都道府県 保険料
33 山形県 2752
34 京都府 2749
35 新潟県 2726
36 埼玉県 2710
37 香川県 2709
38 奈良県 2653
39 福島県 2613
40 群馬県 2600
41 宮城県 2568
42 鳥取県 2514
43 愛知県 2502
44 岐阜県 2477
45 千葉県 2462
46 栃木県 2391
47 茨城県 2319
       


2.介護保険実施に際しての課題

 介護保険実施に際して、各自治体では低所得者対策を第一の課題として取り上げている。個人負担が増えると未納者が増え、ますます地方財政を圧迫するのではという不安が表明されている (表は朝日新聞社のアンケート調査結果より)。

項目
低所得者対策 68.2
制度に対する住民の 理解、納得 66.3
サービス基盤の確保 66.2
保険料の徴収 65.8
訪問調査員、認定審査委員ケアマネジヤーの確保 50.3
要介護認定の公平性 50.2
施設退所書への対応 42.9
事務費や人件費 28.3
サービスを利用しない 被保険者への還元策 24.3
その他・無回答 5.8

3.認定区分と給付サービス費用の目安月額換算
 区分    代表的な症例  費用
要支援 日常生活はできるが歩行不安定  6万円
要介護1 1非便・入浴に一部手助けが必要 17万円
要介護2 歩行・立ち上がりができない 20万円
要介護3 排便や入浴に全面的な手助けが必要 26万円
要介護4 日常生活に全面介護が必要 31万円
要介護5 生活全般に全面介護が必要 35万円

4.介護保険スタートに不安

 来年四月介護保険スタートについては自治体では体制が整わず延期を望む声も多い。「凍結」まで含めると約4割の自治体が延期ないし凍結を望むことになる(表は日本経済新聞社のアンケート調査結果より)。

項目
予定通りに実施 すべきだ 55.2
延期すべきだ 4.9
延期を検討すべきだ 34.8
凍結すべきだ 0.7
無回答 4.4