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自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版19号(2003年5月発行)
4月18日、沖縄県内の14町村(伊平屋村、伊是名村、伊江村、久米島町、渡嘉敷村、座間味村、粟国村、渡名喜村、南大東村、北大東村、伊良部町、多良間村、竹富町、与那国町)から首長、住民500名が結集して「一島一町村の自治を守る総決起大会」が開催された。この14町村は離島で全島が単一の町村という点で共通している。14町村の県離島振興協議会会長の島袋清徳さん(伊江村長)に離島からの訴えを聞いた。(インタビュー 文責編集部)
離島の存在意義と役場の役割
私は市町村合併問題に全面的に反対しているものではありません。
地方分権化、国の財政危機を克服するには、市町村の抜本的な改革と自らの努力は不可欠であると認識しています。
ただ海域を隔てた一島一町村の離島にとってこの合併が、将来の島づくりにどう影響するかを考えるとき、あらゆる角度から見ても特色ある島づくりが困難になるばかりか、過疎化に拍車がかかり、島の衰退が憂慮されます。従って、全国画一的な合併には反対であり、また権限の制限縮小等は好ましくないと考えています。離島地域の発展は島内(目や声が届くところ)に行政があって地域の何事にも精通したリーダーと議会組織があって、はじめて叶えられると思います。
これが本来の自治であると思います。・・・今こそ離島の持つ役割を理解し、離島を発展させていくことが国の均衡ある発展を図る面でも重要だと思います。
しからば反対だけ唱えておればよいのかというとこれは、三つ子の駄々をこねるのと同じであり、許されません。それだけの覚悟を持って、これまでの固定観念を捨て、不退転の決意で、自らの抜本的行革を実施し生き延びる道を開拓していかないとならないことは不可欠であると考えています。
伊江村の村花は百合です。大きなユリ公国を建設し毎年、「ゆり祭り」を実施しています。10日間で約4万人が訪れます。球根は輸出したり、「ゆりの伊江島」と特色ある村づくりをやっています。この「ゆり祭り」は村役場をあげての取組で、一週間前からほとんどの役場職員が関わり(土・日はボランティア)、当日の準備から片付けまでやります。また、伊江村の芸能が国の重要文化財に指定されています。伊江村にしかない特徴のあるものがあります。どうして保存出来ているかというと、毎年8つの行政区を順番に、毎年産業祭りにアトラクションも兼ねて芸能発表大会を持ちます。その集落は300万円くらい費用がかかります。そのうち半分は村で、あとの半分は各行政区で持っています。伊江村は各集落が独自の芸能を持ち、それぞれ特徴があります。合併したら芸能は伊江島だけではないと特別扱いはできないといってカットになると思います。役場の職員は自分の出身区に帰って、区の行事を手伝ったり、また夜や土・日等に事務を手伝ったり地域と一体になって活動しています。役場は行政業務だけではなく、雇用の場でもあり、地域づくりの核となって動く機能を持っています。これが離島町村の役場であります。
後世に汚点残さないよう、住民の総意で
いま我々がこの課題に立ち上がっていかなければ、20年30年後の後世に大きな汚点を残します。
伊江村は名護市と周辺一町四村の合併が県の計画として出されています。合併すれば、伊江島から名護市役所に行かなければいけない問題も多く出るでしょう。今なら10分〜20分ですむものが、名護市まで行くとなると朝7時半に自宅を出て、帰るのは6時になります。その時間と経費は大変なものです。合併は何一つとってもデメリットにしかなりません。議会と協議し、生き残る為のかつてない大きな村の行革と行政へのあまえの是正が必要であると村民に訴えてまいりました。地理的条件や文化・風習が違う市町村が広域合併で行政を一つにし、統一化してもそこに住む住民に一体感と融和協調がなければ地域の発展も住民の幸せもないと考えています。合併の主役は住民であり、その合意形成が不可欠で自主合併の原則であり、私は合併問題を住民により理解していただくために8つの行政区(集落)を夜8時〜10時まで2時間ずつ毎夜8日間廻り、メリット・デメリット等の説明会を実施し、村民の意見・考え方等を聴いてまいりました。
次は6月議会に住民投票条例を提案し、7月に住民投票に付し、その結果に委ねたいと考えています。
地域の将来がどう発展していくか合併はその手段であって目的ではないと思います。そのあらゆる手段を検討し努力していくことが今、求められていて行政課題であると考えます。
沖縄の一島一町村(14町村)は去る4月18日に「自治を守る総決起大会」を開催し、次のことを決議しました。
我々は、市町村合併に全面的に反対するものではない。これからの地方分権時代の地域づくり、また深刻化する財政危機を克服するには、市町村の根本的な改革は必要であることは十分認識している。一島一町村の離島町村にとって、海域を越える市町村合併が今後の地域(島)づくりへの影響度を考えるときに将来の島の衰退を憂慮しているところである。
離島と本島との間には、今なお多くの格差があり少子高齢化の進行により離島地域をとりまく社会的、経済的環境は依然として厳しい状況にある。しかし、近年は、島々の持つ特性を生かし、総合的な癒し空間としての場の提供等、その独自の地域個性が高く評価され、離島の果たす役割はますます重要になってきている。
国は、地域の特色を引き出すための地方分権という大義名分を掲げ、全国画一的な合併推進策で半ば強制的に合併を進めているが、これは、逆に地域の個性を無くするようなものであり到底容認できるものではない。
よって、下記事項について国・県に強く要請する。
記
一、海域を越える合併は、離島の特性を十分勘案し、離島住民の意思を尊重するとともに、合併の 強制や権限の制限・縮小を絶対に行わず、一島一町村については、これまで同様の自治を認め、 その振興を図ること。
一、財政基盤の脆弱な離島町村にとって、地方交付税は,一定水準の行政サービスを確保するうえ で必要不可欠であり、必要な地方交付税を確保すること。
以上決議する。
平成15年4月18日
一島一町村の自治を守る総決起大会