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自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版17号(2002年11月発行)
相次ぐ米軍事件・事故
今年に入ってアメリカがイラク攻撃の準備を進めるなか、米軍の事件・事故が相次ぎ、県議会はその都度抗議要請をしてきました。最近では、重機関銃の被弾事件(7月末名護)、演習のヘリコプターが3日間に渡って漁業妨害(7月末久米島)、F15戦闘機が沖縄の沖で墜落(9月)、同型機が故障チェックを口実に嘉手納基地で再三に渡って、緊急着陸(9月)、演習場から照明弾の破片が公園へ飛来する事件(9月)等が起きました。また10月15日、在沖米陸軍が恩納村のキャンプ・ハンセン内に計画している都市型戦闘訓練施設の建設撤回決議を全会一致で可決しました。
稲嶺県政の4年間
進展しない「15年問題」
普天間基地の移設問題で現職の稲嶺知事は15年の使用期限をつけ県内移設を推進すると言っています。しかし、アメリカの政府関係者はあらかじめ期限をつけるのはできないと一貫して否定をしています。日本政府も消極的で使用期限をアメリカに交渉している気配はありません。沖縄を訪問した片山総務相、田中外務大臣(当時)、麻生政調会長、福田官房長官も皆この問題に消極的な発言をしています。県議会で自民党議員が県の基地担当の知事公室長に「閣僚で一人でも肯定的な発言をしたのがいるか」と聞いたら、「一人もいません」と答弁せざるを得ませんでした。いわゆる「15年使用期限問題」は全く進展していません。
吉元政矩さんは「『15年』は事実上28年問題だ」といいます。環境アセスメントに3年、そして埋め立てに10年、それから15年、事実上28年間です。それでいいのかと指摘しているわけです。
一層深刻になった不況・失業問題
稲嶺県政下でかなりの大型倒産が出ました。有村産業、宝観光開発、パレスオンザヒル沖縄、ヨナシロ、沖縄リースなど、負債額が数十億円という倒産があり、負債10億円以上で16件以上です。その他に民事再生法が適用された図書関係で沖縄最大手の文教図書、それにダイエーの閉鎖等があります。オーシャンビューホテルという一流のホテルは稼働率80%と高く営業状態もいいのに営業停止しました。昨年の9・11テロで沖縄の観光業がものすごい打撃を受けました。高校の修学旅行などキャンセルが相次ぎ、採算がとれない低価格競争、いわゆる買い叩きをされて、観光客数がもとに戻っても利益がほとんどないという非常に深刻な事態が起きています。
完全失業率も非常に高くなっています。完全失業率は、大田県政の2期目が5.8%、6.5%、6.0%、7.7%。それに対して稲嶺県政になって、過去3年間は8.3%、7.9%、8.4%、今年に入って2月から7月まで6ヵ月連続8%台です。8月は9%、9月は9.4%、明らかに大田県政の時代に比べて失業率が悪化しています。
また、職探しをしない人は非労働力人口とされます。失業の実体を知るにはやはりこの比較が必要で、大田県政の最後の年が42万人、昨年稲嶺県政下では44万3千人で、3年間で2万3千人増えています。いかに沖縄の不況・失業が4年前よりも深刻になっているかを裏付けています。
問われる平和問題への姿勢
新平和祈念資料館の問題があります。大田県政時代に新平和祈念資料館を建設しました。その展示物・内容もほぼ決まっていました。ところが稲嶺知事はじめ三役がそこに介入して、展示内容を改ざんしようとしました。旧日本軍を悪くいうのは良くないと、沖縄戦の実体を覆い隠し戦争の悲惨さ、醜さを正しく伝えることをさせまいとしました。これには沖縄タイムス、琉球新報、テレビ等マスコミが立ち上がって良識を示して、最終的には撤回し納まりました。そこには稲嶺県政の平和に対する姿勢がはっきり現れています。稲嶺知事の平和に対する考えには疑問を持たざるを得ません。
アフガンの厳しい情勢の中で、一生懸命医療・福祉活動をしておられるペシャワール会が第1回沖縄平和賞に選ばれました。ペシャワール会の中村医師は沖縄タイムスのインタビューで、アメリカのアフガン攻撃を「空爆で犠牲になったのは罪のない民だ」と批判し、「日米の軍事協力のしわ寄せが沖縄を苦しめている。目先の景気対策に惑わされ、殺りくに加担してはならない」と発言をしております。この発言内容を実践できるのは、政府の振興策に乗っかり米軍基地の存続を認める稲嶺知事でなく吉元さんです。
吉元さんの政策
普天間基地の県外移設/2010年に海兵隊基地をなくす新・基地返還アクションプログラム/「国際都市形成構想」の再構築/県独自の緊急雇用対策他
米軍基地の75%が集中している沖縄県に普天間基地の県内移設は許されません。安全保障のために米軍基地が必要だということであれば沖縄以外で引き取って下さい。そうつきつけていくことによって、日本国民自らの問題となるでしょう。例えば山口県・岩国海兵隊基地への移設もその選択肢の一つに上げました。そうなって初めて、本当の意味での沖縄と他府県の連帯、大衆次元での連帯になると思います。日本国民が自分のものとして考えられるかどうかだと思っています。
吉元さんは、「国外に持ち帰るのがあるべき姿だ。しかし、日本政府は米国に要求しない。日本国民が安全保障のために必要だというのなら、どうするのか」と述べています。
沖縄県下の全自治体議会で地位協定見直しが決議されました。地位協定はあまりにもアメリカの都合の良いようになっており、運用改善でいいという日本政府の態度は許されません。
吉元さんは2010年に沖縄から米海兵隊基地をなくす「新・基地返還アクションプログラム」を提唱。普天間飛行場代替施設の名護移設計画を撤回し、県外・国外に移設する。基地を整理縮小し、副知事時代の「国際都市形成構想」を再構築してアジア・太平洋諸国・地域に開かれた沖縄をめざします。失業問題についてはリストラにつながらないワークシェアリング、県独自の緊急雇用対策を取り組んでいきます。
吉元さんは自立型産業を立ち上げ、観光産業、県産品の製造加工、IT産業などを育てて行きたいと主張しています。沖縄産黒糖が東南アジアでも取引が始まるなど明るい展望があります。
広範な皆さんのご支援を
今回の知事選は大田県政で副知事であった吉元さんの他に現職・自公推薦の稲嶺氏、それから共産党の新垣氏、それに独自の取り組みをしている又吉氏と4氏が出馬を予定しています。しかし、事実上は吉元、稲嶺の一騎打ちです。
私たちは野党全部で結集しようということで話し合いを進めてきたのですが、共産党が勝手に離脱しました。9月県議会の代表質問で自民党議員が共産党の出馬は大変いいとほめました。共産党の出馬は稲嶺さんを助ける役目を果しています。このことには多くの県民から批判がでております。
社民党、社大党、自由連合が3党で吉元支持政党連絡会を作り連携を強めています。私たち護憲ネット県議団もそれぞれの地域の取り組みを進めているところです。勝利に向けて活動が始まっています。無党派層の多くの人が吉元さんに期待して勝手連的な動きが出てきています。皆さんのご支援をお願いします。(文責 編集部)