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自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版21号(2003年11月発行)

私のまちの合併問題

「昭和の大合併」が残した課題!

福島市議会議員 高柳勇


 福島市は、1907年(明治40年)に、全国で59番目の市制を施行、人口3万人余で誕生しました。その後、昭和の大合併により、1947年(昭和22年)〜1968年(昭和43年)までの間に、16村・5町との合併を実施し、現在は人口29万人・総面積745平方キロメートルとなりました。
 合併した一つの町に、「東北の奥座敷」といわれた「飯坂町・飯坂温泉」があります。当時は旅館が146軒もあり、観光客も年間150万人とにぎわっており、町の財政も潤っておりました。そこで福島市と旧飯坂町が合併する際、旧飯坂町が所有していた「温泉」と「山林」を福島市に引き継がずに「飯坂町財産区」として飯坂方部で管理することになりました。
 飯坂町の町民は、公衆浴場(9箇所)も5円で入浴できるなどの恩恵を受けておりました。しかしながら、バブル崩壊後、長引く不況と観光ニーズの変化などにより、観光客は年間100万人に減り、旅館も現在65軒となり「飯坂町財産区の温泉供給事業」は、単年度収支で平成11年度より毎年赤字となっております。また、公衆浴場事業においても、年間60万人が利用していたものが、40万人と減り、コストを計算すると、100円の収入を得るために必要な費用が321円もかかるなど、100円以上かかる公衆浴場が7カ所もあり、平成9年度より、単年度収支が赤字となっております。
 今日まで、繰越金を取りくずし、何とか運営してきましたが、「揚湯管」「コンプレッサー」「分湯槽」等の、温泉施設の老朽化が激しく、改修費用だけでも約4億円が見込まれる状況です。
 「飯坂町財産区」は、福島市とは別の「特別地方公共団体」であり、「独立採算」が原則で「税金」等を繰り入れることはできません。
 現在「飯坂町財産区懇談会」等で対策を検討しております。飯坂温泉の死活問題となる、「温泉供給事業」と「飯坂温泉の経済効果」は福島市の平成14年の試算では、宿泊客の使うお金のうち市内消費が約74億円と市内滞留費約67億円の計140億円となっています。いま、福島市も対応を苦慮しております。「昭和の大合併」が残した課題の一つです。