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代表世話人からの新年メッセージ

危機的状況の中で新しい年を迎えて

大槻 勲子


 二十一世紀こそ人間の命が大切にされる平和な世界をめざそうと、二〇〇一年のスタートを切ったにもかかわらず、九月の米国での同時多発テロに対する「新しい戦争」を叫ぶ米国大統領が、世界を変えた、といわれるように、年頭の期待は裏切られました。「テロも戦争もノー」との想いを強くしつつ、二〇〇二年の年頭のごあいさつを申し上げます。
 広範な国民連合は、自主、平和、真の民主政治を取り戻すために、とくに、この一年は「日米安保を終了させ、米軍基地を撤去し、自主平和外交で、アジア共生の道を進もう」を基本方向に活動してきました。この考え方が国民世論となるよう運動を進め、小泉内閣がアメリカの戦争に、さらに深く踏み込み、憲法をないがしろに、急ごしらえの法改正をし、自衛隊を戦場に送ろうとする政策を阻止しなければならないと思います。
 小泉内閣の方針は、アジアの近隣諸国の疑念を招くばかりです。国際的なテロをなくすためには、報復戦争ではなく、日本国なればこそできる道をとるべきです。荒廃したアフガニスタンの復興の支援、難民救援等の平和貢献をし、今こそ平和憲法を生かし、その存在を世界に拡げることが求められているのだと思います。
 昨年は、日本国憲法と明らかに矛盾する法律が次々に国会を通りました。改憲の地ならしと思われる教育基本法の見直しが進み、教育改革三法が成立しました。問題児の教室からの排除や、指導力不足の教員の配転などを理由に人権をおかす等、ほとんど実態が知らされないまま国会を通った法律が、問題点を浮きぼりにすることを憂慮しています。文部科学大臣が、昨秋、教育審議会に教育基本法改正を諮問したことに、私は改憲への地ならしの感がします。今年は改憲を阻止する国民の目をしっかり見開いていなければなりません。
 具体的に教育が変わる年ですが、その一つに学校教育に総合学習が始まります。教科書のない、このような場こそ、自由なテーマをもてるので、自主・平和・民主の意識をつくる視点をもって、例えば、諸外国では行われていることですが、女性の経済的自立、男性の生活的自立がプログラムされるように、私たちは積極的に教育に関心を示していく必要を感じます。
 また、今年は司法制度が大改革されようとしている年です。市民の求める司法改革を求め、実現させる絶好の機会です。最高裁の判事を政府が任命するような現行制度では、司法の独立は保てません。
 私たちは、平和、人権、民主主義をおかすものは、その予兆の段階から警鐘を鳴らし、世論を喚起し、運動のすそ野を広げましょう。私たちは絶えざる監視の目と、積極的な運動で憲法を守り、平和と民主政治を育てましょう。そのことを訴えて年頭のあいさつに代えます。