国民連合とは月刊「日本の進路」地方議員版討論の広場 集会案内 出版物案内トップ


自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版3号

 

減る一方の議員定数、問題はないのか



 現在、地方議会では「行財政改革」の一つとして、議員定数を削減しようとする動きが流行している。
 例えば大阪府交野市は人口7万5千人の都市である。地方自治法で認められている定数は36であるが、昭和30年に星田村と合併し市制をひいた時に、条例で定数を20に削減した。削減率は44.4%と全国平均の約2倍である。最近、さらに2名削減して18名にしようという動きが強まっている。そうなれば、削減率は50%となる。果たして問題はないのだろうか。
 議員を減らせば、地方政治がよくなるのだろうか? 少数の地域ボスや地域の金持ちが地方政治を牛耳ることにならないだろうか? 
 なかには、行革の名のもとに議員定数を減らして、議員報酬を増額しているところもある。総額を増やさずに、議員1人あたりの報酬を増やそうというわけである。1人あたりの議員報酬を減らして、議員定数を増やした方が、地方政治を住民にもっと身近なものになるのではないだろうか? 
 特に、定数削減が最近流行しているのは、自治体労働者のリストラ・人員、住民サービスの削減をやりやすくしようというねらいがあることを忘れてはなるまい。


市議会議員定数(合計)は年々減少

市議会数 法定数計 現行定数計 減員数計 減員率
1996年12月 668 24374 19276 5098 20.9%
1997年12月 670 24442 19273 5169 21.1%
1998年10月 670 24472 18823 5649 23.1%


地方議会の議員定数削減の状況(1998.10.1)

  区分    自治体数    議員定数  
全国総数 減少条例制定数 比率 法定数 条例定数 減員数 減員比率
市町村計 3232 3153 97.6% 81580 59673 21907 26.9%
 うち町村 2562 2493 97.3% 57108 40850 16258 28.5%
 うち市 670 660 98.5% 24472 18823 5649 23.1%
特別区 23 20 87.0% 1078 977 101 9.4%
都道府県 47 37 78.7% 3101 2912 189 6.1%
合計 3302 3210 97.2% 85759 63562 22197 25.9%


人口規模別の市長・三役と議員の月額報酬(1997.12.31 単位千円)

人口段階 市数 報酬改定市 議長 副議長 議員 市長 助役 収入役
5万未満 220 79 424.9 368.4 343.2 876.2 703.9 632.9
5〜10万 225 55 493.0 435.9 406.4 924.2 762.0 688.8
10〜20万 121 30 577.3 518.6 483.6 994.2 820.8 732.3
20〜30万 39 11 662.7 600.7 559.8 1075.1 883.3 770.9
30〜40万 24 10 699.2 633.9 593.5 1097.5 913.9 802.2
40〜50万 20 3 774.0 703.3 648.4 1130.6 924.6 802.2
50万以上 9 4 814.4 745.8 684.3 1371.2 948.0 826.9
政令都市 12 2 1112.5 999.2 910.8 1356.5 1083.6 914.8
全国 670 194 526.9 467.6 435.2 953.3 779.1 696.4

(注) 報酬改定市は、1997年中に三役・議員報酬を引き上げた市


首長・三役と議員の定数と月額報酬(1997.4.1 単位人・円)

   都道府県  指定都市  市  町村  特別区
区分 定数 報酬 定数 報酬 定数 報酬 定数 報酬 定数 報酬
首長  47 1304361 12 1350667 657 541916 2563 767887 23 1138743
副首長・助役 77 1041883 33 1079458 860 771245 2634 617535 37 918383
出納長・収入役 47 900234 12 907417 657 690460 2481 577957 23 787261
議会議長 47 1026166 12 1107500 657 515256 2563 291481 23 920891
議会副議長 47 916311 12 995000 657 457040 2563 235001 33 787478
議会議員 2843 842874 825 906667 17151 425730 36670 214141 970 608617




地方自治法(定数条項抜粋)

第6章 議会

第90条【都道府県議会の議員の定数】
  1. 都道府県の議会の議員の定数は、人口70万未満の都道府県にあつては40人とし、人口70万以上百万未満の都道府県にあつては人口5万、人口百万以上の都道府県にあつては人口7万を加えるごとに各々議員一人を増し、120人を以て定限とする。
     
  2. 前項の議員の定数は、都にあつては、特別区の存する区域の人口を百万人で除して得た数を限度として条例でこれを増加することができる。ただし、130人をもつて定限とする。
     
  3. 前2項の議員の定数は、条例で特にこれを減少することができる。
     
  4. 前3項の規定による議員の定数の変更は、一般選挙の場合でなければ、これを行うことができない。
第91条【市町村議会の議員の定数】
  1. 市町村の議会の議員の定数は、左の通りとし、人口30万以上50万未満の市にあっては人口10万、人口50万以上の市にあっては人口20万を加えるごとに各々議員四人を増し、百人を以て定限とする。
     1 人口2千未満の町村 12人
     2 人口2千以上五千未満の町村 16人
     3 人口5千以上1万未満の町村 22人
     4 人口1万以上2万未満の町村 26人
     5 人口5万未満の市及び人口2万以上の町村 30人
     6 人口5以上15万未満の市 36人
     7 人口15万以上20万未満の市 40人
     8 人口20万以上30万未満の市 44人
     9 人口30万以上の市 48人
     
  2. 前項の議貝の定数は、条例で特にこれを減少することができる。
     
  3. 前二項の規定による議員の定数の変更は、一般選挙の場合でなければ、これを行うことができない。
     
  4. 第七条第一項又は第三項の規定による処分により、著しく人口の増減があつた市町村においては、前項の規定にかかわらず、議員の任期中においても、条例で、議員の定数を増減することができる。但し、新人口に基く第一項の議員の定数を超えて増加することはできない。
     
  5. 前項の規定により議員の任期中にその定数を減少した場合において当該市町村の議会の議員の職に在る者の数がその減少した定数を超えているときは、当該議員の任期中は、その数を以て定数とする。但し、議員に欠員を生じたときは、これに応じて、その定数は、当該定数に至るまで減少するものとする。