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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2002年8月号

各地の国民連合

長崎、福岡東京


長崎
失業問題の学習会
広範な国民連合・長崎第九回総会

 七月六日、勤労福祉会館において、第九回総会を開催しました。
 総会に先立ち、全国一般長崎地本長崎合同支部書記長の黒崎勝幸氏を講師に、失業問題の学習会が開かれました。黒崎氏は、二、三の相談例を示しながら「会社が倒産すると、未払い賃金や退職金を取ってほしい、と相談があるが、会社に資産がなければ取るものがない。資産があっても担保の優先順位が(1)銀行、(2)社会保険や市税、(3)労働者の債権、(4)一般の債権となっており、労働債権は回収できない場合が多い。国の立替払制度を利用しても一部のみ。市税や社会保険料を給料天引きしながら納めていなかった例もあり、倒産する場合に労働者をほったらかしにしている。負債額千万円以下の倒産は統計にものらないが数は多い。従業員二十九人以下の事業所の組合組織率は〇・五%で、条件が悪く組合を必要としているところに組合がない。小さなところには倒産しても国の立替払制度さえ知らない人が多いのではないか。日本は労働者を保護する法律が貧弱」ときびしい現状を報告。「組織化につながらなくても困っている労働者を支援するのが組合の事業」との言葉に参加者は拍手をおくりました。
 総会は、平野伸人代表世話人のあいさつに続き、来賓の社民党長崎県連の佐藤龍一幹事長から「この国をどうするか議論し、共通の行動をとるべき」、平和運動センターの坂本浩事務局長や部落解放同盟の中尾貫委員長からもそれぞれ連帯のあいさつをいただきました。
 祝電・メッセージ紹介の後、議事に入りました。田代事務局長より活動経過の説明と、二〇〇二年度の活動方針提案があり、参加者の意見により若干の方針の方針の修正がありました。今回はいつになく討論が活発で、大店法の規制緩和を問題視する意見、非核三原則法制化をせまる運動を広げよという意見、有事法制と非核三原則と日米安保の関わりを指摘した意見、小泉の改革で唯一実現した医療福祉法案を問題視する意見等々、活発な発言が続きました。監査報告に続き一括採決がされ、代表世話人の藤沢秀雄氏が「戦争を始めるのは簡単だが終わらせるのは大変。戦争に加担しないことが大切。できることを身近なところから取り組んでいきたい」とあいさつし、閉会しました。


福岡
竹岡勝美氏の記念講演
広範な国民連合・福岡第十回総会


 広範な国民連合・福岡の第十回総会が七月十四日、福岡市内で開催されました。
 今回は十周年記念特別記念講演として元防衛庁官房長の竹岡勝美氏が「安保発効五十年、今なぜ有事法制なのか」をテーマに講演され、百二十名が参加しました。
 竹岡氏ははじめに自分の生い立ちを語りながら、平和憲法に強い憧れを抱き、警察庁に入庁され、請われて防衛庁官房長になられた経過などを語りました。有事法制について国会議員に対する陳情活動などを行ったことなども話され、米軍のための戦争に日本が巻き込まれる今回の有事法制に対しては自衛隊員を愛する立場から「自衛隊員が殺されてもよいのか」という自身の論文を紹介しながら日本政府に対して強い批判をおこないました。さらに「有事というが今日本を攻めてくる国はない。不審船は有事ではない。備え有れば憂いなしというが憂いをおこさせないようにすることが大切である。北朝鮮とも早く国交を回復して仲良くすることが大事である」と述べました。日米安保条約に対しては「冷戦が終わった今、もはやアメリカに日本は守ってもらう必要はない。仮想敵国はない。在日米軍は縮小から撤退の方向へ。日米安保条約から平和友好条約に変えてゆくべきである」と述べ「平和を謳歌して何が悪い」と平和の大切さを力説され講演は終了しました。
 続けて第十回総会の討議が行われました。十周年という節目でもあり、情勢が結成当時のような政党再編が予測される中、資本主義の生き残りをかけての改革政治の下で、失業者の増大や国民生活が苦しくなる中で国民連合の真価が問われていることや国民連合が県民に根ざし、幅広い戦線を形成することの重要さなどの意義と二〇〇二年度方針案が事務局から提案されました。討議の中で、七月三日に国民連合も応援にかけつけ、二十名あまりで押し掛けた県庁交渉の経過について失業者ネットワークの大城代表が発言、続けて失業者の方が自身の置かれている苦しい状況を報告し、「労働者こそ国の宝だ」と話されました。そのほかにも沖縄復帰三十周年ということで沖縄出身の石川氏が発言、教育基本法や有事法制について福教組組織部長の高橋氏が発言、市町村合併などについてわたなべ氏が発言、提案を補足しました。提案は採択され二〇〇二年度の方針や役員などが決定しました。有事法制廃案の特別決議も採択されました。
 なお来賓として社民党県連合代表の三重野栄子氏と在日朝鮮総聯合県本部国際部長の林虎光氏があいさつされ、平和フォーラムの前海事務局長の来賓紹介が行われました。福岡県知事の麻生渡氏はじめ多数の県下自治体の首長、国会議員や県会議員、福岡県沖縄県人会伊波会長からメッセージ、祝電が寄せられました。また中央や全国の国民連合の仲間からもメッセージをいただき、御礼申し上げます。
 なお今回の竹岡氏の講演会はその日の夕方NHKで放映されました。


東京
失業者も参加し、活発な討論
広範な国民連合・東京第九回総会


 国民連合・東京は七月十四日に第九回総会を開催した。今回は「職と生活保障を求める失業者・都民ネットワーク」による都庁交渉や国会請願・デモに加わった失業者に招待状を出した結果、私たちの予想を上まわって十二名の方々が参加し、非常にユニークな総会になった。
 はじめに記念講演として、英語圏比較文化研究をされている越智道雄・明治大学教授から「アメリカ社会に強まる『善か悪か』の論理─『自由の国』の自由の危機」という演題で話をしていただいた。先生はアメリカの中の変化、とくにブッシュ政権のもつ性格を鋭く分析され、危険な情勢への憂慮と私たちのような市民運動が国際的な連帯を拡大していくことに期待を寄せられた(要旨)
 総会議事に移って、十二名の方々も全員出席、一人ひとりがあいさつをかねて失業の痛みや怒りを語り、議案審議の中でも活発に発言する、という従来にない新鮮な雰囲気が生まれ、嬉しい限りであった。少し前までは社会や運動に全く関心がなかったのが、リストラで苦しみ、抗議の行動に参加する体験を通じて目覚めて、学習と活動を求めるようになったのであろうか、真面目で前向きの意欲が感じられた。
 討論では、議案を基本的に支持しつつ、これを補強する意見もいろいろあり、若者や女性が多数参加するような運動をつくりだすという方針については「来年の総会は会場を若者で埋めつくせるように今年度は頑張る」という若い女性世話人の意見も出て、元気な集会となった。
 総会は最後に特別決議案を審議した。これは日本が戦争の道に大きく突き進む岐路に立っており、住基ネットの八月実施阻止と、有事法制・メディア規制の廃案のために闘うこと、あわせて日本の進路を平和とアジア共生の道に切り替えるよう国民に訴えるものであった。若干の補足意見も出されたが、時間の関係上、成文は世話人会に一任することを条件に原案を採択、閉会した。
 有志による二次会には失業中の方々も加わり、今後いっそう交流と連帯を深めることを誓い合いあって、楽しく歓談、有意義な一日となった。