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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2003年3月号
ブッシュ政権は湾岸地域に米軍を派遣し、イラク攻撃の準備をととのえている。世界最大の軍事大国が発展途上国のイラクに、圧倒的な軍事力で襲いかかろうとしているのだ。それは、何千、何万の人々の殺りくを意味する。大義名分はイラクの大量破壊兵器開発阻止、武装解除だ。だが、国連査察団の報告でも大量破壊兵器開発の証拠はない。そもそも世界最大の核兵器大国、生物・化学兵器の保有国である米国に、他国の大量破壊兵器開発を云々する資格などない。自国の大量破壊兵器を解体、廃棄するのが先であろう。
イラク侵攻の真のねらいは、米国に公然と逆らうフセイン政権の転覆、親米政権の樹立である。そして世界第二の埋蔵量を誇るイラクの原油を支配することにある。さらに、中東の原油支配でフランスやドイツの喉もとを押さえるという、隠れたねらいもある。力づくで世界を支配するということだ。フランスやドイツは国連を舞台に抵抗している。欧州でも米国内でも、数十万人の大規模なイラク戦争反対デモが起こった。マレーシアのマハティール首相は「一番大きなこん棒を持っている人がすべてを統治していた石器時代のようだ」と、ブッシュ政権を批判した。
しかし、わが国の小泉政権はブッシュ政権に唯々諾々と従い、イージス艦をインド洋に派遣した。イラク戦争後の親米政権樹立に協力して金を出すため、復興支援新法を制定する準備を始めた。加藤駐米大使は「日米同盟関係がイラク問題への対応を考える基盤だ」として、米国が開戦すれば日本は速やかに米国支持を表明すべきだ、と主張した。「まず日米安保ありき」なのである。仏独などの欧州諸国あるいはマレーシアのような小国に比べ、独立国の誇りもない対米従属国である。
では、国民の多くはこのような日米関係をどう見ているのか。毎日新聞が昨年十二月に行った世論調査(一月四日報道)を見てみよう。米国の政策について、六〇%が「単独行動主義の傾向が強まっている」と思い、五〇%が「米国はあらゆる分野で他国の意見にもっと耳を傾けるべきだ」と求めている。日本の対米姿勢については、四五%が「追随」「迎合」と感じており、「自立」「対等」と感じているのは一七%にすぎない。日米安保条約については、三三%が「安保条約ではなく友好条約にすべきだ」、一四%が「安保条約をなくし中立になるべきだ」、五%が「安保条約をなくし他の国と同盟関係を結ぶべきだ」と答え、あわせて五二%が安保条約の終了を求めている。「将来も安保条約を維持していくべきだ」と答えた三七%を大きく上まわっている。
ちなみに、同時テロ事件直後の二〇〇一年十月に読売新聞が行った世論調査では、「日米安保条約の維持が日本の利益になるか」との設問に、六六%が「利益になる」と答え、「利益にならない」と答えたのは一九%にすぎなかった。仮に「利益になる」を「日米安保維持」、「利益にならない」を「日米安保終了」と読み替えれば、「日米安保維持」は六六%から三七%に半減し、「日米安保終了」は一九%から五二%へ二・五倍になったことになる。調査主体や設問の仕方が異なるので、二つの世論調査を単純に比較はできないが、ブッシュ政権が反面教師となり、この一年間に国民意識は日米安保の維持から終了へ急速に変化したといえる。
「二十一世紀・日本の進路」研究会は昨年七月、提言「二十一世紀の日本の進路―日米安保条約を日米平和友好条約に―」を発表し、十月に『従属国からの脱却』と題して出版した。これを多くの国民に読んでもらうことが、急速に変化している国民意識を確固たるものにし、日米安保条約の終了を求める世論形成を促進する力となろう。