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自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版13号(2001年11月発行)
基地のまちから
沖縄/横須賀/三沢
沖縄
過重な負担、危険な米軍基地うきぼりに
沖縄県議会議員 小波津浩利
アメリカがアフガニスタンに行っている報復攻撃は侍(サムライ)時代の復讐と同じではないか。たとえ、ビンラディン派を壊滅できても、家族を殺害された一般市民の中から、世界中のテロ組織の中から第2、第3のビンラディンが出現してきて、それこそ報復の繰り返しにしかならないであろう。報復の根底にブッシュ米大統領が「アメリカを支持するか、テロにつくか」「正義か悪か」などと各国に踏み絵を迫り“アメリカは正義なり”とするイデオロギー戦線を張り巡らした。
ついに国会でテロ特措法が強行可決されてしまったが、小泉政権は戦後日本の中で、岸、中曽根に次ぐもっとも右よりの内閣といえる。テロ防止対策特措法案は海外の交戦地域周辺に自衛隊派遣を決め、日本の安全保障政策を大転換するさせるものである。このような重要法案が十分な審議なしに短期間に成立させられたことに危機を感ずる。今や10数年前までは禁句であった「日米軍事同盟」「憲法改正」の言葉などが堂々と語られるところまでに来ている。次は、もう公言し始めているように来年の通常国会でのPKO改悪、有事法制化であろう。
最近の沖縄の現状を端的に示しているのが観光客の激減である。現時点で修学旅行を含む約700団体、12万人の予約取り消しだ。だが、その原因を基地に求めず単なる風評被害とする動きは事実を隠ぺいするものだ。米軍基地の75%を抱える沖縄。私の住む金武町では海兵隊軍港のレッドビーチから米軍車両が揚陸艦へ積み込まれてインド洋へ向かい、キャンプハンセンではカービン銃を構えた米兵が最高度の警戒態勢に入っている。基地警備は沖縄県警だけでは足りないというので本土から応援部隊450人を含む警察機動隊が米軍基地周辺の警備にあたっている。これが自衛隊法改正によって、警察に代わって自衛隊の役割に変わるであろう。自衛隊が米軍基地を背にして守り、その銃口を県民側に向けるとなれば、それはもう、沖縄戦での旧日本軍のイメージとダブルことになろう。「軍隊は住民を守らない」という県民が味わった体験だ。
観光産業は沖縄の基幹産業である。観光客が危険な所に行きたくないというのは当然だ。だが、危険な米軍基地を押しつけたのは国策であり、そのために生じた経済混乱については政府の責任が問われてしかるべきである。同時に、この際国民全体に考えて欲しいのは余りにも過重な沖縄の基地についてであり、日米安保体制の際限ない変質についてである。
もう一つは報復攻撃を利用して世界的に構築しつつあるアメリカの一極支配体制についてである。アメリカはこの戦争に向けて世界の主要国、紛争周辺国すべてに外交特使を派遣してその支持・理解を取りつけてきた。文字通りアメリカ外交・軍事の総動員体制である。その分だけ、国連の機能が形骸化し歯止めがきかなくなっているのではないか。例えば、以前のように非同盟諸国グループが大国の勝手な軍事行動を批判する動きがみられないのが残念でならない。
この21世紀、“アメリカは正義なり”が外交・軍事に限らず、政治、経済、文化、宗教など、すみずみまで一極化させてはならないと思う。
横須賀
キティホークの洋上基地化と自衛隊イージス艦派兵を許すな!
横須賀市議会議員 原田あきひろ
私自身は「テロ」という言葉は使いたくない。
なぜなら、「テロ」という言葉は、はっきりとした定義もされずブッシュや小泉が使っている表現で、それをそのまま使えば、彼等の応援団・一味みたいだからだ。
確かに無差別に何千人も殺戮することは許されない。しかし根本原因を探らずしてすぐに「報復」。これは、もっと許されない。
軍人出身のパウエルは「今が出番」とばかりに世界中を飛び回り「報復」の支持を取り付けた。さらに、「海外での要人暗殺」を禁止した大統領行政命令を25年ぶりに見直すという。
こうしたアメリカを支持する小泉は、追従・好戦的。でもアメリカに対するコンプレックスの塊ということなのかも知れない。
そこに我々が巻き込まれてはたまらない。
我々は、はっきりと「報復戦争NO!」と言おう。
さて、私の住む横須賀にも米軍の中枢が存在し、また出撃基地にもなっているため、市民生活にも早速影響が出た。
まず第一に、市内道路の渋滞だ。
国道16号線に面する米海軍横須賀基地正門付近に多くの米軍関係者の車が乗り捨てられ、2車線のうちの1車線を占領してしまった。急いで基地に入らなければならない軍関係者が、後で取りに来ると慌てたためだ。
つぎに、厳重警備による車の出入りのチェックも厳しく、16号線が渋滞。バスが時刻通りに来ないと通勤客の足も影響を受けた。
ついに横須賀市は横須賀新港埠頭の野積み場を、渋滞解消のためとして米軍関係者の駐車場とする契約を基地との間で結んだ。
それでもまだ、交通の渋滞は慢性化しているようだ。
第二に、情報公開の問題である。
米原子力艦船の寄港については1964年以来、寄港24時間前通報が行われ、市が報道に公表してきた。寄港の事実だけは把握出来ていた。が、外務省は「24時間前通報の対外公表を控えるよう」市に対し要請してきたという。市長は「公表することでテロの危険性が高まり、市民に不安と危険を与えることになるならば、公表の差し控えには、一定の合理性がある」と外務省の要請を受認したというのである。
戦前・戦中の報道管制と同じではないのだろうか。市民の承知しないところで、原子力艦船が寄港していて事故が起こる可能性がある。市民は二の次なのか。横須賀は戦時体制に組み込まれたようだ。
9月30日に原潜コロンビアが寄港し、10月4日出港という情報以来、現在原子力艦船の情報が全くないことを付け加えておきたい。
第三に、海上警備の点である。
毎年10月の日曜日、もう16回にもなっているが、「ピースフェスティバル」を実行委員会形式で開催してきている。その中で、船による「軍港巡り」は人気イベントになっている。
今年は、東京湾から横須賀本港に入ることができなかったという。
従来、米鑑船に近づいてみることが出来ていたのに…。
最後に、9月21日の空母キティホーク出港の問題だろう。フリゲート艦ゲアリー、駆逐艦カッシングに守られ、その前後を海上自衛隊の護衛艦が挟み込み、海上保安庁の巡視挺がその周囲を警備するという事態。警備の点もさることながら、まさしく連合艦隊、集団的自衛権の行使の姿とも言えよう。
自衛隊員の妻たちの声も聞こえてくる。
「まさか本当の戦場に出されるとは思っていなかった。自衛隊は災害復旧で活躍したり、様々な資格が取れるからと思って安心していたのに」と困惑を隠せない様子だ。
市民生活という点で考えてみたが、それ以上に、私たちが考えなければならないのは、横須賀を母港としている空母キティホークがインド洋に出撃し、すでにアフガン空爆の洋上基地になっているという点であり、さらに海上自衛隊のイージス艦をインド洋に派遣しようとする小泉政権の好戦性だろうし、それによる憲法無視だろう。
まさに横須賀が同じアジア民衆に武器を向ける侵略基地になっていることを、広く市民に訴えたい。
三沢
町全体が騒然とキナ臭く
「報復」に反対し集会
青森県三沢市議会議員 瀬川武夫
今回のテロ事件は、ブッシュ政権の「強いアメリカ」で腕づくで抑えつけようという姿勢に対する反発があると思います。
世界で平和共存という流れが多少なりともあったのに「世界は俺が」という力の政策に頼るブッシュに対する反発が、結果的に今回の事件につながったのじゃないかと思います。
現在、アメリカがアフガニスタンに報復攻撃をかけていますが、これは当然許せません。10月21日、三沢市内で国際反戦デーに合わせて社民党と平和労組が主催し報復攻撃に反対する集会が300名くらいでありました。今回のテロ防止対策特措法はアメリカに追随する小泉がなんぼ支持率が高いといっても、どさくさにまぎれてという感じがしないでもありません。そういう意味では悪い形になっているなという気がします。自衛隊が海外に出ていくとか、平和運動にも影響すると思うのだけれども、逆にそういう時期だけに我々が社会党時代から訴えていた反戦平和ということに対してもっと真剣に考えなければならない時代に直面したという気がします。こういう機会に考えを新たにしたいと思います。やはり職場の中でも平和問題を考えることが大事じゃないかと思います。先の集会では労働組合からは、戦争になれば雇用などふっとんでしまう、この時期に職場の中で平和の問題を真剣に考えるべきだという発言がありました。
今の労働界では平和問題で闘うといっても容易ではないけれども、労働組合にも訴えていかなければならないと思っています。これから世界の紛争に自衛隊が直接巻き込まれていくことがはっきりしているわけですから、武器を使ったことによってすぐ交戦とはならなくても、難民キャンプが襲われる可能性があるわけです。そんなときは反射的に対応しなければならないでしょう。その時どういう対応をするか、法律なんて開いて見ている訳にはいかないだろうし、武器を携帯しておれば応戦するかもしれない。国会で決議したからどうだこうだと考えている余裕がないわけです。不測の事態が起きなければいいがと思っています。
今、三沢空軍基地の周りは全然従来と違った体制下にあります。周辺の道路は一部閉鎖になっており、5つ6つゲートがあるんだけれども一時期は1つしか開いていなかった。今は少し緩和して数カ所通しているようです。検査が厳しくて出入りの業者の車には米軍兵士が車に同乗していくといった警戒態勢がとられています。全部ではありませんが例えばコンクリートミキサー車などには同乗しています。また、昼間の戦闘機の飛行回数が多くなって、なんとなくキナ臭いなという雰囲気で市民の中では不安の声が高まっています。特に発着が多くなると気になるし、夜間は従来より遅くまでやっていたり、町全体が騒然としている感じがします。
今後の取り組みとしては六ヶ所村の核燃があって、この問題が再処理工場の通水試験だとか、今度は化学薬品を入れてやる試験だとか、2007年操業予定だからこれに対する運動や毎月使用済み核燃料が入ってくるから、毎回抗議集会をやっています。
10月21日の集会は国際反戦デーに合わせたのですが、これを機会にもっと考えていこうと思っています。護憲大会が11月3日にあり、以降来年一月まで各ブロックで憲法を守る取り組を予定しています。(談)