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自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版10号(2001年2月発行)

「つくる会」の他社教科書中傷は独禁法違反


良識ある学者らがついに立ち上がる

 高嶋伸欣・琉球大教授と上杉聰さんは1月22日、他社発行の教科書をひぼう・中傷する文書などを執筆、発行、頒布したのは独占禁止法違反として2002年度版の中学校歴史、公民教科書を検定申請している扶桑社のほか、同じ企業グループの産経新聞社、教科書編集を主導した「新しい歴史教科書をつくる会」(西尾幹二会長、以下「つくる会」)の3者を公正取引委員会に申告した。申告した高嶋教授は「公正取引委員会に対してはこの申告を二度、三度とやっていく。4月以降は裁判に訴えることや出版活動も考えている。可能な方法はいろいろある。全国でも8ヶ所、地方の公取委があるのでどんどん申告してほしい。「つくる会」の攻勢が強まっているが、地方議員の皆さんもこの団体は法律違反の恐れがある行為をしている団体であることを知って欲しいし、各地の教育委員会などにも知らせて欲しい」と訴えている。


まだ少数派に過ぎない「つくる会」の請願採択

 47都道府県のうち22道県議会で「教科書採択制度の改善」についての請願が採択されている。そのうちの10県が「つくる会」で、6県が「教科書改善連絡協議会」と名乗る「つくる会」の別動隊的組織が請願を出している。他はいずれも「つくる会」と関係がある団体や個人である(2001年1月25日現在、編集部調べ)。
 市区町村では83議会で採択され、否決・不採択にしたところが31、上程されなかったもの14、そして実質的な棚上げである継続審査が80となっている。千葉県では同会から県下全市町村議会に請願が出されたが26議会が否決・不採択にしている。3300自治体の中で採択されたのはごく少数に過ぎない。


「つくる会」の請願に「カウンター請願」を

 長野県では昨年「つくる会」の請願に対して教組を中心に労組会議、護憲団体など7団体で共闘態勢を作り県議会各会派に反対するよう要請に回り、採択されそうであった請願を「継続審議」にすることが出来た。
 議会では提出議案について対抗した請願・陳情が出た場合、単独の場合より採択に際して慎重にならざるを得ない。
 「つくる会」が教科書採択の審議決定に際して教職員が関与できないよう求めていることに対抗して、教職員と保護者が十分に検討・研究出来るよう求めた「カウンター請願・陳情」を議会に提出しているところも多い。長野、滋賀、北海道教組、あるいは岡山県連合などではそのような「カウンター請願」を出して「つくる会」側の請願と対比させ、採択されそうであったその請願に待ったをかけて継続審査に持ち込んだり、否決・不採択にさせている。
 高嶋教授らが立ち上がったようにいろいろな方法・手段を使って「つくる会」の真の狙いを明らかする必要がある。(昨年12月発行日本の進路・地方議員版教科書問題特別号参照)
 教科書問題が重要な局面を迎えているいま、高嶋教授らの声明と申告書は「つくる会」と扶桑社、産経新聞社の関係を知る上でも貴重な資料である。全文を紹介する