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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2002年3月号
世界の平和を脅かすアメリカ
ブッシュ大統領は一月二十九日の一般教書演説で「対テロ戦争は始まったばかりだ」と演説し、イラク、イラン、朝鮮民主主義人民共和国を「ミサイルと大量破壊兵器で武装しつつある国家」、「炭そ菌や神経ガス、核兵器の開発をたくらんできた」として、「世界の平和を脅かす悪の枢軸を形成している」と攻撃した。
これはまさに「天につばする」ものだ。世界で最も大量の「ミサイルと大量破壊兵器で武装」している国家はどこか。世界の反対をしりめに、ミサイル防衛構想でさらに新たなミサイルの開発を推進しているのは、何という国か。アメリカでばらまかれた炭そ菌はどの国の軍隊の研究所でつくられたのか。いずれもアメリカではないか。
三月九日の米紙ロサンゼルス・タイムズは、米国防総省が今年一月に議会へ提出した「核戦略見直し報告」の機密部分に基づいて、次のように報道した。「ブッシュ政権は軍に対し、ロシア、中国、北朝鮮、イラク、イラン、リビア、シリアの少なくとも七カ国を対象とした核攻撃計画の策定と、限定核攻撃を想定した小型戦術核兵器の開発を指示した」と。核攻撃の計画までつくり、世界の平和を脅かしているのは、ほかならぬアメリカである。
始まっている対イラク戦争準備
二月十二日、パウエル国務長官は米議会で、「イラクのフセイン体制の転覆に向けあらゆる選択肢を検討中」と証言した。パウエル長官はさらに、軍事行動に乗り出す際の議会手続きについても踏み込んで説明し、「国連決議を受け武力行使支持決議を議会に求めるのか、宣戦布告を求めるのか、大統領が軍最高司令官として出動命令を出すだけなのかは今後決定する」と述べた。
パウエル長官の発言は、断定こそ避けたが、ブッシュ政権が対イラク戦争の準備を進めていることを示している。米紙USAツデーは、国連安保理が対イラク制裁見直しを協議する五月を境に、米国が軍事行動に踏み切る可能性があると伝えている。
三月十二日、チェイニー副大統領は中東十一カ国の歴訪に出発した。そのねらいは、フセイン政権転覆に向けて、イラク包囲網を形成することにある。パウエル長官が「必要な場合には単独で行動する」と述べているように、包囲網ができなくても、米国は軍事行動に踏み切ることを辞さないかまえだ。
日米安保を終了させよう
二月十八日、ブッシュ米大統領が日本を訪問し、小泉首相との日米首脳会談が開かれた。
ブッシュ大統領は「われわれはあらゆる選択肢を排除していない」「われわれが関与するのはアフガニスタンだけではない。機会をとらえて行動を起こす」と述べた。小泉首相はこれに応じて、「悪の枢軸発言は大統領のテロに対する毅然とした決意を表したものだ」「テロとの戦いは日本が常に米国と共にある」と明言した。
イラク、イラン、北朝鮮はもちろんのこと、中国、ロシア、韓国、ヨーロッパ諸国が「悪の枢軸」発言に激しく反発し、厳しく批判している中で、小泉首相はこれを賛美し、ブッシュ政権の戦争計画にまで「常に米国と共にある」と協力を表明したのである。
三月下旬には、日米首脳会談をうけて、ラムズフェルド米国防長官が来日する。そこで対イラク戦争が議題となり、日本に戦争支援を迫ってくる公算が大である。小泉首相が「常に米国と共にある」と明言した以上、拒否はできない。テロ特措法を拡大解釈して支援するのか、新たな法律を準備するのか。外務省は二月下旬に幹部協議を行い、ブッシュ政権が対イラク戦争に踏み切ればどんな対米支援ができるか、本格的な検討を開始した。
日米安保堅持を国の基本方針とし、対米追随外交を続けるかぎり、日本はアメリカの戦争政策の片棒をかつがされ、貧しい国々の人々を殺りくすることになる。米軍基地のみならず、日本そのものが貧しい国々の人々のうらみを買い、テロの対象となるかもしれない。日米安保条約こそ、日本の平和と繁栄を脅かす元凶である。
「日米安保はいらない、米軍基地もいらない、自主・平和外交でアジアの共生を」。私たちはこの主張を国民の中に広げ、日米安保条約の終了を求める国民世論を盛り上げなければならない。
ブッシュ大統領の訪日に際しての日本政府への要請(2002年2月15日)