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月刊『日本の進路』2002年7月号
長崎県の諫早干拓事業に反対する「有明海漁民・市民ネットワーク」が、与党が国会に提出している「有明海と八代海再生特別措置法」に抗議して六月六日から国会前で座り込みを続けている。
有明海漁民・市民ネットワークの羽生洋二さんは「『沿岸自治体に財政支援するかわりに、諫早湾干拓工事をすすめる』というのが有明特措法のねらい。これを認めれば、有明汚染の原因がうやむやにされ、有明の海が死んでしまう。また前面堤防(埋め立て地の突端の堤防)工事の計画も発覚した。これが作られると、干潟部分に海水がいかず、干潟の再生が不可能になる。漁民の中に身体を張ってでも阻止しようという気持ちが強まり、国会前の座り込みを決行した」と述べた。
また、四月の開門調査について「二カ月の約束が実際は一カ月弱であり、しかも限られた海水量しか入らない方法で因果関係を調査するにはまったく意味がない」と農水省を批判。
福岡県柳川のノリ養殖の漁民は「生活がかかっている。仕事ができる環境に戻せ、というのがわれわれの要求。諫早湾干拓の潮受け堤防ができてから、有明海の流れが遅くなった。韓国では干拓工事が中止され、海水を入れたら干潟が再生しつつあると聞く。諫早干拓も中止して干潟を再生させるべき」と語った。
長崎県の小長井の漁民は「干拓が始まる前はタイラギやアサリが、とれすぎるくらいだったが、干拓が始まってからはまったくだめになった。ここ三十年、四十年の間に自然が破壊され、沿岸漁業がつぶされた背景には御用学者が関係している」と怒りを訴えた。
長崎県島原の漁民・吉田さんは「干拓による有明海漁業への影響は、海底の貝類から始まり、次に魚類、そして水面近くのノリ養殖へと出てきた。昨年正月からノリ漁民が抗議に立ち上がった。車エビ、ヒラメなど魚をとっている私たちへの影響も大きい。工事前の漁獲高が工事開始されたら七割に、潮受け堤防が閉鎖されたら五割に、それ以降も減り続けている。国や県、御用学者は因果関係を認めないが、干拓事業で潮流が変わるなど因果関係は明らかだ」と怒りを込めて語った。
また「島原の漁民は人口三万人の島原市で『干潟の再生を』求める署名を二万人集めた。長崎にも干拓反対の漁民はいる」と訴えた。
そして「諫早湾沿岸の水害対策と諫早湾の干潟再生は両立する。意図的に対立させられているだけ。潮受け堤防ができた現在でも排水ポンプがなければ浸水する。潮受け堤防は役に立っていない。堤防補強と排水用のポンプの完備で水害は防止できる。その上で干拓を中止して干潟を再生させるべきだ。諫早湾は干潟による浄化能力が高く、稚魚の育成場でもあった。これ以外に有明海の再生はない」と訴えた。
羽生さんは「有明海特措法で、一時的に沿岸自治体にお金が援助されても有明海が再生するわけではない。『宝の海を返せ』がわれわれの要求。前面堤防着工という事態になれば、現地での阻止行動を全力で取り組む」と決意を語った。