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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2003年1月号

各地の国民連合

愛媛/第6回総会で一年を総括
長崎/競売入札妨害事件で市議5人が逮捕


愛媛
第6回総会で一年を総括
記念講演「日米安保は国民生活を破壊する」

 十一月十日、松山で広範な国民連合・愛媛の第六回総会が開かれた(写真左)。
 総会ではこの一年の活動を振り返って討論を行った。教科書問題では「つくる会」の歴史教科書を採択させない運動を広範な県民の連携を作りながら、また全国に支援を訴えながら、また韓国の市民運動とも連携をとりながら進めてきたが、結果的には採択を許してしまった。運動の中で広範な県民に「つくる会」の教科書攻撃の危険性を訴えたこと、全国に発信し続けたこと、三年後の採択阻止に向けて多くの人々の闘う気運と繋がりがあり、県民運動によい影響を与えていることが確認された。
 また、日朝国交正常化の重要性と、マスコミの拉致問題、核疑惑問題の異常な北朝鮮敵視とも取れる報道に疑問と批判が出され、「二回目の拉致」を一日も早く解消するためにも、相互が自由に、友好的に行き来ができる環境を整えること、すなわち国交正常化を実現することの重要性が確認された。
 総会で「日米安保条約を終了させる」ことなど活動方針を採択した後、記念講演として広範な国民連合常任世話人の竹田四郎さんをお招きして、「日米安保は国民経済を破壊する―日本の進路とアジアの共生―」と題してお話を聞きました。講演の中で「日米安保条約には経済のことは表立っては書かれていないがアメリカのドルに縛られる仕組みは政治的、軍事的安保よりも恐ろしい」「銀行は自己資本の比率を高めようとして、融資額を減らそうとしていて、それが貸し渋りの原因になっている」「ペイオフの狙いは銀行の整理統合だ、地元の信用金庫が統合されれば、町工場の親父さんの顔が見えないところで融資が決済され、却下される恐れがある」「経済のわからない総理大臣とアメリカに魂を売った金融相はごめんだ」「アメリカの政権の中枢部は軍事産業のバックを受けている人物が多く、彼らは兵器の一掃を狙って戦争を準備している。ブッシュはヒトラーであるが、アメリカは午後三時の太陽で凋落の兆しが見えている」「先に開かれたASEAN会議は歴史的で日本の進路もアジアの共生を図らねばならない」。また、「アメリカのイラク攻撃が始まるかもしれない、小泉はあたふたと戦争協力をしようとしているが反対しなければならない。有事法制だけが戦争準備ではない、拉致問題などで国民の敵愾心を煽るのも戦争準備の一つだ」「ドル、円に対して、中国の元が強くなるときがくるだろう。アジアの中での日本の生き方を考えなければならない」など熱弁を奮い、参加者からの質問も活発に出て盛り上がった総会となった。

長崎
競売入札妨害事件で市議五人が逮捕・辞職
市長の政治姿勢を問う


 この事件の発端は二〇〇二年十月五日、長崎市発注の公共工事をめぐり最低制限価格をもらして入札を妨げたとして、長崎署と県警は競売入札妨害(偽計)の疑いで市建設管理部長と元市議会副議長で現職市議の塩川寛と市内の建設業者の二人の計四人が逮捕され、その後の大きな展開をみることとなった。
 逮捕された塩川市議(その後辞職)は三菱重工労組長船支部出身で、二〇〇三年の統一地方選の県議選長崎市区から民主新人として立候補を予定していた。この逮捕を受けて伊藤市長は「衝撃をうけている。市政に対する信頼を失墜させ、市民の皆様にお詫び申し上げる」と陳謝した。その後、その日の夜になり、別の発注工事では元市議会議長で現職市議の佐藤忠秋が逮捕(その後斡旋収賄でも再逮捕、辞職)され、庁内、議会はもちろんのこと、市民にもさらに事件拡大への緊張・不安が広がっていた。建設管理部長が逮捕(その後懲戒免職)されて以降、「程度の差はあれ、市幹部に同じ働きかけをした市議は何人もいる」(別の市議)という事情が「逮捕者はまだ増えるのでは」との憶測をよんだ。逮捕された佐藤忠秋は自民党長崎支部長で市議六期目であった。
 市議二人の逮捕をうけて、十月七日、市議会会派の草の根クラブ(中村すみ代代表)らは真相解明と信頼回復へ具対策を取るよう鳥居議長へ、また伊藤市長へは政治責任は重大であると申し入れしている。
 このような混乱のなか、十月二十八日には、元市議会議長、中田勝郎市議も同じ容疑で逮捕(その後辞職)され、市政、市議会はますます混迷をますこととなり、一連の入札妨害事件は底なしの様相となった。その後長崎市議会は、政治倫理検討特別委員会の設置や臨時議会の開催の方向となった。議員と職員との私的な飲食など原則禁止などのさまざまな再発防止策が検討されるが、十分とはとてもいえない。
 十一月二十日、市議会は臨時議会を開き、鳥居議長と伊藤市長が一連の不正事件に関して報告し陳謝、信頼回復に向けて全力を挙げる方針を示した。臨時議会開催の翌日二十一日夜には、新たに板坂博之市議(自民党会派)が逮捕(その後辞職)され、これで四人の逮捕者がでたこととなった。これを受けて、市議会の鳥居直樹議長は、記者会見で「大変なショック。議会として再発防止の検討にはいった矢先だっただけに残念。市民にあらためて深くお詫びする」と語った。しかしその鳥居議長本人が十一月二十八日、同様の容疑で逮捕され、その後辞職している。その鳥居はいったん容疑を認めながら、後に否認している。現職議長の逮捕にいたって市政・市議会はますます混迷を深めることとなった。
 現職議長の逮捕をうけて、広範な国民連合・長崎は早速、一連の不正入札事件での市政の混乱に関して、市長の政治責任を問う申し入れを行った。私たちの申し入れに対して対応した総務部長は「市長は責任の重大さを感じています。いま再発防止にむけて全力を挙げているところです。申し入れ内容については間違いなく市長に伝えます」と述べた。
 そして十二月の定例市議会が開催され、井原東洋一市議、中村すみ代市議からは伊藤市長の政治責任を追及する質問があった。議会閉会日の十二月十八日、伊藤市長は一連の不正入札事件に関し、任命権者として責任を取るとして、自らの給料を二〇〇三年一月から三カ月三〇%減給することを明らかにして、この事件を終わらせようとしている。これまでも、市長について業者との黒い噂はあったが、市政の混乱にたいする責任の取り方として、市民は納得しないだろう。
 いま、小泉(改革)のもとで公共工事の発注が大幅に減少し、中小・零細の建設業者は、生き延びるため、単価の切り下げにも応じながら持ちこたえようとしているが、実態は持ちこたえられず、廃業に追い込まれる業者も少なくない。このようななかで、不正とわかっても、議員の天の声に群がる一部の業者が甘い汁を吸おうとしていることが今回の不正事件の背景にある。この不正は構造的なものであり、徹底的に追及しなければならない。政官業の密接な関係が汚職の温床になると指摘されて久しい。市民の負託をうけた議員が、本来の市民の代表としての活動を行えるような、市民ひとりひとりの行政や議会にたいしての監視する眼をもった運動がもっと必要と思う。