国民連合とは月刊「日本の進路」地方議員版討論の広場 集会案内 出版物案内トップ


自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版15号(2002年5月発行)

【わたしのまちの合併問題】

不純な「合併推進」の動機にメスを

福岡県宮田町議会議員 わたなべひろやす

関連記事:住民の意思を抜きにした合併はあり得ない
自治労宮田町職労委員長 和田 修


学習会・町民の関心は高く、マスコミも注目
 宮田町では隣りの若宮町との合併問題が具体的な問題として突きつけられている。わたしたちは、「なんのための市町村合併なのかを明らかにしよう」「はじめに合併ありきではなく、自分たちのまちを創るために、どうすればいいか、わたしはこう考える」といった議論をしていこうと町民に呼びかけた。そうして議員有志で「町民が主役のまちづくりを求める会」をつくり、2月3日に学習会を企画した。参加者は100人にもなり、学習会では「説明会を3回聞いたが全くわからん。情報が一方的だ」「町をどうするのかそのほうをしっかり話し合う必要がある」など熱心な意見が出され、この問題に対する町民の関心がいかに高いかが分かった。この学習会の様子は新聞記事となり、テレビニュースとしても取り上げられた。

町が行ったアンケートの結果と問題点
 町が実施した合併に関するアンケートは対象が5千人(有権者1万7千人)、そのうち2573人の回答があった(回収率52%)。
 合併の賛否では、
 賛成が     45%
 反対は     25%
 どちらでもない 29%
 賛成が過半数に達せず、どちらでもないが反対を上まわっている。
 賛成の理由は「財政に余裕ができ、基盤整備や独自の施策が可能になる」(38%)。「効率のよい行政運営」ができる(31%)。
 反対の理由は「住民の意見が反映されにくい」(33%)、「中心部だけが発展する」(22%)、「役場が遠くなる」(19%)。
 どちらでもない人は「情報がない」(42%)、「生活に影響なし」(34%)としている。町は「判断材料がなく判断できない状況にあったのではないかと考えられる」とまとめているが大きな問題である。また、「自由意見」として「30%の人から回答が寄せられた」というが、町はまだその内容を公表していない。
 説明会の時間が19時から21時まででは参加者が少なくなるのは当然であった。(参加者の総計は478人)。
 わたしは町が行った説明会へは6カ所全ての会場に参加したが、どの会場でも活発な意見が出た。
 
合併特例債は後年の負担
 行政は事あるごとに「1市4町では543億円、若宮町との合併では104億円の財政支援が得られる」とか、「合併すれば議員等の経費も削減できる」と言っている。しかし、合併特例債は借金をさらに上積みさせることを忘れてはならない。それは、次の世代にそのツケを回すことになる。一方、市民を蚊帳の外におき、合併をめぐってドロドロしたうごめきがある。青年会議所を先頭に合併大合唱。熱心に動く建設業者とそれにつながる一部の議員や首長。そこには、町の将来はそっちのけの選挙絡みの利権が垣間見える。この不純な動機で仕組まれた合併の強制にメスを入れる必要がある。どんな町にしていくのかを町民とともに徹底的に追求していきたい。
 合併問題について議会や市民団体、一部自治体の動きはある。しかし、市町村職員の意思や行動が見えない。わが町職労の執行部見解(次頁参照)などが燎原の火となれば幸いである。

住民の意思を抜きにした合併はあり得ない
自治労宮田町職労委員長 和田 修

 宮田町では、昨年12月27日に宮田・若宮2町合併を協議する法定協議会設置請求を若宮町から受けました。法の規定により渡辺豊利・宮田町長は3月27日までに「議会に対して付議すべきか否か」の結論を若宮町に回答しなければならない事態となりました。それを受けて、議員研修及び住民説明会とアンケート調査へと、いわば宮田町行政や宮田町民の意思とは無関係に進まざるを得ませんでした。
 鞍手郡4町のうち、自治労加盟は宮田町と若宮町で労組間で情報交換をやっていますが、自治体の主人公である住民の意思を抜きにした合併はあり得ないと思います。必要な情報を住民に提供した上で住民に判断を仰ぐというのが基本だと思います。
 宮田町の場合は住民説明会を町内5校区ごとにやりましたが、若宮町はやっていません。
 若宮町職労は今、行政がやらなかった住民アンケートをやっています。(文責 編集部)

市町村合併について(自治労・宮田町職労の見解)

 宮田町職労執行部の見解として以下のことを表明する。
 まず、結論として宮田・若宮2町の合併を議論する法定協議会設立は時期尚早であると考える。
 理由の一点目は、有権者の50分の1の署名で出された請求が若宮町で民意を交じえ十分議論された結果とは判断できない点である。参考までに宗像市・玄海町の例を取れば、平成7年度にそれぞれ議会内に調査等特別委員会が設置され、平成10年度の合併協議会設置と、住民・議会・行政と相当の協議時間を費やして進められている。しかるに、今回の若宮町発議の直接的契機は「合併特例法の平成16年3月までに合併した場合の人口規模下限特例3万人の適用」に照準をあわせたものであるとしか考えられない。若宮町内では昨年10月に議員・職員及び各団体代表に対する説明会が一度開催されたのみで、合併に関する住民に十分伝わっているとは判断しがたい。果たして3万人の「市」がどのようなものなのかも理解しがたい。
 二点目は、宮田町では今後の町づくりを真剣に論議しながら、第3次総合計画を策定したが、この計画において想定している広域圏とは少なくとも2町の規模だけではないし、何よりも直鞍地区において合併問題の調査研究が進められており、4月に任意協議会の設立も論議されている中での、極めて唐突な請求であると考える点である。
 誤解を避けるためにあえて付け加えるが、「宮田・若宮か、それとも直鞍1市4町か」の2者択一で選択するものでは決してない。あくまで、行政の意思と民意を十分議論したうえでの合併協議会設立論議でなくてはならないと考えるのである。 
 資料によると、合併協議会は「…合併を行おうとする市町村が、合併すること自体の可否を含めて協議し決定していく」とあるが、現実にそのほとんどが「合併」を大前提に設置されている事実を見れば、今態度を決めなければならない時期であると判断し、あえて見解を明らかにするものである。(自治労宮田町職労教宣ニュース 2002年3月号より)